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Photo by
lisa500ml
母のエプロン
2歳とか3歳とか、すごく小さい頃の記憶です。
母が赤いエプロンを付けてアパートの部屋に掃除機をかけている。小さい私はなんだかイライラしている。たぶん母に遊んでほしいとか構ってほしいとか思っていて、でも掃除機をかけているので相手をしてもらえなくてイライラしている。今思えば1日中掃除機をかけている訳ではないのだし少し待てば母だって相手をしてくれたと思うけど、その時は今、掃除機をかけて相手をしてくれない母にイライラしていた。
私は何を思ったのか、母の背後に回った。そしてジャンプして、掴んだ!母のエプロンの背中部分の、5センチくらいの幅の布。想像するとシュールで面白い(記憶の中では確かに飛びついたのだけど、そんなに高く跳べるものなのか?)。
2、3歳の女児の平均体重は12~13キロ前後らしい。ただの布のエプロンはそんな重さに耐えられるようにできていない。ビリっ!と大きな音をたててエプロン、破れる。私、自分でやったくせに、破ってしまったことにショックを受けて号泣。母、たぶん驚きながら笑っていた。胸元に犬の模様が描いてある赤いエプロン。母のお気に入りを壊してしまったと思って、すごく悲しかった。こんなはずじゃなかったのに。
よく分からない理由で癇癪を起していたり泣いていたりする小さな子供を見かけると、この時のことを思い出す。エプロンが破れた時、取り返しのつかないことをしてしまった、と思った小さい私と、怒られると思ったのになぜか笑っていた母を思い出す。
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