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「多様性の国」アメリカの障害児者支援事情
こんにちは!10月はアメリカのニューヨーク市で障害を持った人たちへの支援を勉強してきましたので改めてまとめたいと思います(`・ω・´)
9月に訪れたフィンランドとも比較しやすいようになるべく同じ項目に沿ってまとめます✨(あんまり沿ってないですが笑)
もくじ
0.アメリカの法文化
1.福祉&教育&医療
1-1.就学前(0~3歳)
1-2.幼稚園(3~5歳)
1-3.小学校~高校
1-4.放課後支援
1-5.卒業後
2.施設経営のあれこれ
3.バリアフリー環境
4.さいごに
0.アメリカの法文化
以降紹介する福祉や教育サービスは、主にIDEAという国の法律のもと提供されています。
IDEA/ Individuals with Disabilities Education Act: 障害者教育法
21歳までのすべての障害を持った幼児・児童・生徒に無料で適切な公教育を保障。
法を徹底的に守る国なので、上記に違反することがあれば法的に異議を申し立てて自分たちの権利を守ります。
”すべての”という記載があるので、医療的ケアがあろうと、車いすユーザーだろうと、その子どもに必要な教育環境は必ず用意されるのがアメリカです。
1.福祉&教育&医療
フィンランドの記事では福祉と医療は別項目で書いていたのですが、ニューヨークでは教育機関が中心となって密な職種間連携がされており、今回は分けることができませんでした!のでまとめてお伝えします(`・ω・´)
1-1.就学前(0~3歳)
3歳までに自分の子どもの発達の遅れや障害があるとわかり次第、早期介入がスタートします。
サービスコーディネーター(正確にはInitial Service Coordinater)と呼ばれる職種が早期介入に関する必要な手続きを手伝ってくれます。
セラピーなどの早期介入を受ける場所は以下のように日常的に過ごす場所ならどこでも提供可能とのこと!!
• 自宅
• 託児所または個人託児所
• コミュニティ/リクリエーション・センター、
保育園、遊び場、図書館、その他ご両親やお子
様が娯楽や支援のために訪れるあらゆる場所
• 幼児教育プログラムおよびセンター(Early Head
Startなど)
早期介入に関しては日本語の資料がダウンロードできるようになっているので、興味のある方はどうぞ!
1-2.幼稚園(3~5歳)
こちらではPre-K(Pre-Kinder-garden)、Preschoolと呼ばれる教育機関でのサービスです。幼稚園とは微妙に違うようですが、ここでは幼稚園としました(どなたか違い教えてください・・・)。
幼稚園でも就学前と同じように、評価→会議→プラン決定・実行→再評価というプロセスです。ただここに教員が加わります。
ここでアメリカの特別支援教育の大きな特徴であるIEP(個別教育プログラム)をご紹介します!これが個人的にはめっちゃすごい。
IEPを決めるIEPチームは、以下のメンバーで構成されます。
・家族
・特別支援専門の教員
・普通の教員
・セラピストなどの医療の専門家
・必要であれば法の専門家
このIEPで決められたことは徹底的に守られ、守られなかった場合は法的に訴えることができます。
1-3.特別支援教育(6~18歳)
小学校入学以降もIEPで徹底した個別支援がなされます。IEP決定の流れは幼稚園と同じです。
IEPでは子どもに一番合った学校のタイプも選べます。
今回この中にある「インクルーシブ校」(※わたしが勝手にこう呼んでいるだけです)に行ってきたので少しご紹介します。
わたしが訪問した小学校では、一クラス25人で、そのうち10人が特別支援が必要な生徒、15人が普通の生徒になるよう配分されています。(これがこの形態の学校の決まりのようです。)
先生は必ず二人以上(一人は特別支援専門の先生、一人は一般的な先生)配置されており、マンツーマンの対応が必要な生徒にはティーチングアシスタントと呼ばれる先生がさらにつきます。
学校にはPT・OT・STが常駐しており、各生徒のIEPで決められた時間、頻度でセラピーを行っていました。
↓学校のリハ室(生徒によってリハ室でやったり教室でやったりさまざま)
これはインクルーイブに対応した学校ですが、もし一般の学校にIEPを持った学生が入学し、その学校に特別支援教育専門の先生がいない場合は、特別支援教育委員会(District75)から先生が派遣されます。ひとつの学校に所属せず、特別支援が必要な学生がいるいくつかの学校を訪問する先生がいます。
セラピストも同様に、学校にセラピストがいない場合は親が一般の学校に呼べます。(これはフィンランドもそうでした。)
日本では考えにくいことですが、、子ども中心の教育を考えれば当然のサービスのように思います。
1-4.放課後・余暇活動支援
放課後や余暇活動ですが、どうも日本のような障害児の”託児”に特化した放課後等デイサービス的なものはないようです(不確かなのでご存知の方教えてください!)
その代わり、学童で預かってもらうか、障害児に対応した習い事やレクリエーションの場がたくさんあります。
今回は音楽教室や乗馬教室、スポーツジムなどに訪問しました。これらは主にNPO法人として活動していて、ボランティアスタッフがたくさんいたのが印象的でした!
↑では有料のものが多いと書いていますが、無料のものもたくさんあります。
子どもの権利を中心に考えるアメリカからしたら、単に子どもを預かるだけの”放課後等デイサービス"は不思議な制度なのかもしれませんね。
1-5.卒業後
卒業後に関しては今回あまり勉強できなかったのですが、21歳までは上記の教育委員会が就労支援や必要な施設への斡旋をしてくれるそうです。
また、正式な高校卒業の学位が欲しい場合は、21歳まで高校に残って必要な授業を取り続けることができるそうです。
また、IEPを持った学生が大学に進学することも少なくないようです。
2.施設経営のあれこれ
教育・リハに関しては公的サービスでほとんど税金でまかなわれていることが分かりまた。
一方余暇活動や、家族支援に関しては寄付型のNPOがたくさん活躍していました。
中にはスタッフは2~3名で、あとはボランティア十数人を毎回集めて運営しているというNPOもいくつか。
今回実際にボランティア文化を体験できましたが、なぜアメリカでは多くの人が好んでボランティアをするのか、寄付をするのかいまだにハッキリとはわかりません・・。これに関してはもっと勉強しないとです!
3.バリアフリー環境
フィンランドでもそうでしたが、バリアフリー環境は劣悪です。日本の都市部は本当に整ってる・・・( ;∀;)
駅は階段だらけなので、ベビーカーを抱えて長~い階段を上る人をたっくさん見ました。
アメリカに脳性麻痺があるYoutuberさんがいるんですが、その方がニューヨークを旅行した動画が最高におもしろいので興味のある方はどうぞ。笑
いかにNYの公共交通機関が車いすに優しくないかがわかります。車必須です。
ただ公園はきれいで、ユニバーサルデザインのものも多かったです。障害だらけの街でどうやって公園までたどり着くのかは謎ですが・・。
4.さいごに
アメリカを訪問地に選んだのは、民間のNPOが福祉の多くを担っていると思っていたからです。訪れる前は、国民皆保険がないくらいだから、きっと行政は福祉にもあまり手を入れてないだろうと思っていました。
なので、こんなにも合理化されて手厚い個別支援が、公的サービスとして提供されていることにとっても驚きました!
障害を多様性の一つとして捉えたり、人の当たり前の権利を徹底して守る姿勢は是非日本に持ち帰りたいなと思っています。
さいごに、市内の特別支援学校で見つけた自閉症児の親御さんによる素敵な詩を。
(Autismはまったく予期しなかった旅だけれど
わたしはわたしのツアーガイドを心から愛してます💐)
参考資料
・INCLUDEnyc 講義資料
・New York State ホームページ
・Mommy Poppins
#障害児 #特別支援教育 #自閉症 #医療的ケア #脳性麻痺