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私が売れっ子漫画家小学生だった頃からの、現在

小学生の頃の私は売れっ子漫画家だった。

当時の私は安いノートを買ってきては、コマ割りして、絵を描いて、吹き出しをつけてせっせせっせと新作を発表していた。

売れっ子漫画家といっても当然「自称」なわけですが、あのスピードで新作を出すのだから1円も利益がなくとも1人もファンがいなくとも間違いなく私は売れっ子だったと思う。
(誰にも売れてないのに「売れっ子」ってなに?を考えると難しいのでそっとしておいてほしい)

漫画雑誌を作成する売れっ子漫画家

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ノートに漫画を描くことに慣れた私は当時読んでいた少女漫画雑誌「りぼん」や「なかよし」のように、「違う作家の作品が複数掲載された1冊」を作るようになった。

「違う作家」と言っても、他に作家を見つけてきたわけではない。
様々なペンネームを使い分けて1人で何人もの漫画家になりきって、1冊を作り上げるのだ。

ペンネームを変え、絵のタッチを変え、恋愛漫画やギャグ漫画、動物漫画…?どんなものを描いていたのか忘れてしまったがとにかく1人で何役もこなしていた。

さらに私は漫画雑誌によくある「読者のページ」や「懸賞」のページを作ることにも余念がなかった。

作家だけではなく、読者になりすまして「○○がおもしろかったです!」と感想を送り、それを読者のページに載せる。
そして編集者になりすまして「いつも読んでくれてありがとう!」とさらに返事を載せる。

ここまでくると「売れっ子漫画家」なのかなんなのか分からない。とにかく全て自作自演。

私の兄弟は応募もしていないのに「懸賞」に当たったことになり商品を押し付けられていたものだ。


単行本の漫画は白い紙に黒いインクのみで印刷されたものが多いが、「りぼん」や「なかよし」などの月刊誌はインクの色が漫画のページによって違うことも私は見逃さなかった。

売れっ子漫画家の私は抜かりなく漫画ごとに色を分けて、それぞれ違う一色で描くわけだ。
「ほう…、ずいぶんとこだわっていらっしゃる」と思っていただけたかも知れないが、幼い私はなんと「クーピー」を使って色を分けることに挑戦したのである。

クーピーをご存知だろうか。
あの、太めの色鉛筆のような筆記用具。色鉛筆ですら文字などの細い線を描くのが難しいというのにこともあろうか私はクーピーを使って漫画を描いていた。

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当然、おそろしく読みづらい。
そもそも文字がつぶれているので読みづらいのではなく、読めない。

でも私は「本物の漫画雑誌に近づいた!」と満足感でいっぱいだった。

売れっ子漫画家が今の私に繋がっていく


いつしか全く漫画を描かなくなり、こうして大人になった私はnoteやブログに文章を載せると同時に絵も載せるようになった。

絵に時間を費やせないので基本的に1~2分で描き上げている。構図も考えないし、下書きも絶対しない。(面倒だから)

しかし、こんなやっつけ仕事のような絵にどえらい評価をしてくださる方が現れた。音楽家でwebライターのうみそらさんである。



注)私がぶっ倒れたことも心配してくださっているのでツイートに「絵が好き」と「体調大丈夫かい?」が入り乱れております

さて。かつて「天才」などと言われたことがあるであろうか。(ないです!)

このようなとんでもなく嬉しいコメントをいただけたことで、私は改めて自分の絵をじっくり見返す機会を得た。

「私、絵にセリフをつけるんだ…」

真っ先に気づいたのはここだ。

他の方のnoteの記事を見ていると、画像が挿入してあっても「写真」「イラストのみ」ということが圧倒的に多い。
しかし私が載せるイラストは「文字や吹き出し、効果音」がたいていついている。これはいわゆる「1コマ漫画」ではなかろうか。

私は「イラスト」を描いているつもりで知らず知らずのうちに「漫画」を描いていたわけだ。

自称売れっ子漫画家だった私の血は、今でも私のなかで元気に動き回っているようだ。

「小さい頃の好きなものが点と点で繋がってる」ってまさにこういうこと。
小さい頃夢中になった「漫画」と同じく好きだった「文章を書くこと」が大人になった私の中で繋がっている。

私がおそろしく速いスピードで絵を描き上げるのも、小さい頃に売れっ子漫画家だったおかげであろう。

うみそらさんの本

「小さい頃の好きなものが点と点で繋がっている」ということについてつい最近1冊の本を読んだばかりだったから「あぁ!私も点と点が繋がってるんだ!」とちょっと感動している。

↓そのすてきな本はこちら↓


小さい頃に夢中になったことはそれぞれ別々のもののように見えてもひとつひとつに繋がりがあり、やがて線になる。
この本はそれを教えてくれた。

夢中になって漫画を描くことで未来に種を植えた私は、今その種が育って、こうして文章の中に盛り込むことができている。

漫画家になったわけでもイラストレーターになったわけでもないけれど、あの時必死になったことはまったく意味のないことではなかったわけだ。


奇しくも「小さい頃に好きなものが点と点で繋がっている」ことを教えてくれた本を書いた著者が、コメントを下さったうみそらさんご本人なのである。

いろいろな巡りあわせがあって、人生っておもしろい。

誰も読んでいないけど、誰も期待してないけど、そもそも売れっ子ではないけれど、それでもひたむきに漫画を描き続けた小学生の私に「そのままでいいよ!ありがとう!」と言ってあげたい。


書いた人(絵と文)
なつめももこ/webライター、管理栄養士
noteには私の日常、過去のこと、考えていることをゆるゆると綴っています。
今日ものんびりと、どうぞ。
Twitterもやってます。


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