「燃している」匂い
無人駅まで歩いていたとき、ふと「燃している」匂いに気づいた。農業に関するものを燃やしたときに出る匂い。それと同時に出てくる土の匂い。擬態語にするなら、しゅーんしゅーんみたいなかんじ。
ローカル線の車窓から、畑の上で燃していて、煙がたなびくのが見えるとなんだかほっこりする。そんな地元の原風景。
でも、ほんとうは、違法らしい。
でも、長年やってきた農業の中では大切な行為で...。色々な難しさを感じる。
洗濯物とかに匂いがついてしまうし。たまに化学的な危ない匂いを感じる時もあるし..。
東京にはなくて、地元にあるものとは?と聞かれたら、たぶん自分はこの「燃している」匂いと答える。
地元は、地方だけど衰退していない。地方都市に近いせいか最近「都会っぽく」なっている。通勤通学に楽だから、他の自治体よりも土地代が安いから、という理由で子育て世代が流入して、いわゆる「社会増」になっている。
だから、無人駅周辺は宅地開発が行われているし、それに合わせて道路がキレイになっている。正直、地元で「田舎っぽい」ものを探す方が困難になっている。そんな地元が好きではない。
だけど、まだかろうじて「燃している」匂いは残っている。小さい頃と比べて、その匂いを嗅ぐ機会はずいぶん減ったけど、大嫌いな地元の中で気に入っているもののひとつ。
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