アーティストという仕事と夢への距離の話
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『地元山梨でパフォーマンスをするという僕の一つの夢がついに叶いました
学年は10人以下
通っていた学校はほぼ廃校
部活動は野球と吹奏楽のみ
近くのコンビニまでは車移動
電車は1時間に一本の地域で育った僕ですがいまOWVとして活動しています
どんな環境でも夢は叶うことを僕が体現していきたいです』
上のツイートはこの日山梨県のステラシアターで行われたTGC FES YAMANASHI 2022(以下TGCフェス山梨)にアーティストとして出演したOWV(オウブ)というグループのメンバー、佐野文哉のツイートだ。
佐野は現在(2022年10月時点)25歳。
大学に進むタイミングで山梨から上京し、大学2年生でダンスを本格的に始めてL.A.へ留学。
その翌年にはすでに三浦大知のMVやBTSの日本ドーム公演でダンサーとして出演しているなどの驚きの経歴を持っている。
さらにその翌年の2019年、佐野が大学4年生のときにPRODUCE 101 JAPANというオーディション番組に練習生として出演。
その翌年2020年にはOWVというグループのメンバーとしてメジャーデビューを果たしている。
ダンスをやりたいと思ったきっかけは小学生のときに見た「めちゃ×2イケてるッ!のオカザイル」(ナイナイ岡村隆史さんがダンスを特訓しEXILEとライブで共演する企画)だそうで、決してダンスに目覚めるのが遅かったわけではない。
ただツイートにも書いてあるとおり、山梨県出身の彼は同級生が佐野を含めて9人、通った学校のほとんどはすでに廃校、結構な田舎育ちということはこれまでも彼が幾度も口にしてきており、おそらくダンスを習う環境が周囲になかったのだと想像する。
夢や目標を達成するには環境による差が影響する。最終的には本人の努力や才能がモノを言うのだとしても、そこに至るまでの乗り越えるべき壁は環境によりまちまちだ。
生まれた国や地域、学びたいものを学べる環境にあるか。
家庭や自身の経済状況、周囲の理解、協力。
性差や体格差や病気などの有無や、きっと言い出したらきりがないほどに環境の違いはたくさんあるはずだ。スタート地点はみな一緒ではない。
その壁にぶつかって、夢や目標を諦めたり変更する人もたくさんいるだろう。
だけど田舎でダンスを習う環境になかった佐野が大学2年生に本格的にダンスを始め、「今から普通にやっていたのでは長くダンスを学んでいる人には追い付けない」と知恵と努力と行動力と勇気で磨いたダンスのスキルはダンサーとして花開き、次なる目標であったアーティストとしての階段も登り、デビュー時に「いつか地元でパフォーマンスをしたい」と語っていた夢もついに今年TGCフェス山梨で叶った。
それは“彼自身の夢”だけに留まらず、同じく夢への距離が遠い人たちを勇気付けるロールモデルにもなり得るのだなと、歌ったり踊ったりすること以外にも人に影響を及ぼすことができるのがアーティストという生業の本質なのかもしれないなと彼のツイートを見て考えたりした。
【追記】2023年の記事でこのような記事が出ましたので追加で添付しておきます
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