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舞台 SEPT presents「FATALISM ≠Re:Another story」を観劇しました

久しぶりに舞台を観に行きました。
メモに近いですが、忘れないうちに感想や考察など色々と記しておこうと思います。
(すでにTwitterやふせったーで書いたことも記しておきます)

(※まだ書ききれていないので随時更新していきます)

今回観たお芝居の基本情報


◾︎SEPT presents
「FATALISM ≠ Re:Another story」

◾︎こくみん共済coopホール/ スペース・ゼロ

◾︎2023年2月18日~2月26日

◾︎主演:今村美月(STU48)

◾︎キャスト:

◾︎公式サイト :


◾︎あらすじ:

― この結末は幾度目の運命なのか
過去でも未来でもない場所。
着物に洋服、ギターに舞踊。
そこは相反する文化が混在する、まるでオモチャ箱のような世界。
平和を司る巫女「雛菊(ひなぎく)」はこの世界で祈りを捧げ続けてきた。しかし人々は争いを繰り返し、ついには彼女を巻き込んでいく。
ねじれを増していく運命の糸、裏切り、愛する者達の死……。世界の均衡が崩れようとする時、雛菊は最期の祈りを捧げる。

「どうか、もう一度彼らに会えますように。」その想いは時空を超えて”ねじれの起点”へと彼女を誘う。

“過ぎたはずの結末”と記憶のパラドックス。鳴り響く音と絡み合う運命。異なる世界を知ることで増していく「現実世界」への違和感。回帰し続ける並行世界とも呼べるこの場所で起きる運命の不一致。

幾度となく”今”と向き合い続ける 雛菊を待つものは”回帰”か、それとも”結末”か……。

『FATALISM ≠ Another Story』から4年、物語は再び原点へ!

公式サイトより


私は2/21の昼公演、夜公演(FATEチーム)、2/23の昼公演(LISMチーム)を配信で、2/24の夜公演(LISMチーム)は実際東京に行き劇場で観劇しました。

普段は藍備(あいび)役の浦野秀太くんと、彼が所属するOWV(オウブ)というグループのファンをしているので彼目的でこの舞台のチケットを購入しました。

※ちなみにFATEチームとはWキャストの前半組
(谷水力、川又あん奈、長月翠、吾龍、山口賢人、吉川友、西田祥、二宮響子(敬称略))を指し、
LISMチームは後半組
(やみえん、小島愛子、山本愛梨、SHIN、叶真、VALSHE、桐田伶音、針谷早織(敬称略))を指します。


物語(導入部)

あらすじにもあるように、物語の主な舞台は現代とも過去とも未来ともつかないとある世界。

陽の国の雛菊(ひなぎく)、
蒼の国の蓮(れん)、
緋の国の藍備(あいび)。

3つの国は同じくらいの勢力を持っており、隙あらばと互いを睨み合いながら絶妙なバランスで「平和」を装っている。

雛菊、蓮、藍備の3人はそれぞれの国の象徴として生き、年に1度この3国の象徴たちが揃って歌舞を共通の神に奉納することがかろうじて保たれている「平和」の証。

また雛菊の従者である夢百合(ゆめゆり)が常に雛菊を見守り支えている。

普段、外部と交流を持たず閉じられた世界で孤独に生きている象徴たちは奉納の儀が近付くとこっそり集まっていた。その時間だけが彼らの心を解き放ち自然体でいられる幸せの時間だった。

しかし奉納の儀の日、蓮は急に藍備に斬りかかる。
孤独だった日々から雛菊たちと出会うことで幸せを知った蓮は、雛菊と藍備が恋仲であると察し一転彼らを妬み憎しみ、そして再び深い孤独を感じ、これほどにも苦しいのならば暗闇の中の孤独の方がマシだったとすべてを壊してしまおうと画策したのだった。



以降ネタバレにも触れながら感想などをつぶやいていきます。
ストーリーをご存知ない方には「?」な部分もあるかと思いますがご了承ください。


感想・考察など

◾︎イントロ
亜歩露(あぽろ)の歌で登場するキャスト。
2023年世界の莉央(FATE)、陽暮(LISM)を見つめる藍備。この世界線の藍備なのか。
(パンフレットの写真でも莉央と陽暮は藍備の国の色である緋色の糸を掴んでいる)

同じく2023年世界の佐輔(FATE)、知樹(LISM)を見つめる蓮。
2123年世界のテンを見つめる夢百合。
雛菊と交差する莉乃(FATE)、陽織(LISM)、エイナ。

◾︎亜歩露(あぽろ)
ギリシャ神話、アポロンが由来か。
Wikipediaによると、アポロンは詩歌や音楽などの芸能・芸術の神、光明の神、病を払う治療神、神託を授ける予言の神など、付与された性格は多岐に亘る。

◾︎絵空(えうろ)
ギリシャ神話のエウロペが由来か。
エウロペに惚れたゼウスからタロース(島を守る巨大自動人形)と必ず獲物をとらえる猟犬となくなる事のない投げ槍の、3つの贈り物を与えたらしい。(Wikipediaより)
手に持っているものが演じる杉浦さん(杖)と吉岡さん(羽根)で違う。

◾︎堕印(だいん)無二(むに)諷経(ふぎん)
三羽鴉。鴉=神の使い。
神話のエウロペに与えられたタロース的役割?
北欧神話では最高神オーディンの使いとして「フギン」「ムニン」という名前のカラスが登場するらしい。また諷経とは読経を意味するらしい。


◾︎雛菊、蓮、藍備
平和を守るために象徴として生きる覚悟は尊く、しかし一方でそれは昏い世界で閉じ込められたまま象徴として生きることを選ばざるを得ない悲しい定めでもあり、自己犠牲とある種の諦めで成り立つ「平和」とは何なのかを考えさせられてしまう 。

◾︎花言葉
雛菊…平和,希望
ハス(蓮)…清らかな心,神聖,離れゆく愛
アイビー(藍備)…永遠の愛,友情
百合(夢百合)…純粋,無垢


◾︎泉のシーン
マジメに奉納の儀の練習をしている(フリ)の雛菊と蓮に「はぁ?あん?」と覗き込む、「こいつらマジメに何やってんだ」感の藍備とてもかわいい 。
まっすぐで無邪気で、夢百合を含めた3人が本当に好きなんだろうなというのが伝わる 。


◾︎雛菊
人前では象徴としての気高さを持ちながら、象徴ズ(雛菊、蓮、藍備の3人のことを指します)+夢百合だけでいるときは少女のような無垢さと爛漫さ。
演じる今村美月ちゃんの切り替えもすごい。
雛菊もまたこの3人のことがまっすぐに好きなのが伝わる。



◾︎
谷水さん(FATE)の演じる蓮は感情を抑え込むように、自分をも騙すような飄々とした(風を装っている)、そして諦めることですべてを終わらせようと決意した(してしまった)蓮を演じてるように感じた。

やみえんさん(LISM)の演じる蓮は黒い感情が自分を蝕んで苦しさが溢れてしまっているように見えた。
まだ葛藤の途中だがでもどちらにしても戻れない道を辿ってしまった運命を呪い、「悲しすぎて笑ってしまう」(シンの台詞にも同じ台詞がある)姿に見えた。

藍備を斬ろうとしたあとの「避けちゃうんだもんな~」の台詞で腕に付けた青い紐(正確な名称は分からないが)を解いて捨てるシーン(谷水さんの場合。やみえんさんはやってなかったかもしれない)。まるで自分(蒼の国)の命を諦めて捨ててしまっているように見える。
また髪に結んだ紐は白と赤(緋)なのも興味深い。

藍備に斬りかかろうとしたあと「何もかも壊そうとした」と告白をしていたが、その前の泉のシーンで雛菊に何かを言おうとして創厳(そうげん)に質され何も言えずに立ち去ったこと、あれは何かを伝えて雛菊は殺さないつもりでいたのではないかとも思う。

創厳に裏切られたことを悟った瞬間の後悔、「ひな…」と愛する者の名を呼び絶命する姿があまりに切ない。

◾︎藍備
まっすぐ仲間たちのことが大好きで、どこか無邪気さの残る藍備だが、蓮に斬りかかられ蓮の本音を聞いたあと「誰でも醜い感情は持ってる。ましてや俺たちは孤独の闇の底でギリギリのところで耐えてきたんだ」と藍備も本音を漏らす。
こんなにも前向きで無邪気に見える彼もずっと孤独で苦しく、ときには醜い感情に埋もれそうになりながら、平和のために己を殺して生きてきたのかと一気に彼(ら)の背負ってきた人生の苦しみが伝わり切なくなる。

◾︎夢百合
象徴ズと仲良くはあってもやはり雛菊に仕えるために生き、一歩ひいたところから象徴ズを見ているからこその憧れやコンプレックスや彼らを閉じられた世界から救いたい思いや、いつまでもこの関係性が続いて欲しいと願う気持ち、そんなものがない混ぜになった、でもこれからもそういう面を見せずに生きようとしてるであろう迷いや複雑さがとても伝わる。
小島愛子ちゃん(LISM)のハモりやフェイク美しい。(川又さんの声は配信であまり聴けてなくてすみません)


◾︎カメラワーク
蓮の「もう戻れないんだよ」のシーンでカメラが蓮だけをアップで抜く。蓮の鬼気迫る迫力が伝わる。
そして蓮が藍備と雛菊を殺そうとした瞬間、創厳が出てきて蓮を刺すのだが配信だと創厳が出てきてることが分からないように撮られている。
なので藍備と雛菊のピンチである緊張感からの一転蓮が殺されてしまうというどんでん返しがとても効果を発揮していてこれは配信ならではの面白さだと思った。

◾︎象徴ズ+夢百合の背景
今回の舞台では詳細は描かれていないが、過去のFATALISMの舞台では当時の演者さんによるスピンオフ朗読劇でそれぞれ夢百合+雛菊、藍備、蓮の背景が描かれている。

象徴ズの3人ともが親の愛を充分に受けられず、周りからも平和のための象徴という「モノ」としてしか扱われておらず、愛というものをほとんど受けずに生きている。
夢百合もまた、幼いときに親を亡くし創厳に雛菊の従者という仕事を与えられるが、夢百合にとって認めてもらいたい存在であった創厳はただ野望のために夢百合と雛菊を利用していただけ。
幼いときから外の世界と接触を持つことは許されず心を開いて交流する相手を持たず孤独に生きてきた彼らの背景と、出会いによってはじめて生まれた温かい感情、象徴ズだけが「わかりあえた」孤独と幸せを知ると余計にこの舞台の深み、面白さが味わえる。(私は観劇後にスピンオフを見ました)



◾︎2023年の世界
世界は過去や未来ではなくあくまで並行世界
百合亜(=夢百合)
莉乃(FATE)・陽織(LISM)(=雛菊?)
莉央(FATE)・陽暮(LISM)(=藍備?)
佐輔(FATE)・知樹(LISM)(=蓮?)

◾︎2123年の世界
ツタバ(=藍備)
エイナ(=雛菊?)
シン(=蓮?)
テン(=夢百合?)
 

2123年世界の音楽によってAIのコントロールができるプログラムを組んだのは2023年世界で創谷(創厳)の「ねじれ」が解けたから?

未来に希望を抱きつつ未来のために今を諦めているように感じる藍備=莉央・陽暮=ツタバ

今に絶望し本当の思いを捨てることでこれ以上傷付くことから逃れようとしているように見える蓮=佐輔・知樹=シン

◾︎「ねじれの起因」
運命のねじれの起因のひとつとなった夢百合や藍備の別の世界を見ながらも「私は何をすればいい?」「私にできることは?」と絵空たちに尋ねるどこか受け身な雛菊。
とても無垢で素直な雛菊“だからこそ”運命をそのままに受け入れて流されてきた雛菊に亜歩露が言う「まだ他人事のような顔をしているね?」のインパクトは強い。
ただ仲間たちを助けたいという思いのみでは足らず、自身に与えられた運命をもすら変える「一歩踏み出したい」「みんなと生きたい」という自らが変わる意志を出したことで本当の「ねじれ」は消えていったのかもしれない。

◾︎今村美月さんという俳優さんについて
4年前の「FATALISM≠ Another story」でも雛菊を演じてこられてたということもあってか、(当たり前なのかもしれないけど)まさしく雛菊そのもの、という感じがした。
象徴としての雛菊は高潔で、しかしどこか光を無くしたようでもあり、一転藍備や蓮に会えたとき、あるいは夢百合とだけでいられるときは表情も声の弾み方も動きの無邪気さもまるで違う。
一気に無邪気で爛漫な少女のようになる姿を演じられる彼女の演技力が素晴らしかった。
「天満月」を歌う彼女の歌声や踊りや所作のもまた神に奉納するという設定にふさわしい神聖さを感じる美しさだった。




3/11よりOWVのライブツアーがはじまります(福島・大阪・福岡・東京)

チケットぴあ

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2341849


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