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【茶道文化検定Web版】4級受験レポ

なっちゃん:Twitter
1994年8月生まれの女性。
裏千家入門4年目。
2022年8月、茶道文化検定4級合格。

茶道文化検定Web版とは?

深い精神性と独自の哲学のもと、長い年月をかけて受け継がれてきた日本を代表する伝統文化である茶道を、美術、工芸、建築、庭園など幅広い分野から学べる検定です。

引用:茶道文化検定Web版公式HP「茶道文化検定とは

茶道に一度でも触れたことがある人なら感じること。
それは、自分一人の一生だけでは語り尽くせないような深い精神性や知識が必要であるということだ。

私は、茶道教室に入門し、3年以上経ってある程度のお稽古の流れや茶道の所作に慣れてきた。しかし、ふと感じたことがあった。
私には、茶道のお稽古以外の「知識」が不足している、と。

要するに、座学の部分である。

茶道文化検定は、まさに茶道の「知識」をつけるための検定だ。

ちなみに、現在実施しているのは『茶道文化検定Web版』という名称であるが、前進の検定は、ペーパーテストだったことに由来する。

詳しい内容は、茶道文化検定Web版公式HPでご確認いただきたい。

茶道文化検定の各級のレベル

≪茶道文化検定Web版 難易度と想定対象者≫
※4級<3級<2級<1級 の順で難易度が上がる

◆4級:茶道の文化に関する基礎的な知識
今まで茶道に触れたことのない人や、稽古を始めたばかりの初心者、また学校で茶道を学んでいる児童・生徒・学生を対象。

◆3級:茶道の文化に関する一般的な知識
すでに茶道を学んでいる人で、知識面での確認や充実を図りたい人を対象

◆2級:茶道の文化に関するやや高度な知識
茶道をある程度学び、さらに知識の幅を広げたい人を対象

◆1級:茶道の文化に関する高度な知識
茶道の知識をさらに深めていきたい人を対象

参考:茶道文化検定Web版公式HP「学習のポイント」

今回は私が2022年8月に実際に受験した4級を中心に解説していく。

4級:茶道の文化に関する基礎的な知識

茶道文化検定公式テキストは、『茶の湯をはじめる本 改訂版 茶道文化検定公式テキスト 4級』だ。

茶道をはじめたばかりの人やこれから茶道を学んでみたいと思っている人向けの内容で構成されている。
茶道文化検定は、基本的に公式テキストの内容から出題されるので、公式テキストを通読することから試験勉強を始めてみよう。

【素朴な疑問】茶道経験者なら3級からでもいける?

茶道文化検定Web版公式HPでは、対象者を「今まで茶道に触れたことのない人や、稽古を始めたばかりの初心者、また学校で茶道を学んでいる児童・生徒・学生」としている。

さらに公式HPの『よくあるしつもん』では、『4級テキストは、「これから茶の湯をはじめよう」3級のテキストの内容からポイントを絞った構成』と、回答されている。

「ならば、茶道経験があるなら3級から受験した方がテキスト代も少なく済むし、お得なのでは?」
そんな考えが浮かんでくる人も多いのではないだろうか?
茶道経験者としてのプライドも出てくるだろう。
実際に、私自身が4級の試験勉強をする前は、地道に4級からがいいのか、飛び級して3級から受験するかで、少し悩んだ時期があった。
実際はどうなのだろうか?

結論からいえば、これまでに茶道と触れ合った回数が多い場合は、3級からでも問題ないと思う。
しかし、茶道と触れ合った回数というのは、お稽古を積んだ回数だけではない。
お茶会の参加経験や、茶道資料館や茶道具など美術館などに行って、常日頃から茶道への探求心を持っている人という意味も込めての「茶道と触れ合った回数が多い人」だ。

なぜなら、茶道文化検定は日常のお稽古で習う作法の試験ではなく、茶道にまつわる歴史や茶道具などの知識を問う検定だから。

日常的なお稽古は、基本的にお作法を練習している場の人がほとんどだと思う。
もちろん、お稽古をしていくなかで、お茶室、茶道具に触れる機会や茶花、季語などのことばもよく目にしたり、耳にする機会はあるだろう。
しかし、お稽古をしているだけで、茶道の歴史や茶道具の詳しい名称を知っている人は、あまり多くはないように思う。

何より茶道のお稽古を実際にしている人は感じているはずだ。
茶道の世界は幅も奥行きも深くて、ほんの数年で習得できるものではないのだと。しかも、茶道は基本的に文字の世界ではない。五感で感じる世界なのだ。

しかし、茶道の知識は文字で読めることも多くある。それは、茶道の歴史の中で、文章化しようと試みた多くの茶人の茶道への探求心からくるものであろう。

「茶道をもっと楽しみたい」「茶道をもっと知りたい」そういう探求心のある現代の茶人なら、流派問わず、ぜひとも茶道文化検定に挑戦してみてほしい。

「お稽古は数年の経験があるけれど、茶道の歴史やお茶会経験はあまり多くない」そういう人は、まずは4級から勉強してみてはいかがだろうか。
普段の何気なくやっていたお稽古が勉強した後では質が大きく向上することを実感できるはずだ。

4級を勉強してなお、物足りないと感じたならば、3級も同時受験を視野に入れて勉強してみるのも手だ。
4級の知識が入っていば、3級の深堀りした解説文でより理解が深まるだろう。

〈考察〉
茶道文化検定Web版4級の「全体的な概要を知る」という意味で、歴史の授業でいえば小学校の授業ペースといえるのではないだろうか。
「歴史の出来事で必ず知っておく必要があるレベル」といったところ。
例)「平安時代は貴族の時代」、戦国時代は武士の時代で織田信長が天下統一」、「江戸時代を作ったのは徳川家康」など

なお、3級は中学校レベルの歴史の授業ペースといえそうだ。
「歴史の出来事に仕組みを解説する」といったところ。
例)「藤原道長が摂関政治を行った」、「織田信長が楽市楽座を開いて経済の流通制度を整えた」、「田沼意次が享保の改革を行って江戸幕府の財政難に躍起した」など

茶道文化検定Web版4級で合格できた勉強方法

私(なっちゃん)の茶道文化検定Web版4級検定結果

私の検定結果は↑こんなかんじだ。
ちなみに私は、そこまで要領がいい方ではない。
ただし、元から日本の歴史やお茶(抹茶に限らず)の歴史は好きなので興味深々だったことは、先に伝えておく。
(おかげで「茶の歴史」は初受験で正解率100%だった。)

≪勉強の流れ≫
1.公式テキストを2度通読
2.公式問題集12⇒公式テキストで読み返す
3.公式問題集11⇒公式テキストで読み返す
4.公式問題集10⇒公式テキストで読み返す
5.公式問題集12⇒公式テキストで読み返す

試験勉強の開始時期は、試験開始の1か月ほど前。
実際の試験勉強期間は2週間ほどで、以降は3級の勉強に移行している。

1.公式テキストを2度通読

4級テキスト「茶の湯をはじめる本

1度目の通読は、あくまで試験概要を知ることが目的だ。
「???」があっても、ひとまず読み進めることをおすすめする。

2度目は、テキストの内容をある程度理解することが目的だ。
2度目の通読になると、1度目のときに「???」と理解できなかったことが、わかるようになっていることに、少し自分の成長を感じられるはず。

私の場合は、飲み込みがあまり早くないので、1度目の通読から2度目の通読までの期間を1週間ほど空けている。そうすることで、自分の頭の中で新しい知識を整理できるようになるのだ。
飲み込みが速い人は、数日空けるでだけでも良いだろう。

2.公式問題集12⇒公式テキストで読み返す

1~4級「茶道文化検定公式問題集12

まずは、最新の「公式問題集12」の『4級の検定問題』を一問一答形式で問題を解いてみよう。
間違えたところや、回答があやふやだった箇所は、付箋を付けて、あとでわかるようにしておくのがポイントだ。
さらに、間違えたところやわからなかった箇所は、その場で公式テキストで確認することで、理解度が深まるはずだ。
できればテキストを2度目の通読からすぐに行うのが好ましい。
記憶があるうちに実力を測ることで、記憶の定着につながるだろう。

最後に、付箋を貼った箇所を数えて今回の点数を出してみよう。
このときは合格点に到達していなくても焦る必要はない。
今回の目的は、出題傾向をつかむことが目的だからだ。

3.公式問題集11⇒公式テキストで読み返す

3・4級「茶道文化検定公式問題集11

ここからは過去問をひたすら解いていくことになる。
毎日15分でもいいから時間を作って取り組むことをおすすめする。ここから先は、理解よりも記憶できるかどうかが勝負になるからだ。

なお、公式問題集11以下は筆記試験当時のもので、練習問題と第11回検定問題(過去問)が掲載されており、公式問題集12とは若干異なる構成をしている。

Web版になってから、難易度がアップしているので、公式問題集11以下の練習問題は、4級だけでなく3級の内容も一問一答で取り組もう。
公式問題集12よりも、丁寧な解説がついているので、理解を深めるために読んでおくことをおすすめする。

なお、間違えた箇所は付箋を貼っておこう。自分の苦手箇所の傾向がつかめてくるはずだ。

さらに、複数年の過去問を解くことで、よく出る問題の傾向がわかるようになる。過去問は最低でも複数年分を挑戦するようにしよう。

4.公式問題集10⇒公式テキストで読み返す

3・4級「茶道文化検定公式問題集10

公式問題集11と同じ要領で、解いてみよう。
公式問題集10~12と、3年分の過去問を解くことで、出題傾向や勉強の要点がつかめてくるはずだ。

5.公式問題集12⇒公式テキストで読み返す

1~4級「茶道文化検定公式問題集12

最後に、もう一度公式問題集12の4級第12回検定問題を解いてみよう。
1回目のときと比べて、段違いに自信をもって回答できる自分に驚くはずだ。
再び付箋の数で点数を計算してみよう。
私はこのとき、かなり余裕で合格圏内にいることを確認出来て、自信につながった。
もし、まだ合格圏内ギリギリだという場合は、先ほど紹介した2~4の方法を繰り返してみてほしい。
遅くとも勉強期間1か月で合格圏内に到達できるはずだ。

茶道文化検定Web版4級を実際に受験した感想

確実に過去問より難しくなっているWeb版

実際に受験してみて感じたのは、唯一のWeb版の過去問が載っている『検定問題集12』と比べても、かなり難易度が上がっているんじゃないか?ということ。
筆記試験時代の『検定問題集11』や『検定問題集10』の過去問とは比べものにならないほどレベルが上がっていることは確実だと感じた。

基礎的な事項をきちんと理解していないと解けないような問題ばかりなので、基礎を固めるという意味ではやはり、『検定問題集11』や『検定問題集10』の過去問は試験勉強に使えるといえそうだ。

ポイントは、単に事柄を覚えているだけではなく、理由づけも含めてきちんと理解することだろう。

二十四節気や七十二候を覚える

私の解答率が一番低かったのが、「茶のこころ」の範囲だ。
今回の試験は、過去問のレベルの「茶のこころ」と雲泥の差があると感じるほど、難易度が上がっていた。

特に私の場合は、二十四節気(にじゅうしせっき)や七十二候(しちじゅにせっき)の細かいところまで覚えていなかったので、点数を獲得できなかった。

とはいえ、二十四節気や七十二候は覚える量が多く、あまり聞き馴染みのない言葉も多いので、ただ暗記するには厳しいものがある。

しかし、二十四節気や七十二候は、茶道の精神性と深い関わりのある言葉なので、知っているだけで普段のお稽古にも役立つこと間違いなしだ。

試験を受験後、知識不足に反省した私は、どうやったら、ただの暗記ではなく、理解するところから二十四節気や七十二候を覚えられるか、考えた。

結論としては、以下2冊の本を読むことである。

◆『二十四節気に合わせ心と体を美しく整える---医者にも薬にも頼らない和の暮らし
◆『日本の七十二候を楽しむ ―旧暦のある暮らし― 増補新装版

数年前、「和の暮らし」が見直され始めたことで、本屋さんで話題になった本である。

単に二十四節気や七十二候が紹介されているのではなく、考え方の元になっている陰陽五行についての解説や日本の旧暦についても解説されているので、茶道の精神性を理解するのに知っておきたい内容ばかりだ。

さらに、時期ごとに気をつけたい体調の変化や摂るべきとされる食材の紹介もされているので、「心身を整える」ための参考になるので、茶道だけでなく、日常生活にも役立ちそうな情報が満載だ。

4級受験を終えてお稽古に挑む

茶道文化検定4級を受験してみて、何より良かったこと。
それは、茶道への理解が深まったことで、お稽古の理解が深まったことだ。

勉強する前は、普段のお稽古場の茶室の間取りについて、どのような特徴があるお茶室なのか詳しく考えたこともなかった。

茶道具の造りを知ったことで、「拝見」の意義が分かった。
「問答」をなぜするのか、何を聞いているのか、どうしてそんなことを聞くのか、それらは茶道の歴史や茶道のこころを知ることで分かったことだ。

理解していなければ、まるで形ばかりの所作や言動に見える茶道。
しかし、実態は真逆だ。すべてに意味があり、形ばかりのものなんて一つもない。
むしろ、形ばかりものものをすべてそぎ落として、シンプルイズベストを究極に突き詰めたのだが、現代へ伝わる茶道の形なのだから。

次回の検定試験期間はまだ発表されていない。
通例でいけば1年に1度、6月~11月のうちの1ヶ月間程度と予測がつく。
次回の試験が楽しみだ。
本音を言えば、1年に2~3回くらい実施してもらえたらいいのに……なんて、思ったり。

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