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ストレスを放っておいていいの?

ストレス反応と対処法を紐解く

今回のトピックは「ストレス」です。
私は昔、あらゆる病気の原因の一つにストレスが挙げられていることを疑わしく思っていました。
病気の原因が分からない時に使う医学者たちの言い訳ではないの?なんて思うこともありました。
でも、ストレスが引き起こす体の反応を知ると、もしかしたら、ほとんどの病気の一因にストレスが関与しているのではないかと思うようになってきました。
心と体の密接な関係は科学で証明済みなのです。

マサチューセッツ大学医学大学院教授で、マインドフルネスストレス低減法の提唱者である、ジョン・カバットジン博士は自著 『マインドフルネスストレス低減法 北大路書房』の中でストレス反応と治癒力について、次のような体験を紹介しています。
これは、有名な心臓病の権威であるベルナルド・ロウン博士が実習生時代に体験した出来事です。
「私がハーバード大学医学部で研究員をしていた時に、私が初めて受けもった患者の一人、S婦人は心臓の一部にトラブルがありましたが、仕事や生活には支障がなく、主治医である心臓学の教授のもとで治療を受けながら、10年以上病気とつきあっていました。
彼女の主治医は、患者たちの信頼が厚い完璧な臨床医でした。
この時も、診察が終わって彼女ににこやかに挨拶したあと、振り向いて、見学に来ていたたくさんの医者に、「この女性はTSだ」と言って、立ち去っていきました。
教授が部屋を出た直後にS夫人の心臓に急激な反応が起こり、肺が心臓の急変に悲鳴をあげて過呼吸の症状を示していました。
私が、彼女に動転した理由を尋ねると、彼女は主治医の使ったTSという言葉を、“ターミナル・シチュエーション(末期状態)”だと思い込んでしまったというのです。
私はすぐに博士の言ったTSは“ターミナル・シチュエーション”ではなく、“三尖弁狭窄症”の略だと説明したのですが、彼女を安心させることはできず、その後、彼女の状態は悪化するばかり。世界的にも定評がある病院が行った徹底的な救命処置でさえも、彼女を救うことはできませんでした」

ジョン・カバットジン博士は、彼女の思い込みは強固なもので、心は不安と恐怖で満ちあふれ、深刻なストレス反応に陥ったのだと言います。
では、このような強烈な反応を起こすストレス反応とはどのようなものなのでしょう。

今回は、そんなストレスを紐解いていきます。
ストレス反応のメカニズムと対処法を知れば、もうストレスは怖くなくなるでしょう。

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