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読書日記:秋保水菓『コンビニなしでは生きられない』『謎を買うならコンビニで』

メフィスト賞受賞作と受賞第一作を読了。
秋保水菓『コンビニなしでは生きられない』『謎を買うならコンビニで』

『コンビニなしでは生きられない』は、コンビニにしか居場所のないフリーターの白秋と、何事にも首を突っ込みたがる研修生の深咲を巡る、青春ミステリの連作短編集。俗にいう日常の謎だが、コンビニという特殊な職種の知識を存分に使っており、目新しさは抜群。肝心の謎も悪くない。ラストの反転も見事だ。
ただし、ライトノベル色の強い作品なので、苦手な人も多そうだ。ライトノベルとして見たら癖は弱めなのだが……

『謎を買うならコンビニで』も同じ趣向の連作短編集。ノンシリーズなので、前作を読まなくても問題ない。
前作同様にコンビニ内で起こる事件を論理的に解決するのだが、前作との違いは探偵性。主人公はある事件についての詳細を探るためにコンビニに潜入するのだ。ミステリ色がより増したと言えるだろう。
しかし、同時にライトノベル色も強くなっており、特に主人公の癖が強い。かくいう私も、彼の気障な台詞が鼻について余りのめりこめなかった。

コンビニを舞台とする珍しい日常の謎。この舞台ならではの独特の謎解きが楽しめるため、一読する価値はあるだろう。
作者はしばらく作品を発表していないが、新作は出ないのだろうか。楽しみにしている。

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