名取倦

読書日記と自作小説について、備忘録も兼ねて。主に本格ミステリを読んでいます。

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最近の記事

とかげのしっぽ2024への寄稿作について

犯人は嘘をつかない 魔法によって嘘がつけない村で起こった毒殺事件を描いた。推理パート前に情報が出揃う、純粋な犯人当てである。ハウダニットともとれるが、どうやって犯行を為したかではなく、どうやって誤魔化したのかに焦点を当てている。 トリックにはある程度自信があるが、導入と推理が少々雑だった自覚はあるし、一回目の推理のクオリティも低かったので、書き直す機会があれば修正したい。 オルゴーリェンヌが好きなので自分も少年二人組のミステリを書きたい!と思い、年齢設定は少し高めだが男二人

    • 読書日記:秋保水菓『コンビニなしでは生きられない』『謎を買うならコンビニで』

      メフィスト賞受賞作と受賞第一作を読了。 秋保水菓『コンビニなしでは生きられない』『謎を買うならコンビニで』 『コンビニなしでは生きられない』は、コンビニにしか居場所のないフリーターの白秋と、何事にも首を突っ込みたがる研修生の深咲を巡る、青春ミステリの連作短編集。俗にいう日常の謎だが、コンビニという特殊な職種の知識を存分に使っており、目新しさは抜群。肝心の謎も悪くない。ラストの反転も見事だ。 ただし、ライトノベル色の強い作品なので、苦手な人も多そうだ。ライトノベルとして見たら

      • 読書日記:方丈貴恵『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』『名探偵に甘美なる死を』

        竜泉家の一族シリーズをすべて読了。 鮎川哲也賞受賞の『時空旅行者の砂時計』 受賞第二作の『孤島の来訪者』 2023年度の本格ミステリ大賞候補作『名探偵に甘美なる死を』 特殊設定ミステリのシリーズ。典型的なクローズドサークルにSFの要素を追加し、その要素を活かしきった怒涛の論理展開が特徴。本格ミステリ最先端を担う三作品だと言える。 『時空旅行者の砂時計』では、古き良きクローズドサークル(山奥の屋敷に住まう謎の一家)の舞台にタイムトラベルの要素を導入している。端正な謎解きとタ

        • 読書日記:井上真偽『恋と禁忌の述語論理』『その可能性はすでに考えた』『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』

          今流行の井上真偽の初期三作品を読了。 メフィスト賞受賞デビュー作の『恋と禁忌の述語論理』 二作目にて本格ミステリ大賞候補の『その可能性はすでに考えた』 昨年に続き本格ミステリ大賞候補かつ2016本ミス1位の『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』 全作品を通して、極端なまでの論理パズル志向を感じた。明らかに本格ミステリ界隈へ投げかけた作品群で、純粋な小説としての魅力には乏しい。その代わり、前代未聞の興味深い趣向と隙のないロジックが素晴らしかった。これぞ現代の本格ミステリ。進

        とかげのしっぽ2024への寄稿作について

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