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【詩】「百年前、百年後」

後ろを振り返ってみれば
百年前は

僕は影も形もなくて
僕の親すら影も形もなくて
僕のおじいちゃん、おばあちゃんすら影も形もなくて

どこにもいなかった

今住んでるマンションなんて建ってるわけなくて
少し離れた山に建ってる寺が今よりも古びてなくて

どんな景色だったのだろう?
モノクロの写真がどこかに行けば
見られるかもしれないけど

前を見つめてみれば
百年後は

多分、僕は影も形もなくて
僕の親は影も形もなくて
昨日久しぶりに会ったおばあちゃんも影も形もなくて

この体はおそらく土の中で朽ちて

魂があるならそのあるべき場所へ
ないなら 静寂の中へ

今住んでるマンションもいつかは取り壊されるだろう
少し離れた山に建ってる寺は今よりも古びているだろう
ひょっとしたら倒壊しているのかもしれない

どんな景色になるだろう?
百年後はどんなメディアで
この今の景色を見返すことができるだろう?

どこかから来て
どこかへ行く

ただそれだけの生だよ

太陽が射す
月が輝く
星が瞬く
風が吹く
海が鳴る

朝が来て 夜が暮れる

その繰り返しの中で

僕ら 泣いて笑う
僕ら 愛し憎む

目を閉じれば感じる

花が咲いて散るような 何てちっぽけな生
だけどその儚い美しさが かけがえのない生

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