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【詩】「その言葉で」

今日もようやく終わったなと
溜息吐きながら職場の戸締りをして
疲れた身体引きずるように家路を辿る

地下鉄の吊革につかまりながら
流れていくいつもの闇を見つめる
その繰り返しをいつまで続けられるだろう

何かを待っているわけではないけど
ふと立ち止まり振り返ることがある
そこに君が立っているはずがないのに

僕の言葉は君に届いたかな
つたなくもわがままな想いだけど
もう偽ってもしかたがない
そう思うのが僕なんだ

眠りにおちるまでのほんの束の間に
例えば「素敵な世界」の中に身を沈める
鼓動音に少しずつ癒されながら

僕であるための言葉を確かめるように手繰る

生きていくことに僕は言い訳ばかりで
望み欲することにいつの間にか臆病になってる
そんな心なことを悔やまないと言えば嘘になる

だけど悔やみ続けていても何にもならないこと
それをささやかながらも分かっているから
僕は君を無くしてしまってでも構わないと思った

僕の言葉は君を傷つけたね
つたなくもわがままな想いだった
もう偽ってもどこにも行けない
そう僕は思ったんだ

今はもう何かを待っているわけではないけど
一人歩く街中でふと我に返ったように立ち止まることがある
そこに君がいるはずがないのに

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