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再掲【詩】「桜の雪」

桜の雪が降る

恋の木が枯れる

誰の涙だろう?
突然の雨に濡れながらふとそんなこと考えた

桜の花が鳴る

命の木が痩せる

誰への歌だろう?
水滴を含んで散る花びらにそんなこと考えた

いつか叶えばいいなと埋めた約束は
咲くこともなく土と化した
僕の背丈は伸びたけど
実をつけるべき枝も陽(ひ)を吸うべき葉も持てなかった

いつかそうなるようにとついた願いを
叶えることもないままここまで生きた
僕の齢は重なり来たけど
増やしたのは失望と諦めの数だったような気がするよ

いつか歩いたはずの道を今こうして歩いてる
それなのにどうしてこんなにも心許ないのだろう
降りかかる雨粒と花びらの匂いと香りが僕を混乱させる
懐かしさなのかそれとも怯えなのかが分からなくて

風が奏でる桜の音は儚くそれでいて高らかで
「そんなはずじゃない」と思う僕の心をよそに
知らぬ間に晴れ上がってたこの空間をこの時間を
ただひらひらと舞っていく

ただ知らなかった想いをどれだけの数乗せているのだろう
ただ散り行くだけなのにどうしてこんなに心騒ぐのだろう
見上げる僕に降りかかる桜の淡い春色の雪

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