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【詩】「Dear」

あなたたちに愛されて僕は生きてきた
いつも素直じゃない言葉ばかり返してるけど
たまには「ありがとう」と言いたい
でもそれが照れくさいからあなたたちの知らない場所で
このうたをうたおう

拝啓、僕は生まれてから身体が弱くて迷惑ばかりかけました
僕が病院の白いベッドの上で寝ているとき
離れた場所であなたたちは激しい喧嘩をしたらしいですね
その原因は僕じゃなかったけど
引き金は僕だったということは後からあなたたちから聞きました

拝啓、僕はなまじっか勉強なんてモノができたから大学まで行きました
僕が大学のキャンバスで授業をサボっているとき
それぞれの汗をあなたたちは流して僕の四年後を期待してくれてた
それに殆ど応えられなかったことを
こうして社会に出てしまった今になって時々心が痛くなります

殴られもしたし、怒られもした
泣きながら口答えして部屋に閉じこもった幼い頃もある
それでも何も言ってくれなくても
あなたたちはその姿で僕を愛していてくれてる
それを今こうして感じてる

拝啓、僕はあなたたちのくれた愛情を誰かに与えられないかもしれません
僕はあなたたちのように強く在れないことに気がついたとき
ただ自分だけが可愛くなるようにと卑怯にもそんな道を選びました
それはあなたたちが見たがっている未来の一部を
閉ざしてしまうことかもしれないと十分に承知はしてますけど

あなたたちに何も返せないまま時は過ぎ行くかも知れません
あなたたちを泣かせるようなことはしてきたつもりはないけど
きっとどこか僕の知らないところであなたたちは泣いてきたのでしょうか
そんな話は今はまだできないでしょうけど

何も言ってないし何も言ってくれなくても
あなたたちのその姿で僕は愛されてると感じてる
いつのまにか僕の背丈はあなたたちを追い越してしまった
だけどいつまで経ってもあなたたちを追い抜けないままです
あなたたちのくれた愛はきっととてつもなく大きいものなんでしょうね

あなたたちに愛されて僕は生きている
いつもかわいげない言葉ばかり返してるけど
たまには「ありがとう」と抱きしめたい
でもそれは照れくさいからあなたたちの知らないこの場所で
このうたをうたおう

そしていつかこのうたをあなたたちに贈りたい・・・

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