できるできない と するしない
娘が手術を受けました。手術が決まったとき、きっと当日は途方もない待機時間(しかも不安いっぱい)が続くことが予想されたので、Kindleで漫画を買うことに。
そこで、たまたまネット広告に出ていた田村由美さん作の「ミステリと言う勿れ」という漫画を購入。
この漫画は天然パーマの主人公 久能 整(くのう ととのう)くんが観察眼と洞察力を活かしながら、起こった事件の解決のみならず関係者の心の澱までもを洗い流していく、不思議な物語です。
わたしが好きなのは第二巻で起こる事件の最中、整くんが不妊治療の是非に悩む女性に言った言葉。
「僕は 人は自然の生き物なので 人がすることは 全て自然の範疇だと思っています (中略) できることでしたいことは したらいいと 僕は思う」
わたしはあまり信心深い方ではないですが、この言葉を読んだとき、雷に打たれたような、天啓を受けたような厳かな気持ちで確かに「救われた」と感じました。
我が家の子どもたちは体外受精(厳密には顕微受精)で授かっています。息子は旋回異常で心拍低下からの緊急帝王切開。娘は帝王切開で産まれ、生後2ヶ月で先天性の病気が発覚、先日手術を受けました。
2人とも最先端の技術を駆使してこの世に生まれ、生かされているのを感じるにつれ、もう50年も昔であれば会うことも叶わなかった命だろうなと思います。
「いい年齢で産んだのね」「若いから2人目もすぐだったのね」
そんな言葉を聞くたびに子どもたちと出会えて幸せなのに、いつもどこか後ろめたいような。
彼が物語の中で紡ぐ言葉は水のように染み込んで、心の中にひそむ、ひそかな澱を溶かしていくようです。あなたが隠し持つわだかまりも、溶けてなくなるかも。
もちろん物語自体も素敵なので、是非読んでもらいたい。そんな漫画です。
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