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マルチに沼って人生詰んだ①-2

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5年間、潮時をいくつも逃して人間関係破綻へ

「この組織、怪しいかもっていう感覚から遠ざかった要因が
いくつかあるのが今思えば悔しいんです。

たとえば、セミナーを紹介していた人が実はマルチ2世だったんですよね。
両親も会員として紹介されて、こんな近しい人もやってるなら大丈夫、って思ってしまいました。

それに、そのとき抗不安薬を服用していて。
ぼぅっとするやら、眠いやら、緊張感が保てない状態でした。
だから、ネットワークビジネスとは、、
って多分、言ってくれてなかったような気がして。

本当は言わないとだめなんです。
だけどその時は『稼げるよ』『人から感謝されるよ』『私たちと一緒にやろうよ!』ってしか言われなかった気がする。」

そうして会員となり、製品を購入していった。
会員には2パターンあった。
一般的な消費者のように製品を愛用するだけの会員、
製品をほかの人にも広めてマージンをもらう会員。

前者の選択肢を与えられないまま、彼女は後者の会員になった。
後者は毎月1万5千円の商品代が最低限かかる仕組みだ。

絵美さんはこれまであった人たちとは違う感覚を持った人だと思えた。
それが新鮮で商品がどうと言うより、彼女に会いに行くようになった。

「仕事でボロボロになっていても、
私の周りの人は、
『石の上にも3年だよ』とか
『入りたかった業界だったじゃん』とか言われてたんです。

けど絵美さんは、
『あなたが今やってる仕事はもっと合う人がいるから。
逃げるんじゃなくて、その人に譲るって気持ちでいるのもいいと思う』
って言ってくれて。

自分の迷いに背中を押してくれたのがすごく嬉しかった。

その後も、特別可愛がってるんだよ、
というメッセージを端々に感じて、
言われた通り友達を勧誘したり、
自身で製品を買ったりし始めました。

これも今思えばリップサービスだったんですよね…」

絵美さんが「わたしに会わせたいお友達いる?」と言えば、
何人か人生に悩みがありそうな人に会ってもらった。

そのうちの一人は彼女に激昂した。

「あの人と関わるのは本当にもうやめな!!!
友達売りたいの?
私がお金に見えた?
あの人と続けるなら、今後の関係性考えるわ…」

うまく伝わらなかったな、と思った。

それから、携帯のアドレス帳の上から下まで
かたっぱしから一斉送信メールを送った。

内容は、
エステを始めたから体験しに来ないか、
というものだった。

チェンジ独自の資格を取得し、その化粧品を使ったエステ体験だ。

反応は様々だった。

アドレスが変わって送信できない人、
「送り先、間違えてない?(笑)」、
「え、かもみるちゃん、なんかすごく怪しいよ…本当に大丈夫?」

少なくとも好意的に参加を表明した人はいなかった。

またその頃同時に家庭内でも崩壊が起き始めていた。
普段使っていた化粧品から、
一気にチェンジの商品に変わっていく様を見た母親は
チェンジのホームページを見て、
マルチ商法だと気が付いた。

「顔合わせるたび、
『あんなのやめろ、あんなのやめろ』って言われました。
『使ってみてもないくせに、わかった口きくんじゃねえよ!!』
『お前こそ何もわかってねえんだろ!だ
れがあんな汚い金巻き上げる商品なんて使うか!』
みたいな感じで、イタチごっこでした。」

友人関係も、家庭内も、
こんなことになってしまって一人では抱えきれなかった。
チェンジの人に相談すると

「あなたが変わっていくのがみんな寂しいの。嫉妬してるだけだよ!」
「もう暗い話やめよ!私の彼氏のこと聞いてよ!」

と共感や相談とは程遠い反応が返ってくるのみで、
ここで初めて温度差を感じ始めた。

勧誘などで動き出すと、
これまで見えなかった部分もどんどん見えてくるようになった。

「今まで特別可愛がってくれていた態度の絵美さんも、
わたしが勧誘に躓いていると冷たくなっていくのがわかったんです。
『なんでここまでやらないの?』
とか
『会わせたいって言うけど、ここの説明ちゃんとした?』
とか。

そんなふうに言われてしまうと、
やっぱり私が出来ないからだ…としか思えませんでした。
でも態度変わっちゃったな、とか、
私を紹介した先輩のことはまだ可愛がってるっぽいな、とか。

嫌になったというより、嫉妬でした。
母ともこじれていたので、余計むきになって。
成果上げてやる!って。」

パワハラにまみれた職場は1年で離れた。
業種をガラリと変え、新たに整骨院で事務や施術のサポートして働いていた。
前職とは何もかも180度違った。

「あなたはうちのエースだよ」
「こんなに努力してるなんてすごい」
そんな言葉を日々かけられていた。

「後悔ばっかりが出てきてしまいます…」
と時折止まりながら、声を震わせながら、彼女は続ける。

「すごくいい職場だったんです。
でも整骨院だから、サラリーマンのお客さんも多いし、
土日にこそ働ける人が必要で。

でもわたしにはセミナーがあったんです。
ちょうどチェンジで好きだった人が癌でなくなって、
『あの人の分もがんばろう!!』って燃え上っていたところで。

商品使っていても健康にならないじゃん、
という方向とは真逆で
洗脳が解けるきっかけどころか
頑張る燃料になっていました。」

あるとき、院長に「土日も入ってもらえないか?」と呼び出された。
土日に彼女が休むことで、現場はうまく回らず、
待ち時間などトラブルも増えていたことも聞いていた。

もう何もうまくも行っていないマルチ商法じゃなくて、
仕事を一生懸命やろうと思った。

「でも、チェンジの人に相談するとなんかまた引き戻されちゃって。
結局…本当にばかなんですけど、
あんなによくしてもらったのに、転職しようってなったんです。

『この活動に理解がない職場なんて』とか
『そんなところはやめた方がいい』って。

それで4年働いたんですけど、やめちゃいました。」

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