子供をマルチリンガルに育てた結果

バイリンガルは2カ国語を話せる人。


トリリンガルは3ヶ国語を話せる人。


4ヶ国語以上話せる人はポリグロット・もしくはマルチリンガルと言います。


うちの子はパリ産まれ。私は日本人で旦那はアメリカ人。


なので産まれてからすでに3ヶ国語を聞いて育ってきたわけです。


それでも大変なのに3歳の誕生日目前に香港に転勤。


見つけた幼稚園は英語と中国語(マンダリン)そして香港は広東語。


広東語はさすがに数字くらいでしたが中国語は先生が言っていることはほぼ理解出きていて、発表会なんかの歌も周りの子供たちと同じように歌ってました。

そして4歳からベルギー。


ベルギーの北のほうは公用語がオランダ語、南の方はフランス語です。元々はフランス語圏の方に住もうかという話も出て居たんですが旦那の働く大学があるヘントはオランダ語。でもなかなか雰囲気もいいし、もう1ヶ国語頑張ってもらっちゃいますか!なんて気ままに選んでしまいましたが、幼稚園も何の問題もなく、迎えに行くと友達とも”ぺらぺらぺら・・・だー!”(だーはHave a nice day という意味)となんの問題もなくコミュニケーション取れている模様。


4歳にして5ヶ国語目。中国語は1年も経てば忘れてしまいましたが、フランス語はネットフリックスを駆使して、アニメを見させたり、日本語は日本に帰るたびに、小学校に数週間通わせました。

そして7歳の時にイタリアのヴェネチアに引っ越してきました。小学校2年生に通い始めて6ヶ月、最初の成績表はイタリア語(国語)の話す、聞くは「上級」の評価でした。

全部パーフェクトでもないし、フランス語や日本語は分かるけどしゃべれない、でも子供の脳みそって本当にスポンジみたいに全部吸収しちゃうな、とつくづく思います。

私の両親はママがエジプト人で パパが関西人。家での会話は英語でした。 私も幼稚園に通い始めるまでは家では英語だけだったので日本語はしゃべれませんでした。

1週間くらい泣いて帰っていましたが翌週にはもう話し始めていたよ、と母から言われて、嘘でしょ〜って思ってましたがうちの子も違和感なく数週間で中国語もオランダ語もイタリア語も分かるようになった時は「確かに早いわ。子供は。」と感心するばかりです。


大学は言語学を学んだのでちょっと専門的な話をすると。 最近の研究では9歳以降に学んだ言語は完全にバイリンガルになるのは無理(研究によっては7歳以前に学ばないと発音がマスター出来ないという研究者も居ます。)


人によっては、“幼い頃から2カ国語学んでしまうとこんがらがるし、子供も話し始めるスピードが遅くなる”と言って日本語なら日本語、フランス語ならフランス語しか話さない人も居ますが、私から言わせてもらえば

もったいない!!!!


確かに最初から2カ国語以上触れていると話し始めるスピードは遅くなる子もいます。私が仮定する理由は、子供ってインプットの量がある基準を越えるとその単語を使うようになるので同じ物に対して2つ言い方があるのでインプットに時間がかかります。 ただ、話し始めてしまえばそこからは早いです。そのうえ最初から両方、発音もネィティブになってるのですから!


このブログではマルチリンガルに育てる過程で、気をつけた点、私が今直面している問題点なんかを描いてみようと思います。


*不安にしていたら子供に伝わる。


1番最初に思ったのは子供の送り迎えの時にどう教室に入ったらいいのか、という点。

最初はパリの保育園だったので私は日本人らしく?こんにちはーと言いながら控えめに入っていったんですが旦那はアメリカ人なので「ヤァ!みんな!僕が来たよ、みんな元気かい!!?」とまあ部屋にいる全員が振り向く感じで登場するわけですよ。


いつも送りは旦那だったので娘もそんな感じで入場する感覚を覚えたみたいで、私が友人とご飯食べに行くのに連れて行くと

「Natashaの娘ちゃん、登場の仕方がダイナミックだよね。紅白のトリみたいにばばーーーーん!私来たわよ!って入ってくるよね」って言われたんですけどそれは完全に旦那の影響だわな。


旦那曰く、そうやって部屋に入れる=自信があるということで”言葉がわからない空間”を少しでも不安要素から外してあげてるんだよ。というワケです。


なるほどな、と思いました。


子供って親が不安な時にそれを察知して泣いたりするんですよね。


子供が泣き止まない親って大抵すごく心配そうな顔してたり、「この子一生泣き止まないんじゃないか」って思ったりしてるから子供も察して余計泣いたりするところってあるなと思うんです。泣きすぎて死ぬ子供はいないんだから、そのうち泣き止むでしょーなんてあまり気にしてないとそのうち泣きやんだり。クラスに入るのも一緒で「この子、言葉わからないけど大丈夫かしら?」より


「そのうち分かるようになるし、私の子供は出来る子!大丈夫ダイジョウブ」と言いながら「おはよーございます!」って入って行くと子供の不安も取り除けるし、自分の不安もなんとなく元気な挨拶で飛んでいきます。


*小さい子の語彙の差はあまりない


幼稚園や保育園でやることなんてあまり大したこともしないし、遊び・生活がメインなんで難しい数学の問題を説明している訳でもないから、指示がわからなくても他の子がやっていること真似すれば大抵のことはできてしまうし、生粋のオランダ語家族で生まれ育ってても所詮4−5歳の子は文法や単語の間違えも多いです。当たり前のことだけれども子供が喋れない・間違えるのはインプットが少ないから!ではなく、まだ幼いから、というだけの事。


*2ヶ国語以上話すと「苦手言語」が出てくる。


産まれた時はしょっちゅう日本帰ったり、私がメインで面倒を見ていたので1歳までは

日本語1位→フランス語2位(保育園)→英語3位だったんですけど

そのうちインプットの量が多いフランス語が1位、日本語と英語が同レベルくらいになった時点で香港に引っ越しました。


そしたら英語が多くなった分、


英語1位→フランス語2位→日本語と中国語が同立3位


香港を出る頃には(1年弱)


英語1位→ 中国語2位 →フランス語3位 →日本語最下位と。


ベルギーに引っ越して来てから6ヶ月経ち、中国語はゼロ生活となったので今は

英語1位→オランダ語2位→フランス語3位→日本語4位→中国語(もはや覚えているか謎)とコロコロ順位は変わる訳です。


イタリアに着いてから6ヶ月、日本語よりイタリア語のほうが分かるって言われちゃいました。(母悲しや、、)

苦手言葉の問題はその言葉で話すのがめんどくさい、苦労するからやりたくない、というてん。日本語で話しかけても「もう!In English!」って英語で返事しますが、そこはくじけず話しかけます。英語だったら分かるのになんで日本語で話すの?どう答えていいか分からないからめんどくさいんです。日本語で話しかけられるのが。


でもそこは子供。日本語で話しかけているうちに分かるようになったから気にならないみたいです。一年もすれば順位がくるくる変わります。


根気がいる作業ですが私の目標は「喋れなくてもいいから(返信は英語でもいいから)日本語が分かってくれればいい。」と定めています。1人しか日本語話せないのに子供がペラペラになる訳でもないのでそのうち大人になって「日本に行ってみたい」と思った時に人のしゃべっていることが分かればいいな、と思っています。


*苦手言語を学びたくなるイベントを


パリに住む友人の子供(フランス語と英語を話す両親)が言ってたのは「うちの子は英語が分かるのに話したくないみたい。パパもフランス語話すから英語で話す意味がない、って捉えちゃうんだよね。」と。


私も英語が話せるから子供にとっては日本語で話す”意味”がないんです。

私が小さい時も、学校もテレビも日本語なので家で英語で話すのがめんどくさいな〜って思っていたこともあったんです。(語彙が少ないから)でもうちの母の日本語があまりにもひどいから英語で言ってもらった方がいいなっていうのは覚えています。私の英語も下手だったら子供の日本語は伸びるんです・・。

コロナでプールが閉まったので、毎週水曜日は日本語の日に決めています。二人で日本語のYou tube 動画をみたり、(カジサックにハマっています)ドラえもんを見たり。

小さい時には、寝かしつけに読んでいた本が日本語で読んだり、あいうえおのパズルを買ってきたのでそれを寝る前にやるよ!と言って、あいうえおパズルは”パジャマに着替えた後にできる遊び”で特別感を出して覚えさせました。


要するに興味を持てればやってくれるチャンスが増えるので、ケーキを作るのを日本語でやったり、折り紙したり、色々工夫してちょっとでも日本語に触れてもらう機会を増やしています。


*話し始めは遅くなる?


バイリンガル教育に反対な人は

「話し始めるのが遅くなるんじゃない?」


私の仮説ですが、子供はコップの水みたいに同じ単語を聞いて聞いて、インプットの量がいっぱいになって溢れたらその言葉を使うような気がします。うちの子が話し始めたのはほぼ普通の子と変わらず。1ヶ国語だけ聞いていたけどうちの子より話し始めるのが遅い子も居ましたし、同じ年でペラペラ流暢に話す子も居ましたが”親がお喋るか”という違いだったと思います。インプットの量が少ない=親が比較的静かな子は喋るのも遅めだったし、おしゃべりな親の子供はペラペラずーっと話していました。


*たくさんの言葉を覚えるとこんがらがる?


反対派の意見では「2ヶ国語とか両方の単語を覚えなきゃ行けないし、他の科目がおろそかになる。特に国語の成績が悪くなるんじゃないの?」と言います。


関東にバイリンガルで授業をしている学校があります。


そこの子供達の偏差値は国語も含めて全教科平均より高い事が研究で分かったそうです。

人間の脳みそは無限大で、死ぬまで使われない部分があると言います。なので、多言語を話すからその分他の科目を学ぶ脳のキャパシティが少なくなる訳がありません!


私の場合、日本語が母国語であっても久しぶりに日本に帰ったりすると単語をど忘れしたりします。しっくりくる表現が見つからない!と焦ることもあります。言葉はスポーツと同じで練習してないと鈍ります。久しぶりにテニスや卓球をすると最初はうまくできないけどそのうち体が思い出してスムーズに動けるようになる感覚と一緒です。


ちなみに、2カ国語以上話せると他の言語もキャッチしやすくなります。ヨーロッパの言葉はゲルマン系とラテン系の起源に別れていて、そのグループ内の言語だとなんとなく似たような単語や発音で学びやすいのです。日本語が読めると香港の広東語で書かれていることがなんとなく分かる感覚。


ゲルマン系: 英語、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、


ラテン系: イタリア語・ スペイン語、フランス語、ポルトガル語、など

*まとめ・今後は


たくさんの言葉をいっぺんに覚えたからって他の子より学ぶ能力が低くなったりすることは特にありません。もちろん突然分からない環境に飛び込むのだから子供は不安です。なるべくその不安を解消させる努力、自信をつけさせてあげるのが両親の仕事かな、と思います。今大変だけどこれで将来の選択肢が広がってくれたらいいな、と思います。


3歳ー7歳までの間はどんどん言葉を吸収してくれる歳、そして「分からない」に対してさほど敏感ではないと思うのでできるだけたくさんの日本語を聞かせて、インプットの量を増やしてあげたいと思っています。

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