週末読める文豪作品。
文豪作品とはなんぞや。
なんてことを話してたんですよ。
確かに分からないなって。
うん、違う。
こっちですね。
「文豪の作品は読んどけ」
とかそういう話をちょいちょい聞くんですけれども、だとしたら大作家ってなんぞや?って話になるんですよね。
この記事については
「明治・大正・昭和あたりのなんか教科書とかに掲載される作家さん」
という認識で、青空文庫で読めるオススメ文豪作品(なたね由しらべ)を挙げていきます。
週末の暇つぶしにぜひどうぞ。
夢十夜/夏目漱石
こちらについては前に記事を書いたりもしたのですが、夏目漱石作品の中でも気軽に読めるものだと思います。
同時収録の「文鳥」は夏目漱石が鈴木三重吉に勧められて文鳥を飼うお話。先生、意外とろくでなしですね。
やまなし/宮沢賢治
「クラムボンはわらったよ」の一文が大変に有名な作品。中身がどう、とかそういう話ではないですが、「幻燈」という言葉の通りにきれいな文章だと思います。
「風の又三郎」は児童文学らしい楽しさがあります。同時収録の「グスコーブドリの伝記」が私はだいすき。「銀河鉄道の夜」のジョバンニとグスコーブドリに重なる部分を感じてしまう。
瓶詰地獄/夢野久作
『ドグラ・マグラ』を読むには気力がいります(私も未読ですし)ので、こちらを。短編過ぎて何かと考察がはかどる名作だと思います。手紙を書いた順番を推理してみよう。
こちらの文庫は未読なのですが、短編7編ということでいつか読みたい。
高野聖/泉鏡花
長いです。気軽に読むにはちょっと長すぎるお話と文体ですが、オカルトめいた不思議なお話が好きな方ならさらさらっと読めると思います。
「歌行燈」も未読。鏡花先生は言葉が美しくて好きなのですが、読むとちょっと疲れますね。
一房の葡萄/有島武郎
子供のころの悪さをした思い出、ほんのり甘酸っぱい初恋未満のきもち。身に覚えがある方ならのたうちまわりたくなるような、そして葡萄が食べたくなる美文です。
「碁石を呑んだ八っちゃん」も「溺れかけた兄妹」も、子供時代の心臓がきゅーっとなるような気持ちをふっと思い出すようなお話です。
赤いろうそくと人魚/小川未明
欲をかいたらどうなるか、という部分は童話にふさわしい内容ではありますが、子供に読ませるにはあまりにも陰鬱とした雰囲気と応報の度合いの容赦なさがまさに大人向け。
いつだったかこのお話をハッピーエンドにしました!という劇団を見掛けましたがぶち壊しなのでは、と思いました。
濹東綺譚/永井荷風
おそらく荷風自身の話なのでは?と言われている主人公と、私娼窟の娼婦お雪さんの出会いと別れのお話。確かに非日常という部分はあるんでしょうが、私生活じみた内容を読ませる文章にするというのがなるほど文豪という感じ。
当時の文化が垣間見えるようなお話は楽しくて好きです。
明治開化 安吾捕物帖/坂口安吾
堕落論が有名(未読です)坂口安吾ですが、こんな娯楽小説も楽しくていいですよ。2011年のアニメ「UN-GO」の原案になった作品ですが、こちらに明治みはないです。そちらも面白かったです。
頭が空っぽでも楽しく読める娯楽探偵物。
こちらは安吾捕物帖を原案としたアニメ。結城新十郎、お前そんなイケメンやったんか…
富嶽百景/太宰治
いわゆる「ダメ」な文豪たちは、どんな女性も魅力的に描く天才だと思います。富士山を眺めて過ごすだけの日常だというのに。
「走れメロス」を知っているけど読んだこと無い方にはこちらもおススメ。「駆け込み訴え」のどんでん返し感もすごかった。
春琴抄/谷崎潤一郎
大阪の商家でわがままいっぱいに育った琴の師匠と、そのお付きの使用人の純愛小説。純愛だと思っています、かたちはひどくゆがんでいますが。
新潮さんの谷崎シリーズは装丁が凄く好み。本当にこのお話は壮絶な純愛です。異論は認めます。
ここにこっそり三島由紀夫の「仮面の告白」を混ぜ込もうかと思ったのですが、週末で読みきれるとか大嘘にも程があるので自重しました。あと人にはおススメしません。
皆様のご厚意がネコのちゅーるか飼い主の参考書第代になります。