雪組 fff/シルクロードの感想1

雪組トップスター望海風斗さんとトップ娘役真彩希帆さんの退団公演の感想です。

新聞記者の方や他のファンの方が書いた感想がすでに沢山出ていて、このような稚拙な文章を載せるべきか正直迷って今まで書かずに置いておいたのですが、とりあえず載せておきます。

fffはベートーベン(望海風斗さん)を主軸としたフィクションで、ナポレオン(彩風咲奈さん)、ゲーテ(彩凪翔さん)がベートベンの憧れの人として登場する。ベートーベンが耳が聞こえなくなるというのは有名は話ですが、 父親がDVで家は貧乏、貴族の女性に恋して振られる、結婚できない、革命思想を持っていて政府にマークされ公演できなくなる、ナポレオンやゲーテに一方的に期待して裏切られたと感じる、故郷の親友ゲルハルト(朝美絢さん)の妻で初恋の片想いの相手ロールヘン(朝月希和さん)を出産で亡くすなど色々な不幸に見舞われ、心の葛藤を歌で表現していてもうその歌が鳥肌が立つほどの圧倒的素晴らしさなのです。そして不幸を象徴しているのが真彩希帆さん演じる謎の女でした。

ベートーベンの作曲した交響曲第三番英雄や第五番運命、そして第九番合唱付きなどが使われる激しいシーンと、舞台上に一人か二人しかいないシーンがあり、ハイリゲンシュタットの遺書やロシアの雪原のように人数が少ないシーンでベートベンの内面の表現に2000人もの観客がシーンとなって入り込むところが私は好きでした。激しい大人数のシーンがあるからこそ、逆の少人数のシーンも際立つというか。

今でこそ音楽家として成功すると社会的地位も高く金銭にも不自由しないはずですし音楽教育にも教養とお金が必要ですがこの当時、音楽家は使用人の一種で表玄関からではなく裏口から出入りして貧乏というのが以前モーツアルトを描いた映画「アマデウス」を観た時には驚きました。それに対し、当時の他の音楽家と比較して現代人に近い感覚を持っていたのがベートーベンで貴族階級ではないウィーン市民に受け入れられ市民の前で演奏し、現在私たちが目にするような演奏会のスタイルができたのですね。一方、ナポレオン法典は近代市民法の模範として現代でも受け継がれているとのことで二人とも当時の社会の仕組みを覆し現代につながるような役割を果たしたわけで、それを象徴しているのがロールヘン最後の手紙なのだなと思いました。つまり昔から現代につながる一筋の畝を作ったと。

次にメインキャストについて。

ベートーベン(望海風斗さん)

言わずと知れたトップスター望海さん演じるベートーベン。愛称はルイ。ナポレオンとゲーテの強火担。ゲーテに何度も手紙を出している。部屋は汚いがコーヒーが楽譜に少しでも溢れるのは許さない。子供のころにはDV父親の音楽レッスンと貧乏で辛い思いをしたがロールヘンの母、ブロイニング夫人(愛すみれ)に救われる。とにかく声が良く歌がうまく、作曲のシーンではピアノも実際に弾いている。ベートーベンの魂の叫びを聞きました。

謎の女(真彩希帆さん)

トップ娘役。想像上の人物なのでちょっとファンタジーな格好をしている。おろした時の髪型はGames of Thrones のデナーリス ターガリエンでピンクの服はオクトーバーフェストっぽい。歌が上手く、ベートーベンだけに聞こえるあーとかうーと歌っているところも綺麗な声。そのうち掃除や食事の支度もしてくれるようになるがコーヒーを淹れるのは苦手。ベートーベンとのお芝居のやりとりが面白い。

ナポレオン(彩風咲奈さん)

ウィーンではナポレオン・ブオナパルテと呼ばれ危険な存在とされているがベートーベンにとっては憧れの存在。ベートーベンとは実際には会ったことがない。完全に絵画から抜けでたような格好をしている。二次元。ナポレオンは実際は身長が低かったようなので、実際のナポレオンの絵画よりスタイルが良いかも。脚の長さで銀橋近辺の客を釘付けにする殺傷力をもつ。存在感が凄い。

ゲーテ(彩凪翔さん)

ベートーベンの憧れの存在。世界の一歩先の目線を持っている人。ナポレオンとの対談では対等な表情で話すゲーテだが、強火ゲーテ担で初めてゲーテに会いテンパリぎみのベートーベンには「エグモント、どう思われましたか?」と聞かれて「ありがとう」と優しく微笑む。この演じ分けが本当に上手です。

ゲルハルト(朝美絢さん)

ベートーベン(ルイ)の故郷ボンの親友。少年時代のルイを救ってくれて勉強を教えた。ウィーン行きを応援してくれた。音楽家は自らの王になれると言ってくれた人。着替えが早い。

ロールヘン(朝月希和さん)

ベートーベン(ルイ)が子供の頃故郷ボンでピアノを教えていた初恋(片想い)の相手。幼なじみとしてルイをいつも心配している。ルイの作曲した音楽を聴き分けることができる。

小さな炎(笙乃茅桜さん)

ベートーベンの心に灯る小さな炎。時に激しく、時に消えたりする。初見の時はとうとう宝塚歌劇団もシルク・ド・ソレイユ化してきたかと思いました。(シルク・ド・ソレイユでは全身タイツのダンサーが歌手の歌に合わせて踊りまくるため)そのくらいの凄いダンサーです。

シルクロードの感想は次の記事にします。

宝塚歌劇に興味のなかった方、コロナ禍の事情、チケット難で観に行けなかった方は4月11日(日)のライブビューイング、ライブ配信をぜひご覧ください。YouTubeにアップされている初日の映像もぜひご覧ください。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?