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環境か経済か vs. 環境も経済も/連載『ルールを知れば面白くなる SDGsのトリセツ』(9)

この記事の「--」より下の部分は名寄新聞に寄稿して掲載待ちですが(2019年11月8日時点)、掲載前に読みたい方向けに有料記事として投稿します。名寄新聞掲載後に無料で公開予定です。 →2019年11月28日付名寄新聞に掲載されたので無料記事に変更しました。

名寄新聞での連載第9回です。持続可能な社会の4つルールの元になっている考え方の紹介に一区切りがつき、4つのルールを掘り下げて解説しています。

この連載では中学生でも理解と応用ができる内容を目指しています。文意が読み取れない所があったら、ぜひ筆者にご連絡ください

連載は基本的に隔週の予定でしたがこのところ不定期になっています。名寄新聞の購読案内はこちら

もしサポートいただけましたら今後の励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします(掲載紙から原稿料はいただいていません)。

また、講義やグループワーク・フィールドワークなどを通じてSDGsや持続可能な社会のルールについて理解を深めることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください

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ルールを知れば面白くなる
SDGsのトリセツ(9)

SDRs研究所 所長 奈須 憲一郎(下川町在住)

環境か経済か vs. 環境も経済も

実は、前回までに解説した3つのルール

①自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない

②自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない

③自然が物理的な方法で劣化しない

で持続可能な自然環境の原則は完結している。

問題なのは、このルールから外れて暴走する生物がいることだ。地殻から掘り出した物質と自然に存在しない物質の濃度を増やし続け、あまつさえ自然を物理的に劣化させ続ける。その反動で気候変動による災害を受けてなお、思い切った修正ができない。

他でもない我々人類だ。その人類が3つのルールを守るには何が必要なのか。それが4つめのルールだ。

④人々が自らの基本的なニーズを満たそうとする行動を妨(さまた)げる状況を作り出してはならない

日本には「衣食足りて礼節を知る」ということわざがある。人は基本的な生活が成り立って初めて礼儀や節度をわきまえられるようになるということ。スウェーデンの環境NGOナチュラル・ステップも同じ結論に行き着いた。

今日、明日の食事の心配をしなければならない状況では、①〜③のルールを破ってでも食いつないで生きる道を選ぶ。そういう人たちに思いをはせなければ、誰一人取り残されない状況を考えなければ、みんなで持続可能な社会を目指すことはできない。

ふり返れば、1972年に環境問題についての世界で初めての大規模な政府間の会合、国際連合人間環境会議(通称:ストックホルム会議)が開催されて以来、世界はずっとこの課題と向き合ってきた。

「環境破壊をやめようというのは、経済的に発展した先進国のエゴで、これから経済成長を目指そうという発展途上国にブレーキをかけるようとしている」。この主張に代表される「環境か経済か」という二項対立論に「環境も経済も」という二項両立論を代替案として提示してきた。

その最新版がSDGsなのだ。そういう視点で17の目標をチェックし直すと、みなさんの目にはどう映るだろうか。

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