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聴覚障害者はどうやってZoom会議をするのか


今回は聴覚障害者がどうやってオンライン会議をしてるの?ということを話してみたいと思います。

新型コロナウイルスによって、今までの常識が通用しない世界になりました。それは聴覚に障害を持つ人にとっても、同じ。

もちろん、ここでお話することはあくまで私の体験からで、いち聴覚障害者のやり方です。すべての聴覚障害者に当てはまることではありません。


手話の分かる聴覚障害者同士でZoomをする場合

基本的にマイクは常にOFFです。視覚言語である手話は、当然音声がなくても理解できるため、画面上で同時に縦横ナナメで会話が成立してしまったりもします。

基本的に手話の世界では、注目を集めたいときや拍手をするときに、手を上に掲げてヒラヒラさせることが世界共通のルールだったりします。なので、進行役が手をヒラヒラさせて注目させ、話題を提供し一人一人答える形をとることもあります。

Zoomをやる上で、これといった準備はあまり必要なかったりします。

手話をする聴覚障害者と聴者が混ざってZoomする場合

「手話をする聴覚障害者」とひとくちに言っても、発話が苦手な人もいれば発話もできるし手話もできる人もいます。「聴者」の中にも手話ができる人もいればできない人もいます。「手話ができる」の程度にも違いがあったりします。参加者の特性やその場の状況に合わせて、意思疎通方法が変わります。

例えば、手話サークルをオンラインで開催したとしましょう。そうすると、上記のようにさまざまな特性を持つ人が集まります。"手話を学ぶ"というところに重きを置く場合は、全員がマイクをオフにして、ろう者の表す手話の読み取り練習をする。ひとりひとりテーマに沿って手話表現をする、などオンラインならではの学習方法があります。

ただ楽しくお話がしたいという場合は、手話の分からない聴者のために読み取り通訳・手話通訳をする人が必要だったりします。通訳ができる人にお願いして、間に入ってもらうのも手です。ただし、通訳者の負担を考慮する必要があること。通訳者は脳のリソース的にも通訳にかかりきりになり、話題に入れない、といったことがあることは留意しておきましょう。

通訳がいない場合は、チャットでやり取りする方が早いこともあります。それでも、聴覚障害者にとっては、表情も見たいと思うかもしれません。声のニュアンスで感情を読み取ることが難しい聴覚障害者にとって、それほど相手の表情は、情報の宝庫です。また、書記日本語が得意ではない聴覚障害者もいます。

手話のできない聴者とZoomをする場合

リアルで会ったことがない人と、いきなりZoomをすることもあります。そうすると、話し方の特徴やその人となりなど、対面だからこそ得られる情報がないまま話をすることになります。

聴覚障害者は、読唇術だけで相手の話を理解しているわけではありません。その人がまとう、さまざまな情報にも頼っています。なので、話す回数を重ねれば重ねるほど、相手の話すことを理解しやすくなっていくわけです。

私は手話もできますが、発話も聴者並みにできるので、私の言いたいことを相手に伝えることにハードルはありません。しかし、相手の話すことを100%理解することはできません。とくに複数人との会話になると、誰が話をしているのか分からずキョロキョロすることもあります。

ところがZoomのよいところは、誰が話をしているのかがすぐに分かることです。話者の映像に黄色い枠線がついたり、スピーカーモードで話者の映像が全面にでてきたりします。また、モニタに全員の顔が見えることで、居酒屋のように座る位置によって読唇術をしづらい、ということもないのです。

なので、あとは読唇術だけでカバーできない細かい情報や専門用語を拾えればより100%に近づけることができます。(聴覚障害ゆえに、100%になることは一切ない)

そこで欲しいのが字幕機能となるのですが、Zoomの字幕機能は手動入力かサードパーティです。サードパーティは具体的なものを探さないといけないのですが、探すだけでも時間がとられてしまいます。また、設定も必要ですし、ブラウザからのZoom起動で字幕ボタンが表示されるなど、色々とややこしいです。(参考までに

なので、手っ取り早く使えるのがUDトークです。PC版は少し違うので、iPhone・android版、タブレット版のほうがいいです。

ポイントはZoomを起動する端末とは別の端末でUDトークを起動すること。UDトークは現バージョンでは、バックグラウンドで起動しないからです。

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自分自身がZoomの音声をスピーカーにしていて、自分だけがUDトークで字幕を見られたらよい場合は、そのまま『トークを始める』でスピーカー音声を拾えばよいです。

人工内耳をしている私の場合

ところが、私は左耳に人工内耳をしています。2019年1月に日本で発売されたコクレアのNucleus 7という機種は、iPhone・androidアプリでボリュームの操作・プログラム操作ができるようになりました。また、端末のストリーミング音声を人工内耳にBluetoothで飛ばせるようになりました。

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そのため、私の場合は下記の方法をとっています。
①iPhoneでZoomを起動し、その音声をBluetoothで人工内耳に飛ばす。
②もう一つ別のZoomアカウントをPCで起動し、そちらで読唇術をする。
PCのほうのマイクは切っています。ハウリング防止と、自分の声が2重で人工内耳に入ってくるのを防ぐためです。

そうすると、UDトークで音声認識するためのスピーカー音を私自身では出せなくなります。そこで、UDトークでは『いますぐトークを公開する』を選択し、参加者のうちの一人とUDトークルームを共有します。その参加者のスピーカー音を音声認識して、字幕を共有するというわけです。

非常にややこしいですが、人工内耳での聴き取り能力にも比重がある私にとっては、これが一番やりやすい方法でした。ほとんどUDトークを見ることもないのですが、たまたま声が重なったり、集中力が落ちたりしたときにはとても便利です。

そんな感じでZoom会議を使っています。もっといい方法があれば情報お待ちしております。


UDトークでリアルタイム字幕(講演とかならいいかもと思うが、仲間内でちょっと補助的にという場合はトークルーム共有が手っ取り早いので却下していた)
https://udtalk.jp/post-3813/

 Google Docsを利用して自動文字起こし
http://shinshuedu.blogspot.com/2020/05/zoom.html

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