見出し画像

山手線徒歩2分+バストイレ別で59000円の神物件


大学2年の終わりのこと。

刑務所と呼ばれる寮を出ることになり、人生初の物件探し。


---

池袋の不動産屋に行くと、椿鬼奴似のおばちゃんが登場。僕の担当らしい。

家賃6万以内で、大学まで近くて、できればバストイレ別で...。「上京ガール」ほどではないが、そこそこ高い要求だ。しかし、それを物ともせず、「良い物件あったで〜」とおばちゃんが物件案内を持ってきた(なぜか脳内で関西弁に変換されている)。


「山手線まで徒歩2分。大学までチャリ15分。1Kでバストイレ別。それで家賃59000円。」

他の物件と見比べても、格安なのは明らかだ。刑務所レベルの寮に住んでいた自分からすれば、バストイレ別というだけでもう何も不満はない。

実際に部屋を見ても、普通に綺麗だった。なぜこんなに安いのか、本当にわからなかった。この時点では...。



迷うことなくこの物件に決定。親と伯母に手伝ってもらって、引っ越しをすることに。

そして、引っ越し当日。新居に到着した母と伯母から衝撃の一言。


「となり、ラブホやん。」


そう、僕は部屋や周辺のスーパーなどは確認したが、隣の建物を確認していなかったのだ。なるほど、これのおかげで安いのか...。

まさか隣がラブホだなんて思ってもいなかった。親や親族の口から「ラブホ」という単語を聞くことになるとは、もっと思っていなかった。

(周辺をもっと調べてみると、ラブホよりも遥かにヤバい建物が目の前にあった。危険な建物ではなかったが、詳細はここでは伏せさせていただきたく...。)



部屋の壁が薄いこともあり、たまにラブホからの声が聞こえてきた。

構造上、ラブホのお風呂での声が、特に部屋まで響いてきた。

男が敬語で女が営業っぽい話し方のときは「ああデリヘル呼んだんだろうな〜」とか考えたり。テンション上がって深夜にワンオクを熱唱してた男に「うるさい!」と苦情言ったり。

自分は男なので、この環境は別に苦にはならなかった。むしろ、面白かった。しかも、これのおかげでこの家賃で住めるなら、ラブホ大歓迎だ。


---

入居して4年後、就職のためにこの部屋を去った。ちなみに後半2年間は、いまの彼女とほぼ同棲していた。1Kの部屋に2人で2年間も住んでいたなんて、いま考えると信じられない。


ちなみに、となりのラブホは、僕が去るのを待たずに取り壊されてしまった。せっかくなら、一回くらい行ってみたかった。

読んでいただきありがとうございます! サポートいただければ、甘いもの食べて更にやる気だします。