既製品ネイティヴ
真夜中に口笛吹けば隣人が「うるさいぞ」って怒るんだろう
真夜中に爪を切ってもだいじょうぶ灯がちゃんと明るいからね
既製品だらけの家に生まれ落ち既製品ネイティヴだ僕らは
マンションのチラシの図面にいろいろな種類の矢印描き込まれている
あのチャリを盗んだやつも幸せに暮らして やっぱどうでもいいわ
置き場所も金もないので仕方なく文庫になるまで待つことにする
九度目の秋を過ごせど飼い犬は僕の名前を知らないだろう
楽器ではないからいいさ出ない音そのままにして滅んでいけば
秋桜が空き地の端に脳みそに使っていない右手に戦ぐ
あのときに出会っていたということの答え合わせをいつかどこかで
(2020年10月、まだ足は着く)
「蝉時雨」みたいな言葉を発明するまで続けるよ。