つながる時代の、余計なお世話
先日、スマートフォンを新調した。
いつかの記事で書いた5年以上使っている高齢スマホを、である。その時は壊れるまで使うつもりだったのだけれど、契約キャンペーンやら乗り換えやらをうまく利用すれば安く買い替えられそうだったのでそれに乗っかることにしたのだ。
スマホは今使っているものの上位互換のような、見た目は同じでもCPU(脳みそ)が違うものを買った。パッと見ただけではどこが違うのか全くわからない。携帯は開発が進むごとに小型化していっているけれど、この辺りが最適解なのだろうか。聞くところによると将来的にはコンタクトレンズ型になるとかなんとか…。SFじみた時代になりそうで少しわくわくする。
旧スマホは買取に出すことにした。ちょうど今朝、業者の人が来て小さな箱に梱包されたスマホを引き取っていった。さらば。
しかし5年物のスマホを一体何に使うのだろうか。必要最低限の動作に問題はないけれど、正直大したことはできない。今アツいらしい中古スマホの世界はよく分からない。とにかく何かの役に立ってくれるのならそれでいい。
もちろん、悪いこと以外で。
ところで個人で行う携帯の買い替えは結構面倒で、回線の乗り換え手続きやらデータの移行やらで随分時間がかかった。ショップに行けば店員さんの手助けを得ながら行える作業もひとりだと大変だ。手順書を変に解釈してしまったり、サポートセンターに連絡した挙句専門用語が頭の中で混線して自分でも何を言っているのか分からなくなってしまったりと、我ながら手際の悪さを痛感した。
そしてようやく今日、必要と思われる設定をすべて(たぶん)完了させた。
ここからが本題になる。
問題はLINEのデータ移行をしようと思った時に起きた。旧スマホでデータのバックアップを取っていなかった+ログインのためのパスワードを忘れた+回線そのものを乗り換えていたためパスワード変更のためのメールアドレスも消滅していた、のトリプルコンボで私の数少ない外部との繋がりが断たれた。
LINEの問い合わせフォームに事情を説明しても当然ながら「それはどうしようもないですね…(完全にお前の過失じゃい)」という返答だった。
という訳でアカウントを作り直す作業に取り掛かったのだけれど、説明を適当に読み飛ばしていたので設定を誤ったらしく、私の電話番号を知る人間すべてに友達登録の通知が飛んでいってしまった。
どうしたものかと軽くパニックになっているうちに昔の知人から「久しぶり」「元気?」「生きてたの?」といったメッセージが届き始め、感情の処理が追い付かなくなった私は再度アカウントを消滅させた。
落ち着くまでしばらく時間を空けて次は慎重に説明を読み、通知が飛ばないように設定してからアカウントを作り直し、連絡を取る必要がある相手だけに別の方法で状況を伝えた(これもかなり面倒だった)。
確かFacebookのアカウントを作った時もそうだったと思うけれど、どうやらSNSには連絡先を知っている相手にこちらの存在を伝える機能がデフォルトで搭載されているらしい。しかしそれは当然のことで、「つながる」ことを前提としているからこそのソーシャルネットワークなわけで、相手にいきなり通知が飛んでいって困るのは私のようなコミュニケーション能力に難のあるタイプだけなのだ。たぶん、普通の人はこの機能をとてもありがたく思っているのだろう。
それでも、デフォルトで連絡先を共有させようとする機能は正直余計なお世話である。電話番号を教えたかどうかさえも覚えていない相手から近況を尋ねるメッセージが飛んでくるのは恐ろしい。
連絡先を知っているからといって、誰とでも好き好んで無分別につながっていたいわけではないのだ。流れで電話番号を交換せざるを得ないことだって、きっとある。
長い愚痴だ。
今回の件について一言で答えを出すなら、「注意を怠ったお前が悪い」になるだろう。
その通りだ。反省する。でもまた同じことをしでかしそうな気もする。
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