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少子化~日本の縮み方

少子化により、日本の人口は、2008年の1.28億人をピークに年々減っているのは周知の事実です(2050年に0.95億人と3,300万人減)。女性や高齢者の労働市場への参画の割合もかなり高くなっているので、今後、労働人口は減っていきます。

日本生命の資料

ということで、既に人手不足の問題が出てきています。

1)医療・福祉(介護サービス等)

人口の多い団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者になる「2025年問題」が懸念されています。2025年に250万人ほど介護人材が必要だそうですが、30~50万人不足と言われています。

介護人材は、排泄サポートなども含めた高齢者の介護になるので、相当重労働な仕事です。しかし、勤務体系も融通が利きにくく、低賃金で社会的地位も高くないのでなかなか人材が集まりません。

介護という公共性の高い話になると政府が介入していろいろな規制をつくるので、民間主導の市場原理が働くなり、需要と供給のバランスが崩れるのだと思います。

介護価格が上がるとそれを払えない高齢者は見殺しにするのかという問題が出てくるので介護価格の上限を政府が決めています。それがあるので、業者は低コストオペレーションをするしかなく介護人材賃金が上がらないのだと思います。

よって、この制限をなくして、民間に市場原理で価格が設定できるようにし、ファーストクラスのサービスも提供できるようにするなどすれば質の向上もはかれると思います。介護人材もよりいい所得を求めて資格をとったりして、この仕事の社会的地位も上がると思います。

もちろん、それを払えない低所得の高齢者に関しては、政府が最低限の保証をするし、低価格で問題あるサービスをする業者には公的なチェックをいれるようにするという事が求められると思います。

以上は、誰でも考え付く施策ですが、今、そうなっていないのは、共産主義的に「皆が介護を受けれる体制を」という政治的に受けがいい施策にとどまっているからだと思います。

しかし、それでは、人員不足は解消されず、皆に介護を受けさせることができなくなるので、市場原理を入れざる負えないとは思います。

ただ、政府は、税金使って補助を与えて、賃上げするということをしそうですが。

保育士不足も同じような規制の問題などがあると思います。

2)製造業

高度成長期の時は、日本のあちこちに工場があり、日本人の低賃金で安い商品を製造して世界中に輸出していました。

その後、日本人のコストが上がってきたので、自動車や家電製品などは海外へ工場が移転しました。しかし、消費財のメーカーなどは、日本で生産が基本ですので、地方にはまだたくさんの工場があります。

まあ、工場勤務は、夜間のシフトがある、単純作業だなどとあまり人気がありません。2030年で38万人の不足だそうです。

この問題を解決するため企業は技術革新して工場の自動化の努力をしています。最近の最新鋭の工場は無人化が進んでいますね。まあ、人が極端に少ない仕事場も働く環境としていいのかという問題もありますが。

しかし、特に小ロットの生産などではまだ人力に頼ったほうが安いので人を抱えている場合もあります。

じゃあ、小ロットの生産をやめればいいではないかと思いますが、コンビニなどは、常に新商品を要求します。なので、自社用の棚を確保するためには、毎週のように新商品を出さないといけないということになります。それが定番になるような爆発的ヒットなる以外は短いプロダクトライフで採算のとれないビジネスになります。

これは、小売店というよりも、我々、客がそういうことを求めているということです。過剰に賞味期限を気にするので、廃棄商品が増える問題もあります。

よって、この業界の人員不足の問題を解決するには、既に起こりつつありますが、働き方改革や賃上げで、他業種と比べて魅力的な職種にすることですね。

そのために、商品の値上げなども必要になります。それに抵抗する小売店もあるようですが、抵抗するより、過剰な商品ラインアップの是正や賞味期限の管理の緩和など消費者への教育も含めた対応をとるべきだと思いますし、そうならずえなくなっていくでしょう。

3)トラックドライバー

米ボストンコンサルティンググループは日本で2027年にトラック運転手が24万人不足するとの試算をまとめました。

この業種も長時間労働が有名ですね。ここは、もう「自動運転」でしょう。早く、夜中の高速道路は輸送トラックの自動運転OKにすべきです。アメリカ西海岸では、無人タクシーが走っている現在、日本は慎重すぎますよね。いつかは自動運転になるのでしょうが、コロナ前の「リモートワーク推進」のように新しいことをやるのが日本は本当にヘタになりましたね。

自動運転導入までは、トラックドライバーの賃上げをやり続けて、商品コストアップ⇒商品値上げ⇒需要減退という市場原理にまかせるしかしょうがないですね。

4)タクシードライバー

ここ10年で10万人くらい減っているそうです。外国人観光客なども増えているので需要も多いのですが、ドライバー不足です。

これは、自動運転まで一気に行かずとも「ライドシェア」でしょう。Uberを「白タクだ、事故の時の補償が、、」とかいって、政府は規制していますが、既得権益を守るための政治的な思惑が見え隠れします。

人口が減っているのですから、皆の労働力を使うライドシェアのような方法で労働力を確保しないといけないのではないでしょうか。

5)飲食業

コロナで大打撃をくらった飲食業界ですが、コロナ後も人手不足で困っている悩ましい業界です。

飲食業界は、学生アルバイトが多く、賃金が安い、土日休みでなく、シフト休みでいつ休めるかわからないなどで長く働く職場という感じではないですよね。

最近は、「配膳ロボット」を導入しているファミレスもあったりしていますが、抜本的な解決にはなっていません。

6)建設業

2025年で47~93万人だそうです。TOKYO2020で、オリンピックのための施設建設に人が足りないと言っていました。

以上がざっと人手不足業界で、ブルーワーカー特有の課題です。

全体を通してこの人手不足問題の解決方法として考えられるのが、

1)労働人口調整

人手が余っている業種もあります。ホワイトカラーの経理などのオフィスワーカーです。ITなどの技術革新などにより生産性が上がってきて余剰人員が出てきました。これらの人員が、人手不足の業界へスムーズに移動できるように流動性を高めることがまず第一にやらなければいけないことだと思います。

そのためには、企業の解雇規制を緩和すべきだと思います。今からますます労働人口減で人手不足の業界はなりたたなくなるのですから、人が余っている業界の雇用を維持するより流動化させることを政府はやらないといけないと思います。

この規制緩和は、政治的に人気がないので政治家はやろうとしません。野党も労働組合の連合などと提携しているので規制緩和なんかいいません。よって、人手不足業界の待遇がよくなり魅力的になり、個人が自主的に移動するまでまたないといけないということになります。

2)人手不足業界の待遇改善

最近、人手不足問題が深刻になってきたので、政府が慌てていわゆる「103万円の壁」問題に取り組み始めました。現状では、低賃金でもいい主婦層や高齢者が存在していたので、企業も安い賃金で雇用できていました。

人手不足業界は、それを解消するには、賃金を含めた待遇改善をするしかありません。そうするとコストがかさみ、値上げをすることになりますが、それに失敗する企業も出てくるでしょう。人口減で市場は縮小するので、ある程度の企業は淘汰されていっても問題はないということになります。

3)外国人労働者

どの人手不足業界も賃金が安い外国人労働者を雇おうとしていますが、日本語能力の義務などそう簡単に増やせないのが現状です。

私は、ここは、安易に規制緩和して外国人労働者を増やすべきではないと思います。なぜなら、安い労働力を調達できたら、人手不足業界の低賃金体質は変わらず、ブルーカラーの社会的地位も低いまま、しかもそこに大量の外国人労働者が流れ込んでくると、欧米諸国で深刻になっている貧富の格差による移民問題が日本でも起きます。

ここは、技術革新か待遇改善の二択しか与えないようにしないとそれがおこるのが先の話になります。

まとめ

労働人口減により人手不足がおき問題になってきていますが、まずは、技術革新で省人化をはかったり、翌日配送や賞味期限の厳しい管理など過度なサービスを減らし、待遇改善などにより産業間で労働量を調整したりして今の労働量で短期的な急激労働力不足に対処できるようにすべきです。

長期的には、人口がだんだん減っていくと新たな産業がおきないとじり貧になっていき市場が縮小していきます。そうすると企業が淘汰され労働量も減ります。よってだんだん経済的には縮小していくのでしょう。

結局、日本がどううまく縮んでいけるかということです。



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