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2040年からの警告~変われるか日本

以前、1998年に2020年には、何もしないとこうなるという「2020年からの警告」という記事を書きました。

ほとんどの予測が当たっており、予測できたにもかかわらず、残念な結果になってしまったよという内容でした。

短期予測より長期予測の方が当たると言われています。

今回、野口悠紀雄先生が、「2040年の日本」という本を書かれて、同じように20年後の未来を予測されています。

9章立てで書かれています。

第1章 経済成長 
人口減の日本では、何もしないと今後は年率マイナス0.5%になると言われている(2000~21年 0.65%、2013~21年 0.44%、2015~21年 0.24%)
それを1%の成長率に持っていくには、デジタル化などの生産性アップやイノベーションが必要になるので大変チャレンジグである。
しかし、日本政府の長期推計では、さしたる根拠なしに、今後、2%程度の実質成長率が想定されている場合が多い。これは、財政や社会保障制度が抱える深刻な問題を覆い隠す結果になっている。

「2020年からの警告」でも政府の高齢化予測は、上位・中位・下位予測とあり、中位予測に基づいていろんな試算をしましたが、結局、中位と下位の中間が実績でした。

第2章 世界における日本の地位
中国は、世界一の経済大国になる。インドは高い成長率を続け、日本を抜いて、アメリカと拮抗する経済規模になる。

まあ、これはそうなるでしょう。日本はもう経済大国というより西欧の国のようにこじんまりとした経済の国になっていくのだと思います。

唯一期待できるのはインバウンド需要ですね。「観光立国」としての日本はありだと思います。

第3章 社会保障の問題
将来予想される超高齢化社会では、医療・介護部門が膨張し、他の産業は縮小する。だから、通常の衣食住に関しては、われわれの生活は貧しくならざるをえない。

800万人をゆうする「団塊の世代」が、2025年に全員が後期高齢者の75歳以上(要介護率13%)になるという「2025年問題」がありますが、彼らは、後10年後には、85歳になります。現在の85歳以上の要介護率は60%ですから、2035年から2040年にかけて、大介護時代が来ます。これが「2040年問題」といわれるやつです。

介護需要が急拡大しても経済成長には貢献しないということです。それどころか、介護保険適用が増えて、財政を圧迫します。

第4章:医療技術の進歩
未来の医療技術の4本の柱は、ナノマシーン、細胞療法、ゲノム編集、AIの応用だ。介護分野ではロボットの進化が期待される。また、メタバース医療も実現するだろう。

これも結構確実視されていますよね。2040年には、がんは治る時代に入るといわれています。
ますます、簡単には死ななくなるようですが、介護者数は増えるでしょうね。

第5章:メタバース
メタバースの可能性は、エンターテインメントだけではない。メタバース内での経済取引が可能になる可能性がある。



この「メタバース」や「NFT」ってどうなんでしょうね。どうも何も起こらなかった「セカンドライフ」と重なってしまいます。
ほりえもんは、「宇宙」ビジネスのほうが熱くて、これがどんどん加速されると宇宙から地球のあらゆる活動がリアルタイムで把握され、パラレルワールド的なものが作られると言っています。
よく意味がわかりませんが、ここらへんのテクノロジー進化が社会を変えそうです。

第6章:自動車関連の技術進歩
「レベル5」と言われる完全自動運転が実現すれば、社会に大きな変化が生じ、われわれの生活環境は大きく変わるだろう。自動車は保有するものではなく、必要になったときに呼び出して使う無人タクシーになる可能性がある。自動車はみなEVになる。

2030年には、6Gは実用化されているようなので、これは、そうなるのでしょう。日本は規制が厳しいので、無人車導入イノベーションは、世界の中でも遅れるのではないでしょうかね。また、EVの日本での普及率は非常に低いです。これは、「イノベーションのジレンマ」が起こっていて、世界でガソリン車シェアの高い日本のメーカーは、なかなかEVに100%舵をきれないようです。EVは技術的ハードル低いので、それこそ中国メーカーが安価なEV車で世界シェアをとるという、家電製品で起こったことが起こりそうで、日本経済にはマイナスインパクトになりそうです。
「空飛ぶ車」も普及するそうです。

第7章:エネルギー問題
ここでは、原発に頼らず脱炭素を実現できるか?という問題。

第8章:その他の技術
核融合発電。これが実用化されれば、エネルギー問題はほぼ解決と言えるのだが、少なくとも今後20年程度を見る限り、それを期待するのは無理なようだ。エネルギー関係では、早期の実現は難しいと考えられる技術が多い。
フードテックの可能性(代替食肉等)、量子コンピュータや量子暗号。AIによる自動翻訳技術の発達によりリアルタイム翻訳ができるようになり、海外から国境を越えたデジタル移民が増える。

AIの技術進歩は、もう現実に感じているところで、リアルタイム翻訳技術の進歩でリモートでできる仕事は、グローバル人材市場での競争になりそうです。つまり、海外の優秀な人材が今よりどんどん日本の仕事をリモートで高給で請け負い始めるのでしょうし(特にIT分野)。普通の仕事は安価に受注されるようにもなるでしょう。この場合は、所得税は日本には落ちませんね。

第9章:人材育成
将来に向けての成長に重要な役割を果たすべきデジタル化は、一向に進展しない。デジタル化を実現する基本は、人材の育成だ。ところが、日本の大学は、とくにコンピュータサイエンス分野で、世界に大きく立ち後れている。

「技術立国ニッポン」と言われていた割には、IT化には随分と遅れました。世界の最先端技術にアクセスするためにも英語力は必須ですが、そこの教育も著しく遅れています。今後は、中国語の必要性も高まると思います。

文科省もこういう事情は理解していて、2013年度に「国立大学改革プラン」が発表されました。高校も2002年度から「スーパーサイエンスハイスクール」や2014年度から「スーパーグローバルハイスクール」を指定して助成金を出しています。小学生3年生からの英語教育が必須になったのは2020年度からです。
しかし、大学の世界ランキングは下がり続けていますし、効果はあまりありません。
文科省、日教組の体制が変わらないので、効果的な改革はできていないと思いますし、この傾向は続きそうです。

「おわりに」では、未来に対するわれわれの責任を問われています。

正直、既得権益を取り上げてやる規制緩和ができない日本では、よほどのことがない限り、経済は縮小していく方向には歯止めがききそうにはないように思えます。

しかし、クリーンで安全な街や礼儀正しさ、コンプライアンスの意識などは、どんどん進化して世界の中でもトップクラスだと思います。

こういうことは、経済と同じくらい社会にとっては大事なことだと思います。未来に起こる変化がこれらを損なう事がないようにしなければなりません。





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