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やさしいだけの上司の下では人は育たない~グッドボス・シンドローム


最近は、「パワハラ上司」とか言われたくないし、360度評価とかでも部下からいい評価が欲しいので、「ダメだし」をするような厳しい指導をする上司が少なく、「やさしい」だけの上司が増えてきているのではないかと思います。

私は、これを「グッドボス・シンドローム」と言っています。「やさしいだけの人気のある上司の部下は育たない」という不都合な真実です。

こういう上司は、年に1~2回ある評価面談やキャリア面談の時に、部下に、改善すべき点をきちんと指摘しても部下は感謝されず、「なんで私の努力をみとめてくれないのですか」とか言われて逆恨みされる面談になることを恐れているのではないかと思うのです。

部下も本当は自分の改善点などを自分の成長のために知りたいとおもっているわけですよね。

しかし、面談で、「よく頑張っているけど、論理的思考ができないし、他者とのコンフリクトを異常におそれているので、仕事が遅いよね」とか言われたら、腹をたて、一発で「イヤな上司リスト」の一番上に書き、指摘されたことに反論するか、聞く耳もちませんよね。

なので、上司は、「よく頑張っているね。まあ、いろいろなやり方を考えたりするのもありだよね。他部署とかともいろいろ情報交換してコミュニケーションを今まで以上にとるといいかも」とかいう訳です。そんなユルい言い方をしても、この部下は、ロジカル・シンキングやコンフリクト・マネジメントを勉強しようとは思わないでしょう。

そして、年度末の評価時期になると、今まで、そう部下の面倒をみていなかった上司も突然、「グッドボス」に変身し、D評価をなかなかつけません。相対評価なので、A評価をつけるとその分だけD評価もつけないければならない会社が多いです。なので、この上司は、D評価を部下につけたく無いばかりに、Dを減らす代わりに、Aも減らすやり方をとります。ロー・パフォマーの部下にDをつけても、その人のモーティベーションを下げるだけで、何も上司にとっていいことはないからです。

そうすると、ほぼ、皆が真ん中C評価になり、なにも評価していないのと同じになってしまいます。

昇進の場合も同じです。「グッドボス」になった上司は、まだ昇進するには早い人もとりあえず、推薦リストに入れます。人事は当然いろいろな過去のデータなどを見て、それらの人を外しますが、「グッドボス」はそれでいいわけです。

その部下に「俺は一所懸命、人事と交渉したけど、頭の固い人事が拒否した」と伝えればいいだけなのです。そうすると部下は、「その気持ちだけでありがたいです」という答えが返ってくるのを知っていますので。

ということで、グッドボス=やさしいだけの上司は、人を育てないのです。しかし、やさしいので人気はあります。

皆さんが、今まで成長したなと思った時の上司は厳しかったのではないでしょうか。

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リーダーのための本書きました。約30分で読めますので、是非ご一読ください。

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