朝☆

金剛力士の束前に比例する砂丘、そのしたたかなる音の劣情が島をなし、微動だにせぬ土枕を拝上し、烈士に、また、下城の雑踏に、沈んだ呼吸に手をかける。小森の朝に俺は、だんまりを決めた牧師と猪と、川と草で不喝の豆を育てていたのだった。俺は朝日よりも尊い土偶の讃歌にひしゃげた『瑪瑙』の「食えない部分」をお前にくれてやった。

「それ、おいしいよ」俺は言った。お前は特に何も言わずにそれを食っていたっけ。憐れだ。俺は自分が可哀想になった。紋様蘭の蔓延る土手の、敗存の結着する国家の支柱となりし御言葉の、唐草模様の姫袴を織る四線の矛と水明の都に殉ずる弔いの奉納に帰する呼び名となりて。一国の舌禍にもまれた渡鳥の落とす水田の影に、俺は確かに朝を見つけたのだ。ここは良い。ここには何もない。

移動する大地と移動する朝、そんなものに俺は跨がり、行き来する巨大な雲々の軌跡を追うこともやめてしまった。欠刻の走る野の情に、俺は城壁を築くことにした。ここには止まった時の風防がある。風の持ち去る罵詈雑言がある。美しい条文だなんてものもある。俺はそれに最適の朝を知っているのだ。木々の合間から、ポツリ、ポツリ、と言葉少なげに不平をこぼす奴。あれだ。

それが朝の国家である。アヒル、鴨、コウノトリ、そして法螺貝の秘する忌日、その万端の黙示と免れぬ誤謬に、俺は朝を分け与え、それから、川に流したのさ。それが俺の領分であった。

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