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🥟冷凍庫ラビオリ重複事件〜親方、冷蔵庫からラビオリ(複数)が!

 年寄りは食品をため込むよな?

2011年夏に、両親の介護をしに地元に戻ってから数年が経った。
 おそらくだが5年ほど経ったときのことだったと思う。

 母親は牛乳やその他の重い商品をスーパーから下げて帰るのが辛くなったと言って、毎週カタログで注文したら商品をお届けしてくれる生協を利用するようになっていた。

 それ自体は問題ない。
 むしろ生協には感謝している。

 だが、高齢の親族がいる人には分かってもらえると思う。
 高齢者と、カタログ注文の相性の悪さが。

 ただでさえスーパーに行っても既に冷蔵庫にあるような食材をまた買って帰ってくるような世代なのだ。

 カタログの調理例を見て、「美味しそう」と思って注文し、到着したころには存在を忘れるなど日常茶飯事である。

 私は時々冷凍庫をチェックして、あふれ出しそうな冷凍食品を未開封に限り、母親に確認してから譲り受けることにしていた。
 いや、していた、ではない。
 しているの現在進行形である。

 そんなある日、冷凍庫を開けるといつも通り、いかにも親が食べなさそうな食品が幾つもあった。
 ここは実家。

 つまり私は親の好みも食事内容も把握している。


 その経験則に照らして、未開封の食品のうち食べなさそうなものについて確認していく。

 ちなみにここで開封済みが対象に入らないのはいつ開けたのか分からないからだ。
 そういうのは少なくとも手はつけているのだから、自分で消費していただきたい。
 大丈夫、ちょっとくらい古い冷凍食品食べても死にはしない(多分)。

 それはそれとして。
 イカの一夜干し。
 美味しそうだが、実家の食卓で見たことがない。
「これ食べるん?」
「食べん!」
 なんで即答だよ。
 多分調理例を見て美味しそうだと思ったんだろうなあ。
 とりあえずイカの一夜干しは私の肴になることが決定し、いくつかの食べるかどうか怪しげな食品が次々と
「食べん!」
分類に寄り分けられていく。

 そして私はある食品を見つける。


冷凍ラビオリ。


 美味しそう(好物です)。
 しかし親の守備範囲にはなかったはず…。
「これ、食べるん?」
「そりゃなんね。」
「ラビオリ。」
「知らん!食べん!
 回収決定。
 これは私のお昼になる。

──ところで、実は実家には高齢者世帯(二人)であるのに冷蔵庫(大)が二台ある。
 左側の一台目を終えて、右の二台目に移ると──。

──冷凍庫を開けた私の前に鎮座するラビオリ。

 あれ??
 私なんか間違えたっけ?
 左のものを右に移した…?
 エコバッグを見ると、回収分は入っている。
 二個目!!

「これ、もう一個あるんやけど。
 食べるん?」
「なんでそんなんあるん。
 食べん!
 バッサリと切られるが、思いついて、両方の袋の裏を見る。
 消費期限が、違う。
 つまり、一度調理例を見て美味しそうと思って買って届いたころには忘れて、それをもう一度繰り返して、右と左の冷凍庫にそれぞれ入れて。

 とりあえず二個回収するか、という結論に達する。

 ラビオリが好物で良かったなあ(棒読み)。

 親の冷凍庫とはよく戦っている。

 そのうち、冷蔵庫にレタスが四個入っていた話などもしたいと思う。

(終わり)

投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。