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💠ジャスミン投棄事件(上)〜母の所業を暴露する🤣

これは結構前の話である。

どのくらいかな〜、退職前なので2000年代の話である。

うちの母は既に仕事を定年退職していた。

そのころ、私は滅多に実家に帰らなかったが、たまに帰った時に、母に言われた。

「あんた、売り出しがあるけん、園芸公園に乗せて行って。

年代のせいなのか、うちの母は、ファミリーセールも、祭りの出店も、デパートのバーゲンも、全て一緒くたに「売り出し」と呼ぶ。

その時、母の手にあったのは市政だより。

それには、園芸公園でちょっとしたお祭りが行われ、花の苗や果樹の苗なども販売されるとのお知らせが載っていた。

その日は休日なので実家に帰っていたのだし、園芸公園は車だとごく近いので、特に断る理由もなく、私は母を乗せて行った。

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さて。

園芸公園に着いたものの、販売はごく小規模で、うちの母のお気に召す苗はなかった。

が、皆にも覚えがないだろうか。

本屋に行った時、或いはCD屋に行った時、目当てのものがないのに、何故か「何か買わないと損をしたような気分」になって、つい何か違うものを買ってしまうことが。

母もその心理に取り憑かれていたようで、数の少ない苗を散々見回した後、花をつけていた白っぽい花の苗を選んだ。

そう、ジャスミンである。

私はその時は特に何か思うこともなく、母は会計をしてその苗を買って持って帰ったのであるが、事件はその後に起こった。

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数年後(うろ覚え)

私はまた同じ時期に実家に帰っていた。

さて

実は前から読んでくださっておられる方はご存知だろうが、うちの実家にはそこそこの広さのがあり、かつてはその横の敷地は山林──要するに藪だった。

そしてまあともかく、実家に帰った私は、庭の片隅の鉢植えにジャスミンの花が咲き誇っているのに気付いて母に言った。

「あー、これ、いつかの園芸公園のジャスミンやろ。

よう咲いとおね。」

微笑ましい気持ちでそう言った私に、母の返答は無残なものだった。

「ああ、あれはいかんかった。

こう臭いとよ(すごく臭いのよ)。

庭にあったらたまらんけんね。」

咲いてるの買ったのはあなたですが……、と唖然とする私だったが、いっそ憎々しげに言い放った母は、何かを思いついたようだった。

そして、そのころはまだ元気だった母は、おもむろに

ちょっと捨ててくる。」(←はい?)

と言って、ジャスミンの鉢を持ち、隣の藪に持って行った。

まさか、と思って庭から見上げた私の目には、鉢を逆さにして、土ごとジャスミンを藪の斜面に振り捨てた母の姿が映っていた。

本当に捨てた!?

ものがジャスミンではあるが、実はこの話はここで終わりではない。

(続く)

なんか近い



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