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時代小説好きが初めての歌舞伎観劇に行ってきた

最近、時代小説の中でも歌舞伎を扱った小説にハマっている梨の木です。あれこれ本を読みながら「一度は観てみたい江戸歌舞伎…」と思っているうちに気づきました。江戸歌舞伎とはいかないまでも現代歌舞伎なら観れるじゃないですか!

早速入門書を購入し(なんでも本から入るタイプ)、調べてみると、どうやら歌舞伎座では1年中何かしらの演目を上演しているようだということがわかりました。しかも1番安い席なら4,000円!4時間近い演劇を4,000円で観れてしまうのは驚きです。しかも伝統芸能なのに。

襲名披露&初舞台に涙

せっかくならいい席で観たい気持ちもありましたが、最初だから3階席でも十分かなと思い3階席の前方ブロックのチケット(6,000円)を購入しました。ちなみに六月大歌舞伎は萬屋一門の襲名披露舞台だったようで、初めての観劇で襲名披露口上を観ることができるという贅沢な体験をすることができました。

中村萬壽さん、中村時蔵さん、中村梅枝さんの襲名祝幕

舞台の幕?も襲名披露用の特別なものらしく、会場全体が温かい雰囲気に包まれていてつい涙が…。初めて観る役者さんの襲名披露でさえこんなに胸を打たれるのに、思い入れのある役者さんの時なんてバスタオル必須では…?と思いました。推しが親になり祖父になり、推しの名前が子ども達に受け継がれていくってどんな気持ちなんでしょう。末永く応援できるジャンルすぎませんか?

中村陽喜さん、中村夏幹さんの初舞台祝幕

テレビに出ているような歌舞伎役者さんしか知らない状態で行きましたが、今回初舞台に立ち会った役者さんは私の中でも特別な存在になったように思います。数十年後、「あの時はまだ小さかったあの子がこんなに立派になって…!」みたいな親戚のおばさんムーブをかましてしまいそうです。

五代目 中村梅枝さん
初代 中村陽喜さん 初代 中村夏幹さん

見ごたえのある演目であっという間の4時間

歌舞伎座前の看板

今回観たのは夜の部で、「南総里見八犬伝」「山姥」「魚屋宗五郎」の3作。話は思っていたよりわかりやすくて、どれもおもしろかったです。八犬伝や金太郎など、すでに少し知っている題材だったのもよかったのかもしれません。合間にわりと長い休憩もあったので、お弁当を食べたりおやつを食べたりしながら楽しめました。歌舞伎って短い演目だと30分くらいなんですね~。

歌舞伎座名物 めでたい焼き
¥400

イヤホンガイドよりは筋書派

歌舞伎を観る時にはイヤホンガイドを借りた方がいいよという話をよく聞くので、イヤホンガイドと筋書(パンフレット)の両方を準備しましたが、個人的にはイヤホンガイドより筋書の方が助かるなと思いました。

イヤホンガイドだとどうしても片耳が塞がれてしまうので、舞台の音や大向さんのかけ声が聞こえにくいのが気になります。せっかく現地で観るなら音まで楽しみたいじゃないですか…!

筋書 ¥1,300

基本的に映画や舞台のパンフレットは買わない人間なのですが、歌舞伎ではこのパンフレット(筋書き)が大活躍しました。事前に上演される舞台の予習ができるし、今誰が舞台に出ているのか、「○○屋!」は誰のことなのかがわかるのがありがたかったです。何より持って帰ることができるので思い出にもなるのがいいですよね。紙質もいいんですよ…!

とはいえイヤホンガイドはイヤホンガイドでよくて、今回だと幕間に中村萬壽さんと中村時蔵さんのインタビューを聞くことができたのが楽しかったです。イヤホンを片時も耳から離せないので幕間中も忙しくはなりますが…。歌舞伎ファンからすると当たり前かもしれませんが、女方の役者さんでも舞台に立っていないときは普通に男の人で父親なんだなと思いました。舞台での美しさがすごいのでギャップに混乱します。

初歌舞伎観劇におすすめのお供

初めての歌舞伎観劇にあたり、いくつかの入門書で予習をしましたが、その中で特によかったものを紹介します。

「歌舞伎はじめて案内手帖」 君野倫子(松本幸四郎監修)

ひとまずこれを持って行けば大丈夫!というポケットブックです。歌舞伎の専門用語の解説や各劇場の案内、おすすめスポット、チケットの取り方、観劇マナーなど知りたい情報が簡潔にまとめられているので助かりました。

本の中で紹介されている
たまねぎせんべい
¥720

ただ、2019年発行の本なのでやや情報が古い箇所があります。今はなくなっている食べ物や施設もあるので、事前に最新情報を調べることは必要かと思います。

「乙女のための歌舞伎手帖」

歌舞伎好きの女子の視点で歌舞伎観劇のおすすめポイントを解いた本で、現役歌舞伎役者さんへのインタビューあり、歌舞伎好きによる一問一答コーナーありの解説書になっています。

観劇前に知りたいポイントを上手く抑えた痒い所に手が届く本なので、事前予習に最適でした。特に「この劇場ならこの席が見やすい」という情報や、食事はどうしたらいいかという情報はありがたかったです。

巻頭に坂東巳之助さんと中村米吉さんのインタビューが入っているのですが、このお2人は今回の舞台にも出演していたので、実際にお芝居を観ることができて嬉しかったです。

そして、歌舞伎を題材にした小説や漫画を紹介してくれているのも嬉しくて、小説から歌舞伎に入った身としては、こんなにも未読の歌舞伎本が…!と宝の山を見つけた気分です。歌舞伎小説好きのお仲間の皆さん、必見です。

ただ、こちらも2017年発行なので情報が古い部分(幕見席のチケットの取り方など)があります。コロナ前後でいろんなことが変わったのかも?

双眼鏡、オペラグラス

本ではありませんが、あればよかったなというものとしてオペラグラス(または双眼鏡)を挙げておきます。

3階席前方ではオペラグラスや双眼鏡なしでも十分楽しめましたが、次回は絶対に持っていこうと思いました。せっかくなら表情や細かい動きも見たいという方は必須だと思います。

歌舞伎座の中や周辺の売店でオペラグラスを熱心に売っている理由がわかりました。お顔まで堪能するには必須だからですね...!

歌舞伎座で売られているオペラグラスは3倍と8倍のものだったので、それくらいの倍率がちょうどいいということかな?と思っています。

最後に

時代小説きっかけでデビューした歌舞伎観劇、めちゃくちゃよかったです!すっかりハマってしまったので定期的に歌舞伎座に通う日々が始まりそう…。諸先輩方、これぞという歌舞伎の楽しみ方がありましたら教えてください~!

最後に私が歌舞伎観劇にハマったきっかけの小説をいくつか紹介して終わります⇩

戦後の女方の人生を描いた大作「国宝」。Audible版は朗読者が尾上菊之助さんです!⇩


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