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【地雷グリコ】相手の思考を徹底的に読み合う1対1の騙し合い

読書好きの間で話題になっている「地雷グリコ」がめちゃくちゃおもしろかったので、これはもっといろんな人に読んでもらいたい!という気持ちで感想文を書いていこうと思います。

作中には、誰もが知るゲームに少しアレンジを加え1対1の頭脳戦に仕上げたゲームが5つ登場します。

これらのゲームに挑むのは変わり者の女子高生。様々な対戦相手を前に、徹底的に思考を読み切る過程が気持ちいい騙し合いのゲームです。

ギャンブル作品などのどんでん返し展開が好きな人は絶対に好きなストーリーなので、気になる人はぜひ読んでみてください!

内容について語りたいのは山々なんですが、ネタバレしてしまうとおもしろさ半減なので、ここからは5つのゲームの概要だけ紹介したいと思います。

地雷グリコ

ジャンケンで勝った人だけが先に進むことができる階段を使ったゲーム、グリコ。グーで勝てば「グリコ」の3段、チョキで勝てば「チョコレイト」の6段、パーで勝てば「パイナップル」の6段上がることができます。

グリコは小さい頃にやったことがある人も多いのではないでしょうか。地域によって多少文言は変わるみたいですが、「地雷グリコ」では、「グリコ」「チョコレイト」「パイナップル」の3つが採用されています。

ゲームの舞台となる階段は全部で46段。先にゴールに辿り着いた方が勝ちというところまでは通常のグリコと同じですが、「地雷グリコ」には追加ルールがあります。それは、プレイヤーは3つずつ任意の場所に地雷を仕掛けることができるという点。

対戦相手に地雷を踏ませると、10段分下がらせることができます。一方、自分で地雷を踏んでしまうと、10段下がることはありませんが相手に地雷の場所がわかってしまいます。

相手に地雷を踏ませつつ、自分は相手の地雷を回避しなければいけない。これを頭に置いた状態で、どの手を出すか、相手がどの手を出そうとしてくるかを考えながらゴールを目指すというなかなか高度な読み合いが求められるゲームなんです。

一応このゲームにはセオリーがあるようで、それをどう打ち破るかという戦いになっていたのがおもしろかったです。

坊主衰弱

百人一首の坊主めくりを元にしたゲームで、絵札を使った神経衰弱です。

百人一首の絵札を「男」「姫」「坊主」の3種類に分け、全て裏にした状態で交互に2枚ずつめくっていきます。めくった札が2枚とも「男」ならその札をゲット。さらにもう2枚めくることができます。めくった札が「姫」なら、追加で捨て場にある札を全てゲットすることができます。逆に「坊主」をめくってしまうと、手持ちの札を全て捨て場に捨てなければいけません。

相手よりも多く手札を手に入れることが勝利の鍵となるこのゲームは、札の場所を覚えることはもちろん、どの順番でどの札を取るかというのも重要になってきます。

自由律ジャンケン

「グー」「チョキ」「パー」で行うジャンケンに、プレイヤーそれぞれが自分で考え出した「独自手」を加え、5種類の手で戦うジャンケンです。

「独自手」は片手で作ることができる手であること、最低1種には負ける手にすること、という2点を守れば、どんな手にしても構いません。特殊効果をつけるのもOKです。

相手が作った「独自手」がどんな効果の手なのかがわからない状態で行われるので、情報を引き出しつつ勝利の手を考えないといけないのがおもしろいなと思いました。

だるまさんがかぞえた

「だるまさんがころんだ」をアレンジしたこのゲームは、プレイヤーを「暗殺者」と「標的」に分け、事前に「進む歩数」と「かけ声の文字数」を入札しながらゲームを行います。

「暗殺者」が入札した歩数が「標的」が入札したかけ声の文字数よりも少なければセーフ、多ければアウトです。「暗殺者」が一度でもアウトになれば「標的」の勝利、逆に一度もアウトにならず「標的」にタッチできたら「暗殺者」の勝利になります。

全部で5セットで行われるこのゲームは、「標的」側は5セットで合計50文字を使い切らないといけないというところがポイントです。「標的」の文字数ノルマが「暗殺者」が「標的」にたどり着くために必要な歩数よりも多い数に設定されているので、お互いの思考を読みながらどこかで勝負を仕掛けないといけないのです。

フォールームポーカー

「フォールームポーカー」は、4つの部屋を使った大掛かりなポーカーで、最後のゲームに相応しい華やかさと難易度でした。

3枚の手札で行うこのポーカーは、ゲームに使うカードが別の部屋に置かれているというところが普通のポーカーと違う点です。

ゲーム会場には、クラブの間、ダイヤの間、ハートの間、スペードの間が設定されていて、ディーラーが最初に配るカードも、カードチェンジで使うカードも、これらの部屋に取りに行く必要があるんです。

それぞれの部屋にはその部屋に対応するスートのカード13枚が伏せて置かれていて、どこにどのカードが置いてあるかはわからないようになっています。

そして、触ることができるのはチェンジするカードのみ。手に取るまで、どのカードを手に入れることができるのかはわからないのです。

そして、それぞれの部屋に入ることができるのは各ターン1度のみ、さらにカード交換に使える時間は5分間と、かなり縛りが厳しいのもポイントです。

場に出たカードを全て覚えた上で、相手がどんな手を作ろうとしてくるか、自分はどの手が作れるかを考えなければいけないという複雑極まりないゲームで、ヒリヒリするほどの思考の読み合いを体感することができます。

最後に

親しみやすいゲームを軸に、気持ちいいほどの論理のぶつかり合いを展開している「地雷グリコ」は、ミステリやトリックが好きな人にぜひおすすめしたい1冊です。

個人的には、ミステリ関連の賞にノミネートされたりもするんじゃないかなと予想してます。映像化してもおもしろそうなので、近いうちに映画やドラマになってもおかしくないかも?

こういう思考の読み合いのゲームは、基本的に相手プレーヤーが自分と同じくらいルールを理解して論理的な手を選ぶという前提で進んでいくのがセオリーですが、ここにものすごいおバカが入ったらゲームはどうなるんだろうと考えてしまいます。本物の天才はおバカの思考さえも読み切ってしまうのか、それともおバカによってゲームはしっちゃかめっちゃかにされてしまうのか...。論理ゲームに不向きなおバカの1人として興味深いです。

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