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第171回(2024年上半期)直木賞候補作を全部読んでみた

今回も直木賞候補作5作を全部読んでみました!2024年上半期は短編集が多めで、どういう雰囲気の物語が好きかで好みが分かれそうだなという印象です。

私が好きだなと思ったのは「あいにくあんたのためじゃない」(https://amzn.to/4cEzqFr)と「地雷グリコ」(https://amzn.to/3KZH7dA)でした!

余談ですが、候補作が5作の時と6作の時があるのはどうしてなんでしょう?

青崎有吾「地雷グリコ」(KADOKAWA)

様々な頭脳ゲームが登場する連作短編集です。これめちゃくちゃおもしろくて、読み終わってすぐに何らかの賞にノミネートされるのでは?と思っていました。

相手の思考をギリギリまで読んだ上で行われる騙し騙されの頭脳戦が好きな人は楽しめると思います。また、登場人物のキャラが立っているので学園ものとしてもおもしろいです。

感想文も書いているのでよかったら覗いていってください⇩

麻布競馬場「令和元年の人生ゲーム」(文藝春秋)

Z世代にスポットを当てた痛快なダークストーリーです。ある意味青春小説なのかも?と思いながら読みました。

ぶっ飛んだ視点ではあるものの、何者かになりたい若者たちの葛藤と諦めを見事に文学に昇華させていてすごかったです。

一穂ミチ「ツミデミック」(光文社)

罪にまつわる話を集めた短編集です。背筋に嫌な汗が流れるようなゾクゾクする展開が詰まっていて、怖い怖いと思いながらもページを捲る手が止まりませんでした。どの短編もミステリとしておもしろいので、イヤミスが好きな人にはドンピシャでハマると思います。

岩井圭也「われは熊楠」(文藝春秋)

学者の南方熊楠を主人公にした歴史小説です。1人の偉人の人生を見届けたような気持ちになれる大作で、作中の方言にも心奪われました。

「自分が何者かを知るために世界を知りたい」という熊楠の学問へのモチベーションは哲学的にも思えます。

柚木麻子 「あいにくあんたのためじゃない」(新潮社)

モヤっとする時事ネタを盛り込み、痛快なストーリーに仕上げた短編集です。

人をイラっとさせる人物が多く出てきますが、そんな人たちを痛い目に合わせてスッキリ〜!という展開ではなく、そのさらに先を描くことでいろんな人の人間性を浮き彫りにしているなと感じました。

最後に

今回の直木賞候補作もどれもおもしろかったです。短編集が多くノミネートされているのは新鮮に感じました。どの本が直木賞を受賞するのか楽しみですね!

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