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第169回(2023年上半期)直木賞候補作を全部読んでみた

第169回直木賞発表に向けて候補作をすべて読んだので、感想文をまとめておこうと思います!前回は間に合わなかったけど今回はギリギリ間に合いました…!これで心置きなく発表を待つことができます。

前回の直木賞候補作全部読んでみたの感想文は⇩

今回の候補作の中で1番好きだったのは「木挽町のあだ討ち」です。歴史もの好き、特に江戸時代好きにはたまらない時代小説でした。江戸っ子口調で解き明かされるミステリのおもしろいことおもしろいこと…。

もちろん他の作品も夢中で読んでしまうものばかりでした!どのジャンルの本が好きかでイチオシの意見は分かれるかも。みなさんのお気に入りもぜひ教えてください。

それでは行ってみよう!

「骨灰」 冲方丁

渋谷の再開発を手掛ける会社で出世を目指すサラリーマンが、工事現場の地下深くに隠された謎に迫るホラー超大作です。

1ページ目からゾッとする展開の連続で、震えながら読みました。幽霊的な怖さと人間ヤバイ的な怖さが共存している作品です。ホラーを書いているイメージがない作家さんだったので、そういった意味でも驚き。掴みのインパクトがすごくて、怖い怖いと思いながらも最後まで一気読みしてしまう吸引力があります。

「極楽征夷大将軍」 垣根涼介

室町幕府を開いた足利尊氏とその弟、足利直義の生涯を描いた歴史小説。

2段組で550ページという鈍器本で、読書するときは寝転ぶ派の私にとってはなかなかの強敵でした。兄弟の間で飛び交う軽口がおもしろかったです。権力を握った兄と兄よりも優秀な弟の話なので、後半はだんだん不穏な関係になっていきますが、歴史的な事実だけでは見えてこない人の機微が丁寧に描かれていてよかったです。

「踏切の幽霊」 高野和明

舞台は1994年、下北沢の踏切で相次ぐ不可解な踏切侵入事故。人影を見たという証言はたくさんあるものの、電車が止まった後にどれだけ探しても誰もいなくて…というホラー小説です。

すべてが明らかになった時、何とも言えない気持ちになりました。切なエモいホラーです。めちゃくちゃ怖いというわけではないので、ホラーが苦手な人も楽しめるかも。

「香港警察東京分室」 月村了衛

警視庁組織犯罪対策部国際犯罪対策課特殊共助係、別名香港警察東京分室(呪文かよって書いてて思いました)の警察官を題材にした、アクションあり心理戦ありのエンタメ警察小説です。

アクションシーンの描写が見事で、ハラハラドキドキしながら読みました。シリアスなストーリーと魅力的なキャラクターたちのバランスが良く、展開を楽しみたい派の人もキャラ読み派の人も、どちらも楽しめる作品だと思います。

「木挽町のあだ討ち」 永井紗耶子

とある武士のあだ討ちを目撃した関係者たちの1人語りで紡がれる連作短編時代小説。巷の話題をさらった雪の夜のあだ討ちに隠された真相とは…?

木戸芸者、殺陣の指南役、女形も務める衣装係、小道具の名手、戯作者、そして最後にはあだ討ちの当事者と、語り手を変えながら隠された事実を明らかにしていくストーリーが秀逸です。読み終わったらきっと木挽町のみんなのことが好きになるはず。

最後に

今回の直木賞候補作はホラーが2作入っているあたりが夏らしいなと感じました。この中からどの作品が直木賞に選ばれるのか、楽しみですね。直木賞は歴史小説が有利なイメージがあるけど、今回はどうかな...。

他にもいくつか文学賞ノミネート作品を全部読んでみた記事を書いているので、こちらも覗いて行ってくれると嬉しいです。

直木賞ノミネート作品はAudibleでも楽しむことができます⇩


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