癌の診断 【PET検査】

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PET(陽電子放出断層撮影、ポジトロンCT)とは

 がん細胞の活動において吸収されやすい薬剤に弱い放射性物質を付着させ、体内における薬剤の分布を撮影することで、薬剤を取り込んだがんの様子を調べる検査。がんの大きさや広がりを調べるCTなどと異なり、がん細胞の活動の状態(活発に栄養分を消費しているか、など)を調べることができる。 がんの位置の情報をより正確に把握できるCTなどの検査と組み合わせて行うこともある。検査のときは、FDGというブドウ糖に似た薬剤を腕から注射する。ベッドなどで安静にして、薬が取り込まれるのを待ってから、機器の寝台の上にあおむけになり、そのまま台ごと筒状の機械の中に入り撮影する。 薬から出される放射線は時間とともに弱くなり、多くは尿と一緒に体の外に排出されますので、心配はいらない。FDGは一般にがん細胞に取り込まれるが、がん細胞以外の細胞にも取り込まれたり、また反対にがんであってもあまり異常としてみられない場合もあり、ほかの検査結果と合わせて総合的に判断される。      

   引用:国立がん研究センターより


以上が今日、9/3の午前中に母が受けた検査の手法だ。検査に要した時間は大凡3時間強。この検査には痛みなどは伴わない。11日に今日の結果を踏まえて医師が説明するだろう。その光景を想像するだけで胸が軋む。検査が終わった後、数時間して母に電話をかけた。母は、相変わらず元気そうないつもの声で話した。

「検査が終わって、会計しようとしたら、見覚えのある頭の人がいたから、覗いてみたらパパだった。 なんでも、最初に説明を受けに行った時、泣いて診察室から出てきたから、また泣いて出てくると思ったら心配だったから来た。んだって! 私は朝、ついていこうか?って聞かれたのを、今日は痛い検査じゃないから、ついてこなくていいよ。って断ったのに。」 と、半分笑いながら話した。


その出来事を聞いて私はとても驚いた。あの父が、姉の出産の夜にパチンコで負けたのに腹を立てたまま病院まで母を迎えに来て、出産に感極まったと思えばいきなり車のフロントガラスを殴って割り八つ当たりするような父が。 母の事をそんなにも心配して、三時間も黙って待合室で待っていただなんて。にわかに信じがたいが、私はなんだかとても嬉しくなったのだった。

「父の頭、見つけやすいもんね。やっとパートナーらしい事やりはじめたね、やるじゃん。」

私は驚きと感動で震えそうになる声を、父の薄毛を犠牲に皮肉って、誤魔化した。(ごめんなさい・・・・・・・・)

しかも、神棚もこの機会に購入したらしく、あの、家族一ズボラな父が、毎日神棚の水を変えて、手を合わせているということも今日聞いて、地球が逆さまになったくらいびっくりした。一切まめな姿を私はみてこなかったし、継続するのは競馬やタバコなど。やたらかけすぎる醤油。心配になるくらい不健康なことばっかりと思っていたけれど、こんな健気な父の姿は本当に本当に、みた事がない・・・。どうしてしまったのだ・・・父よ・・・。父をそこまで変えてしまうほどの出来事だったのだろう。


浮気や借金、暴力など本当に数えきれない程、愚行や我が儘で私たち家族を、母を心配させてきた父。そんな、健気な姿を見せられたら、つい泣いてしまいそうになりそうで。今までの事を、許してしまいそうで。許したくなるような気がして。父の愛が、母に漸く注がれているのだと思うと、涙が堪えられない。

「遅いぞ・・・・父よ・・・・」

心の中で、呟いた。母も父も、当たり前だけど、老いていく。そしていつか、お迎えが来る。体も小さくなる。私よりも握力がなくなる。酸素マスクをつけることになるかもしれない。大好きなご飯が食べられなくなって流動食や栄養点滴になるかもしれない。父も母も、私も、姉も。いつかはそういう風景の中に溶け込む存在になりうるのだ。何を持ってして「元気」を定義するかは、精一杯、やれる事をやり切ってからでいい。

だけど、そもそも、結果すらまだ聞いちゃいないのに私はなんて残酷な予想をこんなに書き綴っているのだろう。こんな事絶対に言えない。どこかに気持ちを出さなければ、私も不安で何かが崩壊しそうなのだ。同じ気持ちを感じた方は、どうか、声を聞かせて欲しい。私も今、やれる事をやっているつもりだ。ほんの些細な事だけど。


そう言えば、一昨日送ったお守りが母と父の元に届いたそうだ。嬉しそうにありがとうと言ってくれた。その次に「もう何があっても受け入れられると思う」と母は行った。「そうだね」と、それしか言えなかった。父には厄除開運守りをあげた。理由はなんとなく好きそうなフレーズだからなどという、まあ私なりの愛情表現のつもりで選んでみたお守りだ。父も母の事を思うパートナーだから、母にだけ送るんじゃなくて、父にも、どうか挫けないで見守り続けて欲しいと願いを込めて。



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