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日陰をつないで

部屋に閉じこもって、やってもやっても、日に日に増えていく、やらなければならないことをこなし、「あ、も...行かなきゃ」___玄関ドアを開けた______世界が、眩しい。

自分だけ今日に置いていかれたような
自分が自分に置いていかれたような

そんな感覚から逃げるようにして、近くにある影を求めて足早に歩く。

ふぅーーー

影って優しい。
私に居場所をくれる。
私を守ってくれる。

影そのものは、私の居場所になるために、あるいは、私を守るために、そこに存在している訳じゃないのに。

ここにいてもいいんだよ、そう言ってくれているかのような安心感。

一緒にいて、心やすまる友だちみたいだ。

どうして、穏やかな気持ちになるんだろう。
どうして、もっと一緒にいたいと思うんだろう。

それはきっと、影、みたいなことで。

その友だちの、これまでの人生の日陰の部分。
その友だちが、これまで経験してきた痛み。

そういうのが、言葉の隙間や、物腰に滲む。
私の知らない、友だちの世界のすべてで、私と接してくれているのがわかる。

だから、だから、この人と一緒にいたい、そう思うんだろうな。

日陰の暗さを知っているから、その暗やみに無理に灯りをともそうとせずに、ただ横にいてくれる。

痛いね、治そう、じゃなくて、「痛いね」「痛いね」____同じようで違う、違うようで同じ痛みを、ただ、互いの痛みとしてそのままにしてくれる。

その友だちの日陰に守ってもらっているから、自分も、その友だちの日陰になれていたらいいな、なんて。

そうしたら、自分の影も、何らかの意味があったんだと思えるような。

誰かの影に守ってもらいつつ、時に、自分が誰かの影になれたら。

暗くて涼しいはずの日陰が、心做しか、人肌で心地いい、そんな、日陰をつなぎあう毎日を、これからも、紡いでいけますように

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