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昨日の事件を思う -蘇るトラウマ-

昨日、私のせいでAさんが、ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせられる。という事件が起きた。

私は少し離れた場所にいて、2人の顔は見えなかったが、Aさんと楽しく会話をして、『またね〜』と、とても和やかに別れをした後だった。

その罵声が飛ぶ中、私は恐怖で足がすくみ、Aさんを助けに行くことが出来なかった。

それどころか、その場から、逃げたんだ。

意識に上がらないどこかで、あの頃が蘇る。

そして、体が震え、身体中を剣山で突き刺されたかのような、そんな痛みがわたしを支配する。

『逃げ出せない』


しばらくすると、その罵声を浴びせた人間が、私の方へ向かってきた。

『殺される』

そんなことは冷静に考えればあり得ないが、私のトラウマは、そんな一般常識から外れた思考を植え付けて、私を支配する。

私は、また逃げた。


しかし、その人間は、執拗に私を追いかけてくる。

お互い疲れた頃、ある人が私に声を掛けてくれ、もう追われることはなくなった。


それでも、

私の震えは止まらない。


涙も制御不能で、殺人鬼に追われた悪夢と同じ感覚を、現実でも受けている。


『過去に色々あって、ああいうのが、本当に恐くてたまらないんです…。』

人前で泣くのなんて、何年ぶりなのか…

泣くのを制御する、恥やプライドをゼロにするほどのトラウマが、私にはあった。


4歳まで、家庭内暴力と虐待を日常的に繰り返す父がいた。

過去形なのは、私が4歳のときに両親は離婚、別居したため、運良く逃れることができたからだ。

しかし、4歳までという、小さな世界・コミュニティしか存在しない幼い子どもの心を、恐怖と暴力というもので支配し、無意識の中に怯えトラウマを植え付けることは、極めて容易なことだった。

私が、『それ』なのだ。


他の兄弟も、殺されかけるなど、常に死と隣り合わせの環境で過ごしていた分、異常とされる『反応』は、それぞれタイプは違うが、存在している。

一番ひどく虐待されていた兄は残虐性が目立ち、気に入らないことがあれば、私が地面にひれ伏したとしても、そのまま殴る蹴るを続けた。

謝っても、終わらない。彼にも、制御できないのだ。

兄は結婚後も産まれた子どもから自分が気に食わないことをされたとき、その『異常性』を剥き出しにした。

私は訳あって同居していたのだけれど、その子どもを守れず、昨日の事件同様、震えて固まってしまい、存在を消すことだけに必死だった。

卑怯だと非難されることは分かっている。

けれど、動けない…その間も続く、子どもへ向けられる罵声と、叩き、蹴る音…

首すじがゾワゾワして、『身の毛がよだつ』という意味が痛いほどよく分かる…

不快だが、『逃げ出せない』のだ。

静かになった後、存在を消したまま、知らぬふりをしてその場を立ち去る…

私は、いつもそれを繰り返していた。

愚かで弱く…自己防衛に必死だった。


間もなくして、それだけが原因ではないが兄夫婦は離婚、親権は元兄嫁が持った。

今でも本人は、まさか自分があれほど憎んでいた『虐待』をした、という意識はないことだろう…。


と、話は逸れてしまったが…

この頃はまだ、私は、自分自身が『問題を抱えている』ことに、気づいていなかった。


やがて色々な人や場所にて、男性がキレるという場面を何度か見かけるようになり…

それに対する自分の反応を、自覚するようになった。


日常に支障をきたしているのに、まだ私は、『大丈夫だ』と自分に言い聞かせている。

その逃げてきた何十年分のツケが、昨日、私を殺そうとしたのだ。

私の立場さえ、危うくさせた。


今、私は、昨日を引きずり動けずに、ベッドに横たわっている。

これを知らない人たちは、私を甘えた人間だと言うだろう。

しかしでは、過去を話したところで、その人たちは…私を理解できるのだろうか?

もう何度も経験しているからこそ分かる。

自分の世界線と違うことを話されると、人は、聞いているようで、聞いていないのだ。

『これから永遠に自分の世界とは交わらない世界線だから、関係ない』とでも言うかのように、とても冷めた受け応えをされる。


どうしてだろう。

だから私は、『変なヤツ』で、終わるだけ。


それでいい。

私はずっと昔に、

他人を信じることを、やめたのだから。


トラウマは、今も私の人生の全てを

無意識下で、支配している。

これまでも、おそらく、これからも……。






いただいたお気持ちは、創作意欲を掻き立ててくれる毛むくじゃらでニャァと鳴く息子・娘で分け合います(^_^)