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青天の霹靂に、落ち込もうとしても。泣こうとしても。

日曜日。

息子の練習試合が終わった頃、グラウンドで私のスマホが鳴った。

同僚が脳出血で倒れ、緊急搬送されたという。搬送されて、緊急手術をしたという。今のところ、どういう事態になるのかはわからない。血を取り除く処置をして、ここから二、三日は薬で眠らされながら、状況を診て、その後の処置に続いていくそうだ。

前日は普通だった。仕事の話もしたし、笑い話もした。私が週明けに新しく追加するメンバーの採用面接に行く話をしたら「業務経験とかいらないから、若くて素直で明るい人、よろしく」って、彼が言って、「俺もそう思ってた」って返して、笑いあったところだった。

彼と私は同い年。私が自由に動けるのは、彼が係長としてバリバリとリーダーシップを発揮してくれているおかげだ。私が仕事で悩んだら、一番に相談するのも彼だ。


グラウンドで電話をもらい、彼の奥様と会話をしたあと、すぐに上司など会社の関係者やお客様などに電話をかけ、状況を伝えた。

今、眠らされている彼は、三日後にどうなっているだろう。ちゃんと目覚めているのか。意識はあるのか。後遺症はないのか。

彼は、会社の中では大車輪の活躍だったから、不在時の手立てもなかなか大掛かりだ。彼が復帰するまでの間、円滑に業務が回るようにと、野球少年たちの大きな声が飛び交う中で、思考を巡らせた。


***

月曜日を迎えた。

午前中は走り回って、関係各所への状況報告と、業務調整。彼の承認権限を私に変更する手続きなど。そして午後は移動して、予定していた採用面接。

面接に来られたのは三名だった。

SE未経験の21,2歳の男女と、SE経験のある32歳男性。
「採用するなら若い二人のうちのどちらかかな」と思いながら、面接を始めた。二人とも、とても感じが良くて、どちらが入っても上手くなじめそうなイメージがわいた。「現場とも相談して、今週中には回答します」と伝え、面接は終了した。SE経験のある32歳は、倒れた彼の一時的な穴埋めを想定して、キープしておいた。

帰り道。続報が入ってきた。「後遺症が無いということは考えられない」と医師から説明があったそうだ。
 
 

***

火曜日。

今日は休み。なんだか、休みで良かった。

悲観的になろうと思えば、果てしなく、なれる。でも、私は普通に朝ごはんを食べ、普通に家族と笑う。私の中に、落ち込む自分も、祈る自分も、笑う自分も、泣きたい自分もいることを感じる。

また、彼と話せるときを楽しみに、私は私の今を生きるしかない。

いつも読んでいただきありがとうございます。