直Bアセスについて
先日、こちらでもつぶやきましたが、珍しい依頼がありました。
直Bアセスメントの依頼ですね。今回はそもそも直Bアセスメントとは何か。実際にやってみて私自身が何を感じているか。
そういったところをまとめてみようと思います。
ちなみに詳細はこちら。
直Bアセスメントについて
直Bアセスメント、と呼ばれているこちら。中身は就労アセスメントのことを指しています。
なぜ「直B」と呼ばれるのか。それは、「直接B型を利用する際におこなう就労アセスメント」だからです(たぶん)。
「直接B型」とはなんぞや。
これは①働いたことがない②就労アセスメントを受けたことがないという2つの状況を指すと思っていただければよいと思います。
たとえばのケース。
精神疾患を患っている方が10代からひきこもって成人し、徐々に体調が回復してきた。
体調は回復しているけれど、いきなり就職は厳しい。そこで、B型事業所で自分のリズムを整えたい、としたとします。
ここで出てくるのがこの「直B」の問題ですね。
この場合、まずは就労移行を利用し、就労に関するアセスメントを受けなさいとされています。
アセスメントを受け、自分の就労に対する力を確認し、さらに選べる選択肢を把握し、その上で従前のB型を希望するのか、それ以外の進路を希望するか。
この「選択する機会」を持ちなさいよ、というのがこのアセスメントの主旨と思ってよいでしょう。
極端な話、上記のアセスメントを受け、支援者から「バリバリ働けますよ」と言われた方でも、「いや、B型がいい」と本人が判断すれば、それでよいのです。
バリバリ働けるから働きなさい、とするためのものではないということですね。
ちなみに、特別支援学校に在学している方は、在学中に就労移行の体験や一般企業での就労体験をおこなうので、このアセスメントがそれによって補完されています。
また一般企業に就職したことのある方も、アセスメントは受けなくてもサービス利用ができます。
直Bとナカポツ
前述した「就労移行による就労アセスメント」が受けられない場合があります。
たとえば地域に就労移行がない、という場合。
それから障害者本人に身体障害があるなど、何らかの理由で就労移行によるアセスメントが受けられない場合です。
その場合、ナカポツがアセスメントをおこなうことで、「就労アセスメントを実施した」と判断することができる、とされています。
この場合、アセスメントの内容や期間などを、地域の行政機関とよく打ち合わせて実施するように、といわれています。
私が関わった中では、移行がない地域の方に対しては、地域のB型での体験利用の様子でアセスメントを取りました。
他には学校に出向いてワークサンプルをおこない、作業検査をおこなうこともありました。
そこで作成した書類を行政に提出し、サービスの支給決定時の参考資料にしてもらった、という流れです。
いずれも本人が従前から希望していたB型事業所利用の希望は変わらず、支給決定も出たという結果になりました。
直Bに関わってみて
正直に言うと、これはもう出来レースだと感じています。
本来の意図としては、本人がきちんと自己理解をして、地域の社会資源などの選択肢を理解し、その上で自己決定をする機会を設けるということが主旨です。
ですので、本人がB型を希望していたとしても、そこは一度フラットに、本人の就労能力をアセスメントして伝えることが本来のアセスメント実施機関の役割です。
ですが、依頼元の相談支援事業所や学校、行政のニュアンスは「B型に行くためにアセスメントを」というものです。
いや、意味はわかる。私たちが関わるまでにアセスメントをして、支援を見立てていて、「B型利用が妥当で本人も希望している」というところで私たちにアセスメント依頼が来るのだから。
本来は就労の専門機関がアセスメントをして、というのがミソなんだと思います。
しかし、地域の機関同士の関係性も含めて、上記のニュアンスに合わせてアセスメントにバイアスがかかることもあるのではないかと感じています。
関わった方の数は本当に少ないです。ですので、相談や学校の見立てと私たちの見立てが大きく乖離することはなかったのですが、じゃあ私たち側に上記のようなバイアスが0だったかというと、それは0ではなかったとも思います。
特にナカポツ経験2年目で初めて関わった時には内心、「働けるって結果が出たらどうなるんだ?」と謎のドキドキを味わっていました。
それはそれでいいじゃないか。いいはずなんですけどね。
自分自身の内側では毎回、このアセスメントの位置づけや自分自身の立ち回り、役割、見立てをいつもより意識するものになっています。
「ありき」のアセスメントではないか、と。
まとめ
今回は直Bについてまとめました。
コメントで触れていただいた内容でもありましたが、いかがでしょうか。
私の理解も含んでしまっているのですが、お叱りはあるでしょうか。真摯に受け止めたいと思います。
繰り返しですが、本来は「福祉から雇用へ」とか「国民総活躍」的なところも踏まえたものです。
本人が気づいていない本人の能力、選択肢を提示し、自己決定を支援するという位置づけであるはずです。
そして来年度以降には「就労選択支援」というものが新設される見通しです。
これが今後、地域の就労アセスメントの第一線となるのでしょうか。
要注目ですね。
このアセスメントも含めてですが、私は「あなたは働く力があります/ありません」といった話をすることが苦手ですね。
課題はこう、強みはこう、対応はこう、と伝えることはできるのですが、「一般就労が妥当」、「B型が妥当」とある意味一線を引くのは、とてもプレッシャーです。
ここも書き振りなのでしょうけれど。
今回も絶賛経過中ですので、事業所内でもよく考えながら進めていきたいと思います。
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