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結論を出さない

結論を出さないことも大事だな、と改めて思いました。
最近久しぶりに新規の相談を担当したのですが、自分の中で反省しようと感じた次第。

備忘録として残しておきます。

新規相談について

どこかで書いたかもしれませんが、うちのセンターは電話を受けた人間がそのまま新規相談を担当します。
電話の場所からして私になることが高確率なのですが、最近は電話で終わる内容が多かったですし、自分が近々で受けられないことがあって他の人に面談から交代することがありました。

新規相談は上司と同席するのが大抵の場合。どうしてもいない時は私が同席。
担当と、上司または私という感じで面談をおこないます。
複数の視点がある方が意見を多く出せますからね。

今回の相談

相談にいらっしゃった男性は鬱の診断を受けて間もなく。
実家は県外で、現在は一人暮らし。実家を頼ることはできないとのことで、現在は貯金を切り崩して生活しています。
医師からはしばらくの間治療に専念するよう指示を受けている。傷病手当は既に満期受給していることがわかりました。

ご自身でもいろいろと調べられていましたが、初めて「障害者」という枠に該当することになるため、どうしようかと考えているところでした。
これまでひとりでやってきたけれど、難しくなってきた。福祉に頼るのもいいかと思って障害者手帳の申請を始めるとのこと。

私の方からはセンターの概要を説明しました。
その中で、医師の指示を飛び越えて就労支援はできないことを伝えます。
福祉サービスに焦点を当てると、就労移行やA型事業が思い浮かぶけれど、生活費の保障は難しい。一方でアルバイトをおこなうと福祉サービスの利用は原則できない。
実家からの金銭的な支援はできないとのことだと、例えば生活保護を受けてまずは生活基盤を作ってから、医師と相談して治療や訓練からスタートを・・・というのもひとつでしょうかと意見。

貯金がまだあること、本人が調べた中では負債があると生保は不可ということから、すぐの受給は難しくても、市役所に相談に行くことを提案。

ここまでが私のターンでした。
ここから上司に他の案はないか話を振る。

上司からは上記の考え方を補足しながら、センターに相談に来る人のケースを紹介。
生活費の不安を抱えたままの治療や訓練は焦りが生じる。そこで焦って就職すると上手くいかないケースが多い。

そこでまずは医師に相談し、治療期間をどのように設けるか確認すること。たとえば訓練しながらなのか、デイケアのような医療サービスが適当なのか。短時間であれば働けるのか、それは一般就労か福祉サービスのイメージかを聞いてみる。
次に市役所に相談。現状と医師の回答を持っていき、生保受給の可否を確認する。不可の場合はどのような状態になれば受給できるのか、他の案はないか聞いてみる。
この2つを提案。

反省点

この話の途中で、「ああ、考え方を示すだけでよかったな」と自分自身の提案を振り返っていました(面談はその後も続けましたよ)。
結論としては似たような感じですが、似たような経過の人のパターンを伝える。これが大事なクッションだと思いました。
生活保護って言葉、結構ぐさりと来る人も少なくないですよね。

情報として、うちが支援できない(医師の診断が治療優先)こと、福祉サービスと生活費の関係、貸付のデメリットと生保の存在・・・。
このくらいを提供して、本人にも考えてもらえばよかったかなと。

今回の顛末としては、まず医師と市役所に本人が確認し、その結果を共有してもらえればその後を一緒に考えます、という、うちのセンターで継続相談するための土壌づくりの提案となりました。

自分もそのつもりでいましたが、結論的に話すのではなく、私自身の提案の過程を本人と共有することで、本人自身の考えも補足され、意見が出てくるのではないかと反省しました。

まとめ

ニュアンスって大事。

上司と私、本人から出された同じ情報を聞いて、恐らく同じイメージを持ちました。

まず治療。そのための生活保障。実家と疎遠。活用できる社会保障は現状少ない。生保の可能性はどうかな。
何だかんだ無理って言われるかな(偏見)?そうしたらその後本人困るよな。聞いてきてもらった内容を確認するくらいまでは必要だろうな。

こんな感じでしょうか。

それをどのように伝えるか。

今回の上司の伝え方から、考え方を伝えながら、徐々に整理していくことで、相手も理解が深まると改めて感じました。
また、場合によっては支援者の思いつかない方法や、より本人にとって望ましい対応が本人から生まれることもあります。
そこを大事にしたいと思ってはいるのですが、初回相談はいつまでも難しいですね。

今回の反省を活かして、次の面談に備える。 

初回相談が少ないことはいいこと(支援機関は警察消防救急のようなものだと思いますので)なのですが、多く経験したいなと思うこの頃です。


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