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バイスティックの7つの原則~個別化~

「バイスティックの7つの原則」をご存じでしょうか。
社会福祉士や精神保健福祉士などの支援職には馴染みのある対人援助のテクニックです。

対人援助は人と人のことなので、どうしても相性というものが影響します。それはつまり、支援にはその支援者ごとの「色」が出るということ。要は対応に幅が出るわけです。
そりゃまあ、人ですからね。ですが、その幅がとんでもなく広いのも考えものです。
対人支援における原則、基本の姿勢を示したものがこちらの原則になります。
以下の7つで構成されています。

①個別化
②意図的な感情表出
③統制された情緒的関与
④受容
⑤非審判的態度
⑥自己決定
⑦秘密の保持

名称の表現が教科書ごとに異なるかもしれません。

私自身、これらは大事だと常日頃考えていますし、ことあるごとに思い出してもいます。しかし、完璧にできているかというとまた別問題。そんな中で自分を棚に上げますが、関わる支援者の中にはこれらの意識すらないのではないかと感じる方も散見されます。
結果、本人との関係性がこじれており、こちらが仲介にもしくは引継ぎに入らなければならないこともあり・・・。やっぱり大事だなと痛感しています。

自戒も込めて、これら7つの原則を再度確認し、自分がどう飲み込んでいるか、日々どのようなことを意識しているかをまとめてみます。
まずは「個別化」から行ってみよう。

なお、この原則の成り立ちなどは教科書などにお任せします。
国家試験を受ける方、試験に出るし現場に出てからも重要だぞ!


「個別化」とは

個別化とは、クライエントが抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても人それぞれの問題であり、同じ問題は存在しないという考え方。
つまり、クライエントのラベリングやカテゴライズは厳禁ということ。

上記はwikiより引用したのであしからず。

クライエントの属性は様々です。性別、年齢、成育歴、障害種別、価値観・・・似ているようでもAさんとBさんは違って当たり前ですよね。
同じ状況に置かれても感じ方が違ってきます。

たまに、「Aさんは発達障害なので突発的な対応が苦手です」と言われる支援の方がいますが、場合によっては安易なラベリングに感じることもあります。
Aさんにそういった側面があるのは事実なのかもしれませんが、「発達障害=突発対応が苦手」としてしまうのは危険です。

個別化の原則に対する意識

繰り返しになりますが、ある属性から本人の特徴を判断するのは危険です。
発達障害だから突発対応が苦手、女性だから力仕事は難しい、40歳だから親から自立していて当たり前、四年制大学を卒業しているから一般常識はある・・・。
本当にそうでしょうか?その人それぞれの事情があるのではないでしょうか。

これらは福祉だの支援だのに関わらず、人との関係性を作る上でも大事ですよね。
AさんをAさんとして認識し、尊重する。できる・できないや何を大事にしているか、今後どうしていきたいかなどをきちんと本人の口から聞き取って把握する。

様々な属性が絡み合ってAさんができています。障害者という側面、男性という側面、父親という側面などなど。ひとつの側面から切り取って話すのではなく、それらを総合してAさんとして話をしていく必要があります。

ここをないがしろにすると、「障害者だから」とか「その年齢なんだから知ってて当たり前でしょ」などが出てきて、本人を知らず知らず軽んじてしまう可能性があります。また、本人のことをわかっているように錯覚してしまいます。
それが本人に伝わると支援関係に影響し、関係性が壊れてしまう可能性もあります。

・・・と、頭ではわかっていても実践するのはなかなか大変なこともあります。

相談支援の経験が増えてくると、本当にいろいろな方と出会います。その経験から、やはりケースをカテゴリに分けていくのが実際のところです。
ただ、「似たような傾向の方」くらいにイメージを留めることは意識しています。
例えば朝起きられない、と言われた時には「ああ、うつだからかな」と心の中で思うことがあっても、「それはなぜですか?」と確認をします。
初回の面談では毎回同じことを質問紙から聞いていきます。回答が同じでも、その背景に何があるかは確認をしていく。うつの人は何人も知っているけれど、目の前の人のことは知らないのです。

「『うつの人』という人」はいないのだと意識して接しているつもりです。
うつ病はただの病名であって、その人の自己紹介文ではありませんからね。

まとめ

個別化の原則。それは「その人をその人として認識しましょうね」ということ。
私は障害分野の相談員なので、どうしても「障害種別は何ですか」と聞く必要があります。「精神障害で診断名はうつです」と言われると、何となく「うつの人」をイメージするわけですが、そのイメージに囚われることなく、目の前に来たAさんの話を聞きたいと思っています。

しかしまあ、これはなかなか難しいのかもしれません。
毎日のことですからね。障害から本人を見立てることが癖になっている側面もあります。しかし、それ自体をまずは自覚し、自分を戒めなければ。

他の6つの原則についてもまとめてみます。
よろしければご確認を。

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