専門性についての散文
専門性と言えば聞こえはいいですが、それに特化しすぎると視野が狭くなるようにも思います。
以前上の方の上司と話していて思ったこと。
その上司が現場で支援員をやっていた時は、本当にいろいろなことをやったもんだと話していた。今から50年近く前になるのでしょうか。
なんでも当時入所施設では、利用者が窓を壊せば窓を直し、それで利用者が怪我をすれば医療処置(聞き間違いだろうか医者が休みだったから縫ったようなことを言っていた)をし(翌日医者に言ったら処置できてるからそのままでと言われたそうな)、仕事を探すこともしたし一緒に風呂に入ることもしたと。
入所の支援員、営繕、看護師、就労支援、相談支援をまとめてやっていたものが、今は細分化・専門化されてきたと。
それはいいことかもしれないけれど、全体をまとめてみることができる人が減っていないかと思うこともあるという。
これは自分も現場でよく感じていることで、専門性に特化していくと、要は縦割りになるなと感じている。
それを打開するためにみんな口々に「連携連携」というけれど、実態としては押し付け合いの丸投げ合いになることもある。
結局対象者のニーズの中のグレーの部分はどうしても拭いきれなくて、じゃあどこがやるんだとチームの中で牽制が始まる。
私も含めて、「うちではない」という根拠を探しながらお互いに探り合うあの感じはなんだろうか。
「私はナカポツ。就労支援の専門家なので」といった雰囲気を露骨に出してくる人もいる。
いやまあ、いいんですけどね。チームから浮いちゃいますよ。
こういった人ばかりのチームでは立ち行かないケースがあることも少なくない。
特に本人だけでなく、本人の家族が本人に影響している時や、障害の部分ではない課題を抱えた時(例えば遺産の管理だとか、親の介護だとか)に、チームの空気が変わる気がする。
そんな時にその課題ごとの専門家に繋いだり、専門家がいないような分野や、本当にちょっとしたことに手を出せる遊びの部分を持っていたりすることが支援者として重要なのだと思います。
「やってはいけない支援」ってそんなに多くないのだと思うのです。
本人の自発性だとか、エンパワメントの視点からの話ではなく、事業としてNGだという範囲ってそんなにあるか?
ナカポツの場合は財源の関係で「やってはいけない」があるので、まあ他の事業でもないことはないのでしょうが・・・。
例えばナカポツは福祉サービスの調整をしてはいけないわけではない。
ただサービス等利用計画は書けません(専門員ではないので)。
また地域にこれだけ相談支援事業所があるのでサービス調整はしないという地域性からくるものもあります。
でも実際はやることもある。具体的には就労していた人が転職を希望した時に、職業準備性が低い場合や転職の理由によってはA型やB型、移行の利用を促すことがある。
その時に毎回相談支援事業所に繋ぐわけではなく、ケースによっては私がそれらのサービスに見学同行したり、体験利用の調整や振り返りに参加したりすることもある。
必要性によって支援の枠を少しはみ出す。グレーの部分を持っておく。自分がやっていることはどの範囲の支援なのかを自覚する。
支援・制度の原理原則を理解した上で、それをはみ出す理由を自分の中で持ち、事業所で検討して対応が妥当か判断する。それが大事。
話が逸れに逸れました。
専門性のこと。
私の中では「就労支援の専門性」と、「支援者の専門性」、「生活者の専門性」がどんどん広がっていくといいなと思っています。
それは最早専門性ではないか。
私の専門性のイメージは「窓」です。
「自分が持っているのは就労支援の窓だ」ということと、「それ以外の窓もある」と自覚することが支援者としての幅、視野の広さだと考えます。これ自体が「支援者の専門性」か?
そして自分自身がライフステージの中で経験してきたこともきっと活かせる仕事だと思っています。例えば高校の授業ってつまらなかったとか、今やっているゲームのこと、電気やガスの契約の方法、料理のめんどくささやレシピ、時短術、洗濯の方法、可能な限り洗い物をしないためのズボラ術・・・。
そんないろんな経験が支援に繋がることがあります(それって支援か?)。
これらの窓を大きくするのが知識や経験の蓄積。
自覚することでそれぞれの窓からケースを見ることできる。
そんな風に最近考えています。
何が言いたいのかわからなくなってしまった。散文。備忘録。
とりあえず困っているんだから誰か何かやりませんかという気持ち。
私は事業所の長ではないのでこう思えるのかもしれません。
結局持ち帰って、上長にその支援をやる意味や、どうすればやれるか、やらない時にどのようなフォローが考えられるかなどを伝えています。
その中で上長と一緒に考え、事業所としての答えを返していく。
専門性にこだわる人は多いけれど、私は専門家の視点とそうでない視点を持っていたい。
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