相談者の捉え方
相談員を始めて今年度が10年目になります。
1年目と比べればそれはそれは様々な点で取り組み方が変わったのだと思います。
良くも悪くも、ですね。
今年度から新人が入ってきました。
事業所内ではあまり込み入った話はできませんが、車で移動する時にはいろいろと話をしています。
その中で業務のことというよりも、相談員としての取り組みの姿勢や視点、考え方を話すこともあります。
そこに関心を持って聞いてきてくれるので、この子は伸びる!と勝手に思っています。
勝手に話しているのが7割程度ではあるので、鬱陶しくないかおじさんは心配でもあります。
さて、その中で出た話題として、「相談に来たAさんをどのように捉えるか」というものがあります。
これは結構振り返りになったように思います。
今回は自分が相談に来たAさんをどのように捉えているのか、この捉え方の注意点をまとめてみます。
自分の捉え方
きっかけは車で移動中。新人から「今日会う方って統合失調症の方なんですね」と言われ、「あ、うん、そうなんだっけ」と返したことから始まります。
新人は意外そうでした。覚えてないんだ!みたいな。
みなさんもそう思われるでしょうか。
自分の中では「Aさんは融通が利かないところがあって、職場で周りの人の小さなミスに注目して落ち込んでいくことがある」くらいに認識しているので、「発達系じゃないっけ?」と思っていたわけです。
実際は発達障害の診断はなかったわけですが。
この「発達系」って認識はちょっと酷い表現ではありますが多めに見てください。頭の中のことですので。
で、新人にはそのまま頭の中のことを伝えました。
Aさんはそういう課題から職場にストレスを感じてしまって、体調面に影響している。それが当面の課題であると職場は認識している。
なので、いわゆる「統合失調症」の症状のイメージからは少し離れているものだと認識している、と。
改めて自分を振り返ると、自分の記憶力ではひとりひとりの病名まで覚えていられないということ。
覚えるものではなくて、個人ファイルなどで確認するものだと認識しています。
それより重要なのは、それらの病状によってあるいは障害によってどのような課題が職場で出ているかにより強く注目しているということがわかりました。
新人にはこれが良いものだとは伝えておりません。
私の認識の仕方であって、ひとりひとりの病名を覚えていられないのは能力の限界であるからだと伝えました。
恐らく覚えている支援者もいるでしょう。それはもう、支援者の能力と色ですよと。
病名から課題をイメージするのではなく、本人の言葉や職場での行動、職場の人の評価から課題を抽出して、さらに本人を知るための面談を経て、Aさんのイメージを作っていると伝えています。
これはよい教育なのか、悪い教育なのか・・・。
新人さんはしっかりと考えることができるタイプだと見立てておりますので、取り込むところは取り込んで、いらないところは切って捨てていただければ・・・(丸投げ先輩!)。
注意点
一方で、例のAさんについては統合失調症の診断がついている事実があるので、そこから目を背けるわけにはいきません。
統合失調症の主な症状(幻聴や妄想、陰性症状としてのうつ傾向など)が何らか作用して上記のような課題を呈している場合もあります。
面談の時や面談の前には個人のファイルを確認し、「なぜこの課題が?」と改めて考える時間を取っています(なのに車中では忘れているという鳥頭)。
診断名は重要な情報です。鵜呑みにして先入観として課題を先読みすることは避けますが、蔑ろにするつもりもありません。
もしかしたら妄想や幻聴から本人の言動に繋がって、一見発達障害っぽい対応に至っていないか?と考え、本人にその辺の体調確認等をおこないます。
もしそうであれば、表面上の対応と並行して、根本になっている症状への対応も必要になるかもしれません。
Aさんの理解は病名だけでは不可能ですが、病名を欠いてAさんを理解することはまた不可能です(この仕事をする上で関わるのであれば)。
このバランスが大事だと思うよ、と新人には伝えましたが果たして・・・。
まとめ
Aさんを理解するためにいろいろな情報を得ていきます。
病名、病状、家庭環境、発症の原因、趣味、将来のイメージ、友人関係・・・常識の範囲においてなんでもです。それらの各論をひとつひとつ覚えておくことは私にはできません。すみません。エピソードは割と残るんですけどね。
なので記録として残します。
各論同士が結びついていくと、言動に矛盾しない一貫性を感じることがあります。それがAさんの考え方や感じ方の傾向です。
それが、「ということは、この状況においてこう感じるのでは?」という見立てに繋がります。
病名は大事です。私は覚えられないことが多いですが、それが重要ではないということにはなりません。覚えられないのです。それよりもイメージが先行するのです(それは先入観では)。
覚えられないことは確認すればよい、が今のところの私の対応方法です。だから記録は大事。事細かに書かないけど、今後の支援で必要そうなことはしっかり書く。
こういった考え方が正しいとは思いませんが、ひとつの方法ではあるとも思います。
覚えられなくてもいいのです(開き直り)。代替する方法があればそれでよいのです。
新人は車中ではそこまで戸惑っていなかったように見えたけれど、話すことで混乱していないだろうか。
都度都度確認して整理していこうと思います。ああでも、鬱陶しいおじさんにならないようにしないと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?