短編小説 キミノハナトコトノハ
りーんりーんと鈴の音。肌寒い夜に虫の声。
ボクは部屋の窓を開け放つ。中秋の名月が綺麗だ。
ベッドサイドにはチョコレートコスモスが生けてある。キミが好きだった花だ。
ボクはベッドに寝転がると目を閉じる。鈴虫の音色が心地よかった。
「……ねぇ、聞いてるの?筆、止まってるよ?」
はっと我に返ると、キミが目の前で手を振っていた。いくら声をかけても返事がないから側まで来てくれていたようだ。
「ごめん……ぼーっとしてた」
「モデルをほっといて、ぼーっとしないでよね!こっちだっ