国土の長期展望
村上敦「KWH=¥」という風変わりな本を知った。
ドイツ在住の環境・都市計画ジャーナリストが書いたものだが、著者がしきりに引用しているレポートに関心を深め、調べて見た。
国土交通省が2011年の2月21日に発表した予測「国土の長期展望」というレポートである。
* 2050年までに国土の6割以上の地域で人口が半減する。
* 若い人から流出が始り、高齢者、低学歴者、低職歴、単純労働層、低収入 貧困、生活弱者が残る
* それに伴って、教育・医療・買い物などの生活インフラが崩壊
* 道路・上下水道・エネルギーなどのインフラも崩壊
* 行政コストの増大に耐えうる自治体は無くなってゆく、特に人口1万人を 割る地域は存続が困難
というおどろどろしい中身が不気味である。
しかし、これらの兆候や事例は既に身近に目にするもので、伊豆などは若い人の減少、出産を受け持つ医療施設が少ないなどというニュースにはたびたび触れてきた。静岡市でも限界集落はいまでも深刻な課題である。おそらく、日本の未来はこのレポートが描き出したように推移してゆくのだろう。子や孫の代には想像もつかない国の形が現れているだろうが、その過程でずり落ちて行く地方・地域と居住者には悲惨な運命が待ち受けているとしか思えない。
これほど衝撃的なレポートがマスコミであまり取り上げられないのは、発表の20日後に起こった3/11大地震のためである。最近発表された「消滅する自治体」という報告やマスコミの議論などは、ほとんどこのレポートが下敷きになっていると言えよう。一度はこの「一次資料」に目を通すことをおすすめしたい。
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