【映画感想56】エジソンズ・ゲーム/アルフォンソ・ゴメス=レホン(2020)
19世紀、電力送電システムをめぐる発明家のトーマス・エジソンと実業家のジョージ・ウェスティングハウスの争い「電流戦争」を題材にした映画。
前回見た「プレステージ」に出てきた発明家のテスラもこの争いに関わってるらしく、
ちょうど電流戦争が気になっていたのでみてみることにしました。
製作総指揮はマーティン・スコセッシで、
監督は「アメリカン・ホラー・ストーリー」シリーズ(みてないので気になる)のアルフォンソ・ゴメス=レホン。
制作総指揮と監督ってどう違うんだろう。
タイトルの通りエジソンにフォーカスを当てた映画なので、テスラはそんなに出てこず、
主に安価で遠くまで届く交流電流を推すウェスティングハウスvsパワーのある直流電流を推すエジソンの対立構造になっています。
(ちなみにテスラは交流電流派だったためエジソンとは袂をわかってしまう)
自分で会社を起こしたり特許を撮っていくあたり、エジソンは発明家より実業家肌なんだなあと思いました。
テスラ・ウェスティングハウスの交流電流のイメージダウンのために、交流電流で動物を殺してパフォーマンスするあたりは汚ねえを超えてビジネスマンとしての覚悟と執念を感じました。芸術肌の人にはできないと思う。
他の発明家が発明していたものをタッチの差で特許を取った、という話だけは聞いたことがあったので「なりふりかまわず利益取りに行けるタイプなんやなあ」という勝手なイメージがあったのですが、
この特許について「いまこの瞬間にも大勢の発明家が同じものを発明しているが利益を得られるのはたったひとり」という弁解があったのはよかったです。妻の死といいエジソンに好意的な描写が多いなーという印象ではさた。
(ちなみにテスラは美男でありながら生涯独身だったそうで、なんかこのあたりにも事業家と芸術家のちがいがでてる気がする。)
全体をみると対立していながらもウェスティングハウスにエジソンが資金を援助してもらっていた経緯もあり結構混乱したのですが、
最終的な経緯は音声なしの字幕で淡々と紹介するところ、エジソンはテレグラムを発明したという説明で締めることで「今私たちが見ている映画」につなげる終わらせ方は結構好きでした。
あと電球について「瓶の中の星」という言い回しも。これって実際に言ってたんだろうか?
発明家ではないものの圧倒的資金力を持つウェスティングハウス、天才発明家でありながら世渡りが下手であるテスラ、
これ利害が一致して3人が協力できていたから今日の電気事情ってまた変わってたのだろうか……ともったいない気持ちになりました。
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