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人魚と蟹のロックンロール

はちゃめちゃな日本語だ

そんなこと百も承知で言わせてください

頭痛が痛い

なぜか左側だけ痛い

力持ちの人に両手でグッと絞められてるみたいな痛みがずっとある

きっとだるんだるんのタンクトップを着ている力持ちだろう

プロテインをプロティンと言うタイプの力持ちだろう

体調が悪い時って、「あれ、体調悪くない時ってどんな感じだったっけ…」て考えちゃいますよね

あぁ…目がまわる

天井がウルトラQのオープニングみたいにぐるぐるしている

ホットアイマスクしとるんか、てぐらい瞼が熱い

悪夢のようなものを見た

広大な海で1人、ボロボロのボートに乗っている

海は緑色だ

空は青く、真っ白な鳥が3羽、円を描くように飛んでいる

キィーキィーと聞こえる

何の音かは分からない

擬音ではない

女性が「キィーキィー」と言っている声がするのだ

風は生暖かく、頬を撫でるように不規則に吹いてくる

ハッと気付くと女性がボートに乗っている

金髪で肌が白い

ボロボロのTシャツは新品のように真っ白だ

飛んでいた鳥が2羽になっている

彼女のTシャツになったのだろうか

下半身は人魚のように鱗に覆われ、ヒレの部分は木材になっている

なにか話そうとしても声が出ない

まだキィーキィーと聞こえる

彼女の胸元から音が出ているようだ

そこには小さな扉があり、ドアノブみたいなものがついている

触れると電流が走った

痛みはないが何かが僕の中に走った

いや、実際に小動物のようなものが僕をすり抜けて(あるいは僕の中から飛び出して)いった

その先を見ると真っ赤なマネキンが海に浮かんでいる

無表情

だが何かを真剣に見つめているようだ

キィーキィーという音が止まった

彼女は悲しそうな顔をしている

ゆっくりと海に飛び込んだ

ボートが揺れる

海は彼女が飛び込んだ箇所だけが丸く青色になった

白い泡がしばらく浮かんでは消え

テリヤキチキンの香りがした

僕はまた1人になった

鳥はまだ2羽飛んでいる

フォォォォン

遠くで鉄道が出発する音がした

真っ赤なマネキンは蟹に姿を変え、燃えている

大きな蟹だ

僕は蟹の口に吸い込まれる

身体が軽くなる

実際に僕の身体は欠損している

爪先から腰までが無い

海にはレコードが浮かんでいる

蟹の口の中は電球がたくさん付いていて眩しい

眩しい

ハッとそこで目が覚めた

朝の光が部屋に差し込んでいる

人魚…

人魚って白身なのか赤身なのか

なぜかそう考えて

喉が渇いて

コップに水を注いで飲んだ

まだ身体はだるい

下半身が寒い

履いていたスウェットパンツを寝ている間に脱ぎ捨てたみたいだ

ベッドのそばにレコードのように丸く黒く置いてある

レコード…

最寄駅の電車の音が聞こえる

鳥の鳴き声が聞こえる

キィーキィー

二度寝をしようとベッドに入り込む

キィーキィー

ふと思った

あぁ…

蟹食べたいな

おしまい

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