松陰神社 コーヒー屋さん
東京都世田谷区にある松陰神社前のコーヒー屋さんは、みんな優しくて、ふわっと包み込んでくれる柔軟さがある。
それなのに、技術は確かで本格派なのだ。
そして、みんなチップさんの話をしている。
チップさんとは、
私も足繁く通った伝説のコーヒー屋
倍音の店主 白井 啓介さん
ずっと気になっていたお店だったけれど、引き戸を開けないといけないので入るのに勇気が必要なお店だった。
でも外から、小上がりの机とふかふかそうな座布団が、のんびりしていて良い雰囲気だなぁと思って眺めていた。
（※現在はテーブルに変わっています。）
ある時、入ってみようと勇気を出して引き戸を開けてみた。
とてもニュートラルに、ふわっと受け入れてくれた。
椅子に座って外の景色を眺めていると、松陰神社を行き交う様々な人を観察することが楽しかった。
肩の力がふっと抜けた気がした。
そうして出てきたアイスウインナーコーヒー。
これがもう目を見開く程美味しくて、ハマってしまって一時期ずーっと飲んでいた。
それから、スパイスの効いたラテに、オレンジの風味のするラテに、パイナップルと割ったエスプレッソトニック…。
私が思いもつかないようなメニュー構成に、新作のオリジナルドリンクが出ると聞いたら毎回ワクワクして通った。
そして味も、目を見開く程美味しい。
バナナジュースやホットチョコレート、コーヒーではないメニューもびっくりする程美味しかった。
ホテルの朝食並のワンプレートをモーニングとして破格で出してる所も可愛かった。笑
添えられたクリームチーズと甘く煮たオレンジを合わせて食べるのも最高！
お店で白井さんを見ていると、実直にコーヒーに向き合う姿勢が伝わって、なんだか温かい気持ちになるのだ。
がんばれーって応援したくなっちゃう。
そしてチップさん（白井さん）は人に愛されていた。
それはもう、笑っちゃうくらいだった。
「ゆっくりで良いよ」 「私後で良いよ」
みんながチップさんに協力して創り上げている、優しい空間。
忙しい時とか、みんな心の中で応援している雰囲気。
そんな優しい空間ができていたのはチップさんの人柄で、お客さん一人一人に優しく丁寧に向き合っていたからだと私は思う。
みんながこの空間でコーヒーを飲む時間を大切にしているように感じた。
少し時間がかかってしまっても、その時間さえもゆったりと楽しんでいる。
チップさんと話したり、コーヒーを淹れる様子を眺めていたり、ゆったり外を眺めたり。本を読んだり。
お店のお客さん同士でも、倍音さんを通じて仲良くなって温かい輪ができているようだった。
ここは、コーヒー屋なのだろうか…。
行く度に不思議で幸せな感覚に包まれていた。
ストレスを溜め込みがちな私には、倍音さんで過ごす時間がとても幸せな癒しの時間で、なくてはならないものになっていた。
こんな素敵なお店に出会えて、私は本当に幸せだと思った。
もうコーヒー屋を超えた、大切な場所だったのだと思う。
そんな伝説のコーヒー屋、倍音さんが
”2023年9月いっぱいでお店を閉店します。”
とお知らせがあった時は、本当に毎日沢山の人がコーヒーを飲みに来ていた。
ギリギリまで倍音さんのコーヒーが飲みたい！と1日に何回も来ている人もいた。
私も行ける日はできるだけ通った。
最終営業日、チップさんに挨拶をした後ここだけの話ちょっと泣いた。
もうあの穏やかで幸せな空間で、最高に美味しいコーヒーを飲めないのかぁ。
実直にコーヒーに向き合う、チップさんの姿が見られないのか。
ただのコーヒー屋さんではない、第3の居場所がなくなってしまったような感覚だった。
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松陰神社の最近できたコーヒー屋さんでコーヒーを飲んでいたら、
「チップさん」
聞こえてきた懐かしい響き。
顔を上げると懐かしい声。
！！！！！
冗談抜きに、芸能人を発見した時くらいテンションが上がった。
目の前にチップさんがいた。
仲良くしているイタリア料理店が店舗を変えてオープンするとのことで、今日までコーヒーメニューのお手伝いに来ているらしい。
それが終わったら、福岡に戻って2年程修行をするそう。
あんなに美味しいコーヒーを作り出しているのに修行！！
私は頭が上がりません…。
そしてやっぱり笑っちゃうくらいに、道の反対側から、いろいろな人に声をかけられて愛されているチップさんの姿があった。
修行が終わったら、チップさんはどんなとんでもないコーヒー屋を作り上げてしまうのだろうか…。
またどこかでチップさんのコーヒーが飲める日を、私はとても楽しみにしています。
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ちなみに、倍音さんが営業終了した後はガスコーヒーさんがコーヒーをやっています。こちらもとても美味しいです！！
開店してから足を運んで、またこの空間で美味しいコーヒーが飲めることがたまらなく嬉しかったなぁ。
夏メニューのライムエスプレッソトニックは、倍音さんのパイナップルエスプレッソトニックを思い出して、なんか良いなぁと感傷に浸ってしまいました。
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