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<2021,11,9更新>児童虐待虐待予防推進事業「子はたからプロジェクト」

厚生労働省、花園大学和田一郎先生のデータを参考にしながら、プロジェクトのこと、児童虐待ってどうなってるの?という話をシェアしたいと思います。それから僕たちの活動も知っていただけたら嬉しいです。

全国の児童相談所が2019年度に児童虐待として対応した全体の件数がこちら▼ニュースなどで目にする方も多いと思いますが、令和2年度速報値で20万件を超えました。年間で単純計算しても1日に500件以上全国で児童相談所が対応しているという計算になります。

相談対応件数2019

虐待が増えてきたの?良いこと?悪いこと?>>問題が「外に出てきた・見えてきた」ということ

国内の状況:「児童虐待報告相談件数」が昨年度の2019年は児童相談所等対応した件数が全国で19万件を超え、過去最多を更新しました。個人的な見解ですが、このグラフの増加が必ずしも「悪いこと=虐待増えてる!」ではなくてやっと一部見えてきたという理解を僕はしています。

この数字には2006年に配偶者間の暴力(面前DV)が心理的な虐待になること(児童虐待防止法の改正)や、2013年に警察がDV事案などへの積極的介入(体制の強化)、通報・相談ダイヤルが10桁から3桁「189」に変わっていきました。また痛ましい事件などの報道もあり徐々に社会全体の意識も変化したことが増加した要因だと言われています。

このグラフだけでは問題の根本・本質をみるにはまだ情報が足りなくて一つの表出した現象の数値でしかなく虐待が起きている正確な数、その起きる背景については完全にはわかっていません。また対応する地域の相談員などの人数も不足していて現場が逼迫しているのもニュースで取り上げられていますよね。

児童虐待防止、政策などについてはこちらが参考になると思います。わかりやすいです。


▼児童虐待問題(相談件数)の全体像イメージ

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虐待コスト

少し古いデータですが、2012年時点で虐待をコスト化する画期的なデータが出てきています。間接的、将来的にかかるコストが雪だるま式に増えていくんですよね。2012年時点合算で1.6兆円、この時点で福島で起きた震災の災害コスト(間接費用)に並びます。震災の災害コストは年々減少しますが、福祉の分野ではこのコストがかかり続けています。

この問題の源泉はどこにあるのか?

蛇口


現状の日本の様子を水道の絵で表現しています。痛ましい児童虐待の事件などの影響により児童相談所の配置人数の増員など防止対策として強化する計画を国も進めていますが、報告・対応件数はそれをはるかに越えて増加しているので、子ども虐待の予防・防止は児童相談所だけでは解決不可能だというのは、図を見てもらえたらと思います。養護施設や里親も同じく受け皿は大幅には変えられないので間に合いません。今手一杯な状況です。水際でギリギリのところで踏ん張っている現場をどうすれば守れるのか。現場を守り負担を減らし、質を上げていく、そして同時に川上の蛇口はどこなのか?なにをすればひることができるのか。を突き詰めていくと結果的に「子ども、親」を守り、国の豊かさ=利益になると思います。防止と予防はセットにしていかないといけないと思います。

児童虐待を未然に防ぐには。相談できる関係や地域づくりを作っていけるか。それを目指して「子はたからプロジェクト」

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妊娠期、それ以前から関わっていくということ。子育てが手一杯になりストレスを感じたり頼れなかったり、現実問題になって負担が爆発するのは乳児期や育児期です。個々に全責任を追わせていくのではなく、みんなで支える。営みを作っていく。頼るのが当たりまえ。介護問題も制度ができる前、できてから、最初は頼るのが悪だとかダサイとかありましたよね。ダサくないですよ。親が疲弊して、困窮したら子どもも一緒に困窮します。渦中にいる時、子どもは特にそれが日常になってしまいます。

各自治体のサービスを把握して子育てしている人はごく少数で、「知らない」「はじめてきいた」「しってるけど使ったことはない」という方が多いです。

■雑談、もやもや大事!相談のハードルが低くなる社会へ
■全家庭へ赤ちゃん訪問時から(妊娠期)長期的な予防支援(おせっかい、繋がる仕組みを)

>>必要なときに必要な人が必要なモノを受け取れる仕組みを作る
>>子ども・親への社会補償・保障制度を!
>>「子どもは社会にとっても宝」という文化・価値創造を

など改めて実現にむけて動いていきたいと思います。

子はたからプロジェクトの活動 2021
〜今、何をしているのか〜


<導入実施しているモデルや事業内容>

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【最終A3】えほんの遊び方・使い方いろいろ のコピー

絵本の使い方はこちら

・令和2年度京都府八幡市母子保健事業(子はたからプロジェクト)
(八幡市役所健康部健康推進課)https://www.city.yawata.kyoto.jp/0000006588.html

安心して前向きに子育てできる環境づくりのため、親子関係を深める遊びの紹介や関わり方のヒント、必要な情報提供や支援者との関係づくり、支援を受けられる環境づくりをお手伝いするツールとして子はたからプロジェクト「あそぼレシピ」絵本セットをプレゼントしています。赤ちゃん訪問時に配布や紹介など保健師からの直接案内や子育て支援拠点(広場)のイベントなどで利用されています。

・親子向けワークショップの定期開催、支援員研修
三重県員弁群東員町
(主催/東員町役場/子ども家庭課子ども支援係)

導入や開催に向けての協議・検討などは数市町村で同時並行しています。
自治体や地域の特色なども含めてその自治体にあったサービスと混ぜて0からではなく、今あるサービス・仕組みを強化できればと思っています。コロナ禍の中で現場の保健師さんたちに負担にならないよう、それでも歩みを続けられる方法を諦めずに模索していきたいと思います。

・赤ちゃん検診の際に情報を再案内・共有(岐阜県養老町)

絵本使用例2

コロナの影響で赤ちゃん訪問が難しくなっている地域もあり、検診に来られた際に月齢に応じて情報を変えてお渡ししています。まずは「知っている状態」を作っていかなければならないと思います。

・調査、研究(データ収集)提言など

福祉医療機構(WAM)から助成を受けて、現在は当事者30名から、過去に何があったか加害内容や過程をヒアリング調査、分析をしています。どうすれば防げたか、不足していものや、虐待の醸成背景など突き止めていきたいです。今後、個々や地域、そして社会への利益になるよう、全ての人が安心して暮らすために必要な政策・制度を模索するために、2021年度も継続して行っています。調査・研究したものは報告書として作成し、厚生労働省、研究機関などへ送っております。

終わりに

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内容てんこ盛りでしたが、言葉足らずな部分があったかもしれません。今後、地域の活動団体、専門家、自治体と連携・協力していきたいです。今何が必要なのかを問うていきたいと思います。虐待に至るまで、事件になる前に、通報の前に相談ができるか。予防できるようにと取り組みを初めて6年目になりました。現状を煽ったり、悲観したいわけではなくて、ちゃんと受け止めて後回しにせずに今何ができるかをみんなで話したりアクションを起こして豊かさを家庭に、地域に、社会に落とし込めるようにしていきたいと思っています。

子育てして、働いてそりゃ大変だって
気楽に言えて助けたり助ける社会が
僕はなんだか素敵だなぁって思うんです。


ぜひ活動を応援してください。

最後の最後になりましたが、地道な活動です。助成金だけではマンパワーに限界があります。寄付やグッズの購入、講演会などで活動をぜひ後押ししていただけば幸いです。


・グッズの購入で応援する



・寄付、講演会など(活動応援特設サイト)



<参考ページ・論文ほか>

子どもの虐待について詳しく知りたい方

オレンジリボン運動(虐待防止に向けての活動や統計など)
▼子はたからプロジェクト(児童虐待予防推進事業について)
▼アメリカ、イギリス、北欧における児童虐待対応について
▼スクールソーシャルワーカーが相談対応する児童虐待の実態と実践課題
▼児童相談所における子ども虐待対応の現状と課題

サポートを糧にもっと面白く楽しくなるような創作や活動に変えていきます!(子育て支援・児童虐待予防、子どもに関わる分野での活動資金やえほんなど創作活動に当てていきます。)