見出し画像

未知なる印税生活を夢に求めて

日本に来た外国人に何をしたいかを聞く番組を見ていたら、「小説家になるという夢をあきらめて理工系の研究者になった」という女性が出ていた。それを聞いて何か釈然としないものがあった。

まず小説家になるとはどういうことか。小説を書くことをあきらめる必要はないし、研究者なら論文も書くだろうから文章は上達するはずだ。
働いてから小説家になったり、兼業していたりする人はたくさんいる。池井戸潤は銀行マンだったし、新川帆立は現役弁護士だ。そもそもアイザック・アシモフは科学者ではないか。
だから小説家になることをあきらめるという言い方に違和感があった。
まあ、彼女は専業小説家になるのをあきらめた、というところなのだろう。

創作のまねごとを始めてみてわかったのだが、自分は社会人になってからのほうが書きたいものというか、書いたら面白いと思うものが増えているような気がしている。
小説家に憧れ、何かはわからないが何か書いてやろうと原稿用紙を買っては無駄にしていた学生時代よりも、何かがある。
経験したこと、感じたことが増えたから、物語を作るためのアイデアもできたということだろう。

実際に小説を書いて生活していくのはなかなか難しいことかもしれないが、何かを書くこと自体は紙とペン、今ならスマホがあればできることなので、あきらめる必要のないことではなかろうか。

そもそも学生時代の私が間違えていたのが、いわば小説家になってから小説を書こうという気持ちだったことだ。まず小説がなくてはならない。
そういうわけで、毎日何かを書くということを続けてみている。
はるかな印税生活を夢見て。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?